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第61話 faire du judo

61話目です。

ベレスピアーヌ共和国のモデルであるフランスは柔道が盛んな国なので、「ベレスピアーヌに来たら柔道の試合も書いてみよう」と、あらかじめ練っておりました。(作者に柔道の経験はないのですが)

何はともあれ、柔道家ウェンディの出番です。


(※今回の登場人物たちについては、「○第54-62話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

ヴェルセイユ宮殿(※1)の柔道場で待っていた人物は…


フレイ「faire du judo」(※2)

 「ウェンディさん!あたしと手合わせしてください!」

ウェンディ「押忍!サンナさんにそっくりな見た目だけど、髪の色が青いッス!」

 「もしかして妹のフレイさんッスか!?」

フレイ「はい!サンナの妹のフレイです!」


サンナ「フレイ!?ここにいたのね!」

フレイ「サンナ、あなたが無事だったことは伝令隊たちから聞いていたけど、こうして顔を見ることができて、すごく安心してるわ」

サンナ「私もよ、フレイ…」

 「あなたが元気な姿で家に立ち寄ったことはお母さんたちから聞いていたけど、やっぱり顔を見れば安心するわ…」


サンナ「でも、フレイ」

 「どうして急にウェンディさんと柔道を?」

フレイ「サンナ、あなたはこの後シェルージェ様たちと一緒に旅に出るんでしょ?」

サンナ「フレイ、お見通しってわけね…」

フレイ「それが神様のお導きだというのなら、あたしは止めない」

 「だけど、同行する人にちゃんと力があるかどうか試させてもらうわ」

 

フレイ「ウェンディさん、五段であるあなたの力を知りたい」

 「あたしと一試合してください」

ウェンディ「押忍!覚悟があるなら受けて立つッス!」


ウェンディ「聞いた話だとフレイさんは柔道二段!同じ有段者として相手になるッス!」


女性審判「それでは試合の前にまず体重を図らせていただきます」

ウェンディとフレイはお互いの体重を図った。

女性審判「いいでしょう、57㎏級としてお二人の試合を認めましょう」

ウェンディ「押忍!審判さん、感謝するッス!」


白い道着に着替えたウェンディと青い道着のフレイ。

まずはお互い開始線に立って、

女性審判「礼!」

ウェンディ&フレイ「よろしくお願いします!」

女性審判「始めぇ!」

ウェンディとフレイの試合が始まった。


サンナ「フレイ!負けちゃダメよ!」

シェルージェ「ウェンディちゃんもフレイちゃんも頑張れぇ!」


フレイ「やあっ!」

ウェンディ「うっ!?」

フレイはウェンディを掴み、体落をかけた。

しかしウェンディ相手に上手く決まらず、

女性審判「技あり!」

サンナ「やったわ!技あり1本目よ!」


フレイの技ありにサンナは喜んでいたが、

フレイ(心の中で)「(さすがね。簡単に一本は取らせてくれないわね…)」

ウェンディ(心の中で)「(押忍。ニ段は伊達じゃないってことッスね…)」

 「(でもウチだって!)」


再び、

女性審判「始め!」


サンナ「落ち着いてね、フレイ」

 「冷静な目でウェンディさんの動きを見切るのよ」


リンカ(小声)「(サンナさん、楽しそうにフレイさんを応援しているべ)」

ススキ(小声)「(きっと妹さんが可愛くてしょうがないのね)」


ウェンディ(心の中で)「(フレイさん、申し訳ねぇッスけど、攻めさせてもらうッス!)」

フレイ「あっ!?」

ウェンディは素早い動きで小内刈を決め、フレイの体のバランスを崩した。


そしてその隙を逃がさず、

ウェンディ「はああっ!」

ウェンディはフレイを背負投した。

フレイ「きゃっ!?」

フレイは体を畳に叩きつけられた。


女性審判「一本!それまで!」

小内刈からの背負投、連絡技によりウェンディは勝利した。


ウェンディ&フレイ「ありがとうございました!」

二人は座礼をし、試合が終わった。


フレイ「さすが本場の柔道家ね、恐れ入ったわ」

ウェンディ「押忍!フレイさんの動きも中々だったッス!」

 「このまま技を磨いていくッス!」

全力で戦った二人。お互い悔いはないようだ。


フレイ「ウェンディさん、サンナや一緒に旅をする皆さんのことをよろしくね」

ウェンディ「押忍!ウチにお任せッス!」

 「フレイさんの期待は裏切らねぇッス!」


二人の試合を見て、シェルージェたちは

シェルージェ「すごい迫力だったよぉ!見てて楽しかったよぉ!」

アンシー「いい試合だったわよ、二人とも」

ウェンディ「押忍!褒めてくれて嬉しいッス!」


サンナ「フレイ、よく頑張ったわね」

フレイ「ごめんね、サンナ」

 「勝つことができなくて」

サンナ「いいのよ。怪我しなかったんだし、私はそれだけで嬉しいから」

フレイ「サンナ…」


アドレンデ「いかがでしたか、柔道五段の腕前は?」

フレイ「予想以上に強かったですし、さすがはワトニカの柔道家でした」

 「ですがこの試合を通じてもっと強くなりたいと思うことができました、騎士団長」

アドレンデ「今回の試合で感じたその気持ち、大事にしてくださいね、フレイさん」

フレイ「ありがとうございます!騎士団長!」


ミレイヤ「試合をすることで刺激を得る…」

 「良い流れだと思いますよ、お兄様」

ブロイス「そ、そうだな…」

 (心の中で)「(くっ…こんな小娘たちの試合など私にとってはどうでも…)」



次の日17日の朝。

(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと15日)


