第62話 Dieu、私たちをお守りください
62話目です。
・ベレスピアーヌ共和国の旅も今回で終わりです。
柔道やフランス語などについて少し触れることができたので、僕自身も書いていて勉強になりました。
・賢者のミレイヤのカラーについては、ネイビー(濃い紺色)よりインディゴ(藍色)のイメージなのですが、「クリスターク・インディゴ」より「クリスターク・ネイビー」のほうが言いやすいので、色はインディゴ(藍色)なんですが、呼び名は「ネイビー(濃い紺色)」にしました。
(※今回の登場人物たちについては、「○第54-62話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)
ミレイヤやソフィアーヌ首相たちと別れたアンシーやサンナたちは、サンナの実家である「サンディソレイユ教会」に来ていた。
教会でサンナは家族の前でクリスターク・ピンクに変身し、自分がアンシーやシェルージェたちと旅をしたいという話を家族に伝え…
プルム「サンナ、本音で言えば大事な娘であるあなたを長い旅になんて行かせたくないわ…」
変身を解いたサンナ「ごめんなさい、お母さん…」
「私、それでもアンシーやシェルージェちゃんたちと旅をしたいの…」
「クリスターク・ピンクとして人々の力となりたいの…」
プルム「娘を戦場に行かせるなんて、母親からしたら本当に辛いことよ…でもあなたが聖職者であるのなら、困難に立ち向かうことも必要よね…」
「人々のために尽くせるというのなら、私はあなたを……」
サンナ「お母さん、私の旅立ちを許してくれるの?」
プルム「行きなさい、サンナ」
「私も同じ聖職者として、あなたのことを信じるわ」
サンナ「ありがとう、お母さん」
「私のことを信じてくれて、私のことを愛してくれて…」
ロメンド「サンナさん、小難しい話など必要ありません」
サンナ「お父様」
ロメンド「旅立ちを決意したあなたのご意志、強き戦士に変身できる力、全ては神様のお導きに違いありません」
「ならばそのお導きのままに進みなさい。神様の使いとして人々の剣となり盾となるのです」
サンナ「お父様、このサンナ、シスターであることを誇りとし、旅に出ます」
ロメンド「分かりました。旅立つサンナさんに神のご加護があらんことを…」
「アーメン」
サンナ「アーメン」
レムネイト「サンナ、桃魔の水晶玉が今回の戦いで役に立ったみたいで、あたしゃ本当に嬉しいよ」
サンナ「ありがとう、お祖母ちゃん」
「大きな怪魚に勝つことができたのもこの水晶玉のおかげよ」
レムネイト「だったらこれからも持っておくと良いよ」
「旅に出るサンナにとって水晶玉は絶対に力になるはずだよ」
サンナ「そうよね、お祖母ちゃん。私、大事にするわ」
サンナは改めて「桃魔の水晶玉」を手に入れた。
サンナの家族たちと別れのあいさつを済ませ、アンシーたちは教会を後にした。
サンナ「それじゃあ、みんな」
「改めてよろしくね」
アンシー「サンナ、一緒に頑張っていきましょう」
シェルージェ「強ぉーい魔獣が現れてもまたやっつけちゃおうね!」
サンナ「そうね。力なき人々のために私たちが頑張らないとね」
クリスターク・ピンクこと、シスターのサンナが仲間に加わった。
ビオランテ「私たちの中には回復魔法が使える者がいないので、サンナさんが仲間になってくれるのはありがたいですよ」
ホヅミ「ホヅミたちがぁ疲れたらぁ、魔法をぉお願いしますぅ」
サンナ「任せて。私、中と小の回復魔法が使えるから」
ウェンディ「押忍!フレイさんのためにも頑張るッスよ、サンナさん!」
サンナ「もちろんよ。私を送り出してくれたフレイの想いを無駄にはしないわ」
カルパーラ(レムネイトから頂いたクッキーを食べながら)「サンナさんは本当に妹思いなお姉さんね」
リンカ「おしとやかな人だと思ってたべが、サンナさんは芯が強ぇだ」
「おらも見習いたいべ」
ススキ「カムイを想う熱き心、私もリンカさん同様見習いたいわ」
サンナ「そ、そんなにすごい人間じゃないわよ」
「おどおどしちゃうこともあるし…」
クリスフォーン(クリス)「新参者同士、仲良くやっていきましょうね、サンナさん」
ダニエル「サンナ、ダニエラのこともよろしく」
サンナ「こちらこそよろしくね、クリス、ダニエラちゃん」
続いて、
サンナ「私、乗馬の知識や経験があるわ」
アンシー「サンナ、それなら馬車も動かせるってこと?」
サンナ「ええ。私も御者の一人として、お手伝いするわ」
ススキ「それはすごく助かるわ」
「私とビオランテさんとカルパーラさんに、サンナさん」
「一台の馬車に御者が4人いれば余裕あるもの」
新たな仲間サンナを加えた一行はセイヌ・パリス市内を進んだ。
その日の夜、セイヌ・パリスの宿でシェルージェはミレイヤの兄ブロイスのことを話していた。
シェルージェ「それにしても、なんなのあのミレイヤさんのお兄さん!」
「妹さんが心配なのは分かるけど、あれこれ言いすぎだよぉ!」
