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第48話 ターニングポイント、古城「カスティル・デルモ・モンテ」

48話目です。

今回登場する古城「カスティル・デルモ・モンテ」のモデルである、イタリアの世界遺産「カステル・デル・モンテ」は個人的にも好きな世界遺産です。

僕が持っている2級の検定テキストの表紙に載っているのがこの「カステル・デル・モンテ」なので。

何度も遺産検定を受けている方々にはよく知られている世界遺産だと思います。


(※今回の登場人物たちについては、前々回「○47話・48話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

塔の町、サンル・ジミニャールの町(※1)の宿で、調子に乗ったオリンスはシェルージェを泣かせてしまった。

それによりシェルージェはオリンスだけではなく、クレードや他の男性たちまで嫌ってしまい、この先は女性だけで旅をしたいなどと言いだす。


一行は今後のことを話し合うため、次の町へと向かい、そしてカスティル村(※2)へとたどり着いた。


話し合いをするための場所として、クレードやアンシーたちは村のシンボルである、古城「カスティル・デルモ・モンテ」(※2)を選んだ。


古城はアイルクリート共和国がまだ帝国の時代だった頃、時の皇帝によって建築され、この八角形の古城は現在、宿・集会場・飲食のできる憩いの場などに利用されている。


クレードたちも一部屋借りて…


ナハグニ「頼むでござる!早まってほしくないでござる!」

アンシー「私たちだって、今の状況で戦力を分散するのは無謀だと思うわ」

カルパーラ「ですが、どうしてもシェルージェ様が…」

シェルージェ「女の子だけで旅したいの!」

 「2と4の怪魚なんて、シェルージェたちで倒しちゃうから、いいの!」


オリンス「シェルージェちゃん、俺を信じてよ!」

 「俺と君の二人で力を合わせれば、簡単に倒せるはずだよ!」

ナハグニ「シェルージェ殿!クリスターク・グリーンのオリンス殿は頼れる男でござるぞ!」

 「拙者が保証いたすゆえ!」

シェルージェ「知らないよぉ!もうオリンスなんか友達でもなんでもないよぉ!」

オリンス「シェルージェちゃーん、そんなこと言わないでぇー!」


クレード「ダメだ。これではいつまでも大人の会話ができない」

アンシー「仕方ないわね」

 「それじゃあ男女別々に行動しましょうか」

 「しばらくは」


ビオランテ「確かに完全に袂を分かつのは避けたいとこです」

 「お互い落ち着くためにも今は距離を取りましょう」

ホヅミ「それが良いですぅ」

 「今の状態でぇ話し合ってもぉ、お互いぃ平行線ですぅ」


ナハグニ「ま、待つでござるよ!」

鵺洸丸「ナハグニ殿、こうなればもう妥協するのが筋でございまするぞ…」


ススキ(心の中で)「(鵺洸丸さん、私はあなたと一緒にいたいけど、今の私たちの状況じゃ…)」


千巌坊「では男女別々ということで、それぞれの旅のルート、そして合流場所を決めようではないか…」


アンシー「だったら私たちはこのまま北のベレスピアーヌ共和国を目指すわ」

 「ソフィアーヌ首相に会って、国内の状況を聞いてみるわ」

リンカ「24の怪魚について何か分かるといいべ…」


クレード「ならば俺たち男はこのままアイルクリート共和国を西へ進み、アイルローマ市(※3)の魔法大学を目指す」


クレード「ヴェルトン博士の母校であり、博士が教授として勤めていたアイルクリート第一魔法大学…」

 「俺は博士から託された論文を届け、そして俺自身もグラン・ジェムストーンに選ばれた人間として大学へ行って事情を話さなければならない…」

 「ベレスピアーヌには行かず、このまま大学まで直進できるのなら越したことはない」


鵺洸丸「ルスカンティアの国王様もクレード殿やオリンス殿たちが大学へ行かれる旨を手紙でお伝えしてくださったのだ…」

 「そのお手間やお心遣い、反故にするわけにはいかぬ…」


ウェンディ「押忍!だったらそれぞれの旅の目的は決まりッスね!」

シェルージェ「シェルージェはなんでもいいよぉ。分かれて行動できればあ」


アンシー「それじゃあ次は合流場所を決めましょう」

 「どこがいいかしらね?」

クレード「ならば、ワトニカ将国サツマダイ藩、藩主トラツグ・奄美大野の居城「青浜城」でいいか?」

アンシー「ワトニカの青浜城?」

 「確かルスカンティア王国で大名の娘であるルリコさんって人に会って、お父さんへの手紙を貰ったのよね」


クレード「ルリコからの手紙は予備も含め2枚ある」

