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第13話 バズ後の配信(柊七緒視点)

 

『やっぱりなんか緊張するね』


「そうだね。緊張するね」


『でも頑張んないとだね。これを乗り越えないと……!』


「程々に頑張るでいいと思うよ。いつも通りのあきななでいこ」


『う、うん!』


 そう返事はしたもののやはりまだ緊張しているのが伝わってくる。かく言う俺も緊張している。


 あきななに放った言葉は自分にも言い聞かせるものであった。いまいち効果のない言葉だなと自分でも思いながらその時を待つ。




「よし、そろそろ始めるか」


『う、うん』


 俺は意を決して配信開始のボタンを押し始めたことをあきななに知らせる。


『私も始めたよー』


 そう言い、俺は自分の配信がちゃんと始まったか確認した後あきななの配信も確認する。


 どっちとも大丈夫そうだったので俺はゲーム画面に戻りあきななに話しかける。


「それじゃ、自己紹介でもしとく? 俺は普段全然しないんだけど……」


『じゃあしよ!』


 一泊置いてからあきななは簡単に自己紹介をして俺に振ってくる。俺も簡単に自己紹介をして今日は雑談を中心にしながらヴァルをしていく旨を伝えた。


【こんばんは!】


 あきななの配信の方にはコメントが既に数件来ていたのであきななが返答していく。その時俺の方にも一件のコメントが来たと思ったら続けざまにコメントが書かれていく。


【動画見ました! 凄い上手かったです!】


 俺はあきななの配信の方に声が乗らないように通話アプリのミュート機能を使いコメントに返答する。


「こんばんは! 動画見てくれてありがとうございます! 嬉しいです。それに配信にコメントされたのも久しぶり過ぎて凄い嬉しいです」


【そうなんだwww頑張れ】

【あきななから知りました。野良のやつすげーおもろかったです】


 続々と時間が経つにつれ、視聴者が増えてコメントも来てお礼を述べながら返事をしているとあきななの声が耳に入って来た。


『んで、まさかこんなにバズるとは思ってなくてさ。私すっごいびっくりしてる。でも凄い嬉しいんだ。みんなありがとね!』


「ほんとに、あきななのおこぼれ貰えてありがとうございます」


『ちょっとおこぼれって。あれはラギくんがいたからこそ生まれた動画だからねっ!?』


【www】

【wwwwww】

【おこぼれまじ草】


 俺はあきななの方のコメント欄もチラ見しリスナーの反応を見て少し口角が上がる。


「いやいや、あきななはいつか伸びると思ってたよ」


 うんうんと配信に映っている訳でもないのに俺は腕を組んで大きく頷く。


『いやラギくん誰目線だよ!』


【後方腕組で草なんよ】

【ダイヤの原石を発掘してくれてありがとうラギ】


 配信をする前はあんなに緊張していたのにもう全然大丈夫になっていた。あきななのツッコミもいつも通りになっていてもう心配ないだろう。

 皆温かく迎えてくれて寧ろ凄く配信が楽しい。こんな気持ちになるのはいつぶりだろう。


「【因みにあんな激つよクリップ投稿してたけどランクどこなん?】えーとね、実は全然高くなくてプラチナ2だよ。ね、あきなな」


「それこっちのコメントでも聞かれてた。そうなんだよね、ラギくん完全にランク詐欺なんだよね。どう思うみんな?」


【は? あれでプラ2は嘘やん】

【えぐいw】

【ランク詐欺過ぎるだろ】

【スマーフやん!】


 スマーフとは高ランクのプレイヤーが別のアカウントを使って低ランク帯でプレーすることを意味する言葉だ。

 ランクはアイアン<ブロンズ<シルバー<ゴールド<プラチナ<ダイヤ<アセンダント<イモータル<レディアントという感じになっている。


 イモータルまで1,2,3とあり数字が上がる毎に上のランクとなっている。


 イモータル3の一定数のポイントを超えるとレディアントという最上位のランクに上がる事が出来る感じだ。


 レディアントの最上位ランカー達はそのゲームのプロとして活動している人達がいるレベル。

 勿論プロじゃない化け物たちもいるんだけど……。


「んな失礼な。ちゃんと本アカだわ! あれ、あきななって今ランクどこだったっけ?」


『私はゴールド1だよ! ラギくんに置いて行かれないように頑張んないとだね』


【は? あれでゴールド……?】

【絶対もっと弱い】

【ランク詐欺やん】

【ランク詐欺×2か】

【がちかwww】


『な、そんな言わなくても自分が弱い事分かってるし! 味方運がよくてここまであがっちゃってるから、凄く申し訳ない気持ちもあるんだぞ?!』


「まぁまぁ、じゃあ今から俺らがランク詐欺じゃないって事を証明しよう」


『そうだね、私頑張る! 負けないからね、見ててよ皆!』


 そう言って俺はランクではなく、普通のモードのスタートボタンを押した。


『ランクじゃないんかい!』


「え? 今日は雑談メインだからランクはやらないって決めてたじゃん」


『あ、そうだった』


 リスナーとの言い合いに熱くなって忘れていたのかあきななは『えへへ』と笑って誤魔化す。


 ランクじゃないのかと少し落胆していたリスナーはそれを聞いて【可愛い】と機嫌を直していた。



 ゲームが始まっても、コメントを読んで雑談しながらだったのでプレイはハチャメチャだった。


【あぁ……これはプラチナだわ】

【プラチナか……】

【でも話しながらだしなぁ】


 何人かのリスナーは俺のプレイでプラチナランクということに納得していたが、雑談しながらだと難しい事を理解している人はまだ納得しきれていない様子だった。


 あきななはというとリスナーに煽られた事が気に障ったのかいつにも増して凄いやる気だった。


 ランクじゃないのに……と思ったがまぁ普通のモードでこれだけ真剣にやれば将来的にも上手くなるし別にいいか。


 でももう少しコメントを読んであげてくれ……折角コメントしているあきななのリスナーが可哀そうだったので、先に倒されてしまった俺は代わりにコメントを読み上げてあきななに問いかけるみたいなことをし始めた。