ヴェルセイユ宮殿の入り口前。

宮殿で一泊したアンシーやサンナたちは別れのあいさつをし、


サンナ「フレイ、お父様たちのことをよろしくね」

フレイ「任せてよ、サンナ」

 「サンナの分まで、私がお父さんたちの面倒見るから!」

サンナ「お願いね、フレイ」

 「頼りにしているんだから」


フレイ「…」

 (心の中で)「(サンナ、私はずっとあなたにコンプレックスを抱いていたわ…)」

 「(双子であるのに、サンナのほうが勉強もできて、魔力も高い…)」

 「(神様への信仰心も強くて、あたしなんかよりもずっと聖職者に相応しいと思ってる…)」


 「(伝統ある教会の娘として周りから褒めれていたあなたに対抗するには柔道しかなかった…)」

 「(あたしがひたすら柔道に励んできたのは、自分の中にあるサンナへのコンプレックスを打ち消すためだった…)」

 「(でも今回の魔獣騒動を通じて分かったの…もうそんなコンプレックスなんて感じる必要ないって…)」

 「(だってあたしが妹でサンナがお姉ちゃんなのだから…)」


 「(魔獣たちの戦いであたしを気遣ってくれたあの優しさ…未知の力を得てまで現状を打破しようとする想い…)」

 「(あたしにはとても真似できないし、越えられない…)」

 

 「(だからあたしはコンプレックスを感じるよりも素直な気持ちで受け入れる)」

 「(たとえ双子でもサンナがお姉ちゃんなんだってことを…)」


フレイ「行ってらっしゃい、お姉ちゃん…」

サンナ「お姉ちゃんだなんて、どうしたのよ、急に?」

フレイ「だってお姉ちゃんはお姉ちゃんでしょ」


サンナとフレイ姉妹の横で、シェルージェとアンシーはソフィアーヌ首相やミレイヤたちに…


シェルージェ「黄光針と紹介状、本当にありがとね、ソフィアーヌさん!」

 「コランタームに魔獣たちがいたら、シェルージェがやっつけちゃうんだから!」

ソフィアーヌ「期待していますよ、プリンセス・シェルージェ」

アドレンデ「ポランレス首相やチェムンドゥ騎士団長たちによろしくお伝えください」


アンシー「メタルクロノスの存在はまだ伏せておくということでよろしいのですね?」

ソフィアーヌ「今の時点ではメタルクロノスに対して確かな証拠がありませんからね」

 「これでは公表したところで信用する人も多くはないでしょう」

アドレンデ「ですが我が国に額に24と書かれた怪魚が現れたということは、世間に公表するつもりです」

ソフィアーヌ「月世界新聞(※3)に載せるとなると三ヶ月以上はかかるでしょう」

 「しかし24の怪魚のことを蔑ろにするつもりはありません」

 「たとえどれほど世間を騒がせたとしても、この事実だけはしっかり伝えるつもりです」

アンシー「それでしたら、よろしくお願いします、ソフィアーヌ首相」

アンシーは首相たちに頭を下げた。


シェルージェ「ミレイヤさんたちもすぐ宮殿を出発するんだね」

ミレイヤ「はい。わたくしたちは月の港、ボルドンヌの港町(※4)へ向かい、そこから船に乗り、ラープ帝国の皇都に戻ります」

 「わたくしがネイビーに変身する力を得たこと、メタルクロノスのこと、お父様たちとしっかり話をするつもりですので」

ビオランテ「よろしくお願いします、ミレイヤ様」

 「ラープ帝国の皇女であるミレイヤ様がメタルクロノスのことを知っていただけたのは我々にとっても大きいですから」


ミレイヤ「クリスフォーン、ダニエラ」

 「アンシーさんやシェルージェさんたちをよろしくお願いしますね」

クリスフォーン「お、お任せください、ミレイヤ様!」

 「決して皆さんの足手まといにはなりませんので!」

ダニエラ「ダニエラ、アンシーやシェルージェたちのことも気に入った」

 「ダニエラもみんなのため、頑張る」


ブロイス(心の中で)「(くっ!)」

 「(ミレイヤの親衛隊である二人を同行させる必要など…)」


カルパーラ(心の中で)「(ブロイス皇子…)」

 「(私たちに対して何かと否定的な感じでしたね…)」


アンシー「ミレイヤ様、共に戦える日が来ることを願います」

ミレイヤ「わたくしもですよ」

 「父に事情を話し、皆様と旅をすることができれば嬉しいですよ」

ブロイス(心の中で)「(ミレイヤ…やはり兄である私よりもこの者たちとの行動を望むのか……)」


ミレイヤ「もしご一緒に旅ができるのなら、アンシーさんたちから頂いたこの「グラン・ラピスラズリ」を持ってお伴いたしましょう」

 「クリスターク・ネイビーとして皆様と共に戦えれば何よりです」

アンシー「ミレイヤ様、信じております…」


ここで話題を変えて、

ミレイヤ「そういえばアンシーさん、あなたが少しお話ししたクレードさんなんですが、彼はもしかすると……」

アンシー「えっ!?」

ミレイヤはクレードの素性と関係があるような話をしたようだ。

ラープ帝国第3皇女であり賢者のミレイヤ。

彼女がアンシーたちと再会するときには、巨大からくり人形の姿も…

次回へ続く。


※1…宮殿の名前の由来は、フランスの世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園」(文化遺産 1979年登録)より

※2…フランス語で「柔道をする」という意味。

※3…「月世界新聞」とは、1ヶ月から2ヶ月程度に一度発行される、魔法大陸ムーンリアス20カ国の情勢をまとめた新聞。

※4…港町の名前の由来は、フランスの世界遺産「月の港ボルドー」(文化遺産 2007年登録)と、同港を流れる「ガロンヌ川」より

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