サンナ「自分にとって都合のいいようにミレイヤ様を扱っている気がするわ…」
ホヅミ「確かにぃお兄さんはぁミレイヤ様をぉ、操り人形にぃしているみたいでしたぁ」
ススキ「ミレイヤ様に私たちと同行するご意志があっても、あのお兄さんが反対しそうだわ…」
クリスフォーン「ゆ、許してください、皆さん!」
「ブロイス様もお辛い思いをしているんです!」
カルパーラ(紅茶を飲みながら)「どういうことですか?クリスフォーンさん」
クリスフォーンはブロイスについて話し始めた。
クリスフォーン「ブロイス様は、以前は国民たちからも慕われる明るくてお優しいお方でした…」
「ですが昨年の11月にご子息のアルフロッド様がお亡くなりになり、次の12月には以前からお体を壊していた皇太子妃のラスミィ様までに天にお召され…」
ビオランテ「息子様と奥様、大切な方々が立て続けにお亡くなりになったというわけですか?」
クリスフォーン「はい…最愛の奥様と我が子を一度に失ったような悲劇により、ブロイス様は深い悲しみに暮れておりました…」
クリスフォーン「そんな悲しみに暮れるブロイス様の心の支えとなっていたのが妹君たちである第2皇女のエミリーン様と第3皇女のミレイヤ様でした」
「お二人の懸命な支えもあり、ブロイス様も少しずつ明るい笑顔を取り戻していったのですが、ちょうどその頃エミリーン様のご結婚もあり、エミリーン様はご結婚相手であるブルスベイズ王国のアルスラウド王子のもとへ行かれました」
「ブロイス様の支えとなっていったエミリーン様がいなくなったことでブロイス様は再び深い悲しみに包まれました」
「立て続けの悲しみにより、前を向けずにいたブロイス様。しかしそんなブロイス様相手にお父上である皇帝陛下は、「いつまでも悲しんでいるな!早く立ち直れ!」、「次の王はお前でなければならない!」などと強く当たる一方なんです」
「そのため今のブロイス様にとっては、ただ一人残ったミレイヤ様が全てなのです…」
「「ミレイヤまで失うわけにはいかない」、「何があってもそばにいてもらう」などと、ブロイス様はミレイヤ様だけでもなんとかしようと必死になっているのではないかと…」
クリスフォーンの話を聞いてシェルージェは、
シェルージェ「お子さんや奥さんが亡くなって、好きな妹さんまで離れ離れになっちゃったからって、ミレイヤさんを自分の思い通りにしようなんてダメだよ!」
「ミレイヤさんはミレイヤさんだよ!」
「お兄ちゃんの操り人形なんかじゃないよ!」
ダニエラ「ダニエラもシェルージェと同じ、そう思ってる。だけど…」
クリスフォーン「ミレイヤ様も何一つ嫌がらずブロイス様に尽くしているのでして…」
ダニエラ「ミレイヤ様もブロイス様大好き、それは確か」
シェルージェ「だけど、だけどぉ!何か違うよぉ!」
ビオランテ「シェルージェ様…」
サンナ「私もそう思うわ。このままじゃお二人にとって良くないわ…」
ススキ「サンナさん…」
一方アンシーだけはブロイスとミレイヤの話をよく聞いておらず…
アンシー(心の中で)「(クレード…あなたは…)」
リンカ「どうしたべか、アンシー?」
「心ここにあらずって感じだべ…」
アンシー「あ、ああ、ご、ごめんリンカ」
「気にしないで…」
リンカ「アンシー、クレードさんのごど考えてたべ?」
アンシー「リ、リンカ!?わ、私は!?」
ホヅミ「お顔がぁ赤くなってぇますよぉ」
「相変わらずぅ、アンシーさんはぁ分かりやすいですぅ」
アンシー「だからそんなんじゃないって!」
ウェンディ「押忍!ミレイヤ様のお話でクレードの素性が分かったようなもんッスからね!」
クレードは何者なのか?ミレイヤからの思わぬ話により、アンシーたちはクレードについて何か分かったようである。
次の日18日。
(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと14日)
アンシーやサンナたち一行はセイヌ・パリス市にあるシャリートル大聖堂(※1)へ立ち寄り、旅の無事などをお祈りしていた。
サンナ(礼拝中)「(Dieu(※2)…どうか旅立つ私たちをお守りください…)」
「(アーメン)」
聖堂内にある「シャリートルブルー」と呼ばれる青く美しいステンドグラスの光が礼拝するサンナたちを優しく包んでいた。
クリスタルナンバーズ ベレスピアーヌ共和国編
FIN
次の日19日。
(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと13日)
物語の場面はルスカンティア王国へ…
サンナ・クリスフォーン・ダニエラの3人を加え、女性陣は北のコランターム共和国を目指すことに。
またルスカンティア王国には、現在チャドラン王子やルリコたちが…
次回へ続く。
☆※1…大聖堂の名前の由来は、フランスの世界遺産「シャルトル大聖堂」(文化遺産 1979年登録)より
※2…元ネタはフランス語。「Dieu」は「神様」などの意味。
(☆:物語初登場の世界遺産)