「【二人は歌みたとか出す予定ないの?】だってさ。俺は歌下手だから今の所予定ないかなぁ。まぁ出すってなったら頑張るけどさ。あきななはどうなの? 歌みた出したいとか思ってる?」


『ちょっとうるさい、今集中してるから黙って!』


「はい……」


 怒られてしまってシュンとし、黙っているとその後直ぐにあきななが倒され『どわぁぁ! まだ私生きて頑張ってたんだから話しかけないでよ! もう!』と少し頬を膨らませて笑いながら怒ってきたのだが全然怒られてる感じはしなかった。


「はい、ごめんなさい」


 ごもっともな意見を言われ苦笑しながら謝り、コメントを見るとコメントが一気に増えていた。


【怒られてて草】

【シュンってなってて犬みたいwww】

【あきななの分まで頑張って配信回してたのにこの言われようは辛いw】

【がちおもろいwww】

【可愛い】

【てか、普通にゴールドの実力はあるくね?】


 あきななもラウンドが終わり、コメントを見たのか最後に来たコメントに凄い勢いで『ほんと?!』と食いついた。


【まぁあると思う】と他の人も認め始めるとあきななは『ふふふーん』と先程までとは変わり、コメントと会話しながらゲームをするようになった。


 のだが、『あっ』『あっ』『あっ』とスキルミスを連発。そしてエイムも悪くなり全然敵に弾が当たらなくなった。


『あっごめん死んじゃった』


「…………」


【…………】

【ま、まぁ話しながらはむずいよね……】

【急に下手になるじゃん!w】

【可愛い】

【皆ゴールドってこんなもんだぞ】



 そのマッチは何とか勝つことができたが、最後に滅茶苦茶下手なプレイをしたあきななは見事にリスナーに気を遣わせ慰められていて凄く面白かった。


 なんかさっきから可愛いしか言ってない可愛いbotいるのは無視しよう。




 明日も学校があるので俺は一足先に配信を終えることにした。あきななは最後のプレイを払拭する為にもう一戦してから終わるらしい。


 あきななに挨拶をして通話を抜けると、自分の配信に来てくれた人達に向けて挨拶をする。


「今日は来てくれて本当にありがとう。前まで俺の配信、視聴者0コメント0だったんだけどさ、今日凄い色んな人が見に来てくれて、コメントしてくれて嬉しかった。ニューチューブで上げたshotsみたいに強いプレイできなかったけどこれからも頑張るから見に来てくれると嬉しいな」


【これからも頑張れ】

【また見に来るよ】

【ランクもっと上げろよ】


「ありがと、でもまぁ程々に頑張るよ。それじゃ今日はありがとう、おやすみ」


【うぃお疲れ】

【お疲れ様―】

【おやすみ】



 配信を停止すると自然と口からふぅとため息が出てどっと肩の力が抜けるのが分かった。


 いつも無人配信だったから緊張とかしなかったけど、誰かが見てるだけでこんなにも疲れるのか。


 俺、ちゃんと配信出来てたかな。コメント読むのとか、返すのとか大丈夫だったかな。あきななに迷惑かけなかったかな。


 終わって一人静かな空間になると色々と不安が浮かんでくる。


 ……でも、楽しかったなぁ。


 コメントとのやり取りがあるだけで、あぁ……俺も今配信してんだなぁって実感が湧いて凄い嬉しかった。


 これも全部あきななのお陰だ。


 有名な人と比べたら見てくれる人とかコメントも滅茶苦茶少ないが、0だったものが1になっただけで、それだけで嬉しいのだ。


 このあきななに貰った折角の機会を活かせるように、またちょっと活動頑張ってみようかなとあきななのランク配信を見ながら思った。


 一度諦めた身、程々に頑張ってあきななに何か恩返しができればいいな。


 因みに現在あきななの配信を見ている人は200人程いた。チャンネル登録者と比べると大分低いがそんなものだ。みんながみんな、リアルタイムで見れるわけじゃない。配信のアーカイブが残るのでそれを見る人とかもいる。


 近年、配信者やvtuberが数万人もいる中、企業所属でもない個人の配信者がここまで同接が多いのは滅茶苦茶凄い事だ。

 個人なら同接は100人いってれば人気な方で、10人とかそんなレベルでも結構凄い事だ。


 そんな中あきななは200人以上の同接がいる。


 俺もさっきまで200人以上の人に見られてる中でゲームしたり話してたりしたのかと思い返すと顔が引きつった。


 ネットでバズったあきななを物珍しく見に来ている人も多いとは思う。だから時間が経てば減ってはいくんだろう。


 減っていく数字を見たときあきなな落ち込まないといいけど……。





 その後あきななはランクでゴールドらしからぬプレイはしていなかったが、試合には負けてしまいランクが下がり、シルバーになってとても悔しがっていた。



 配信の最後にあきななが俺の事を宣伝してくれたのでフォロワーが少しだが増えていた。





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