 「ならばそれぞれ一枚持っておけば、別々に来ても城へ入れるはずだ」

ウェンディ「押忍!だったらそれでいいッス!」

 「せっかく瑠璃姫様に書いてもらったんッス!活用したいッス!」


千巌坊「ワトニカ将国…我らの祖国…」

カルパーラ「わたくしたちのパーティの中にはワトニカの方が多いですしね」

 「私もいい案だと思いますわ」


沖津灘「ワトニカは風情溢れる国たい!」

 「異国の皆にも和の伝統や文化を知ってほしいたい!」

カルパーラ「ふふっ、ワトニカに行くのが楽しみですわね」


タオツェイ「ならば次は青浜城までのルートか」


魔法大陸ムーンリアスの地図を取り出し眺め、男性陣はサツマダイ藩までのルートを決めたようだ。


そして女性陣のほうは、


アンシー「私たちはベレスピアーヌ共和国に行くから、その北にあるコランターム共和国を通り、さらに北のボルムネジア王国東部地方へと行きたいわね」

リンカ「アンシー、東部地方からサツマダイへ行くだか?」


アンシー「サツマダイへ行く前に、ボルムネジアのビンガルソン島(※4)やコモドニア島(※5)にも寄って行きたいわ」

 「地図を見れば、アイルローマへ行くクレードたちよりも私たちのほうが先に着きそうだから、寄り道して何か情報を集めてもいいと思うの」


クレード「まあお前らのルートだと、そのまま北へ進めばワトニカへ着くしな」

 「俺たちのルートよりも余裕がありそうだ」


ホヅミ「そういうぅクレードさんたちはぁ、どういうルートでぇお城にぃ向かうんですかぁ?」

カルパーラ「もう考えはまとまってます?」


クレード「俺たち、男組のルートだが、まずアイルローマ市へ行く」

 「それから西のルナウエスタン共和国へ行き、またアイルクリート国に戻り、首都のアイルベニス市(※6)へ向かう」


ウェンディ「押忍!アイルベニスには失った記憶を取り戻させてくれる記憶妖術の使い手がいるんッスよね!」

クレード「まあ厳密には言えば、「首都で情報を集めてみろ」とのことだ」

 「ヴェルトン博士はそんな風に言っていた」


沖津灘「ばってん(※7)、首都でありゃあ記憶の術ん使える妖術師(※8)もおる可能性が高いと思うたい」

千巌坊「とにかくアイルベニスへ行けば分かることだろう…」


アンシー「クレードはラープとかキンデルダムとか北の月(北側の大陸)出身である可能性が高いのよね」

 「もし魔法で記憶を取り戻したら北の月の祖国へ向かうわけ?」

クレード「そのほうがいいだろうな」

 「祖国には俺の帰りを待っている家族や友人、もしかしたら恋人もいるかもしれないからな」

アンシー(心の中で)「(恋人ねぇ…)」


ススキ「そうなると記憶が戻ったらクレードさんはそのまま祖国に帰って、もう私たちとは旅をしないってこと?」

クレード「そんな事は考えていない」

 「一時的に抜けたとしても俺はお前らのところに戻ってくる」

アンシー「ク、クレード…」 ドキ…


クレード「俺がどんな人間であろうと、過去の記憶を失ってから出会ったお前らのことを本当の仲間だと思っている」

 「俺の記憶が戻ったとしてもお前らに対する責任は取るさ」

アンシー「う、嬉しいこと言ってくれるじゃないの…」

クレード「同じ釜の飯を食って、得られた報酬は山分けしてきたんだ」

 「そこには確かな価値があるはずだ…」


ここで話を戻して、

千巌坊「それでアイルベニスから先のルートだが…」

沖津灘「次はボルムネジアの王都に向かうたい」

鵺洸丸「それがしたちは王都…アンシー殿たちは東部地方…」

 「2組がボルムネジアの別々の地域に行けば、国の助けになりまするかと…」

タオツェイ「時間差はあるだろうが、それぞれの地域で魔獣どもが現れたとしても対処できるだろうからな…」


続いて、

鵺洸丸「ボルムネジアの王都からはサツマダイまで参りまする…」

千巌坊「そして青浜城でクレードを待つつもりだ…」


ススキ「そうなると、場合によっては青浜城で何週間も、あるいは一ヶ月以上滞在することになるかもしれないわね…」

ウェンディ「押忍!そこは瑠璃姫様の御父上がウチらを受け入れてくれると期待するッス!」


シェルージェ「旅のルートの話はもう終わったの!?」

 「じゃあ男たちはもう解散!」

アンシー「シェルージェ、まだジェムストーンのことについて話してないわよ」


クレード「完成品のグラン・ジェムストーン(※9)はまだ11個もある」

 「お前ら女も分かれて行動する以上、3、4個はジェムストーンを持っておけ」


アンシー「シェルージェ、ジェムストーンはいつどこで誰が変身するかまったく分からないのよ」

 「だからその辺はちゃんと話し合わないと」

クレード「お互い色や宝石が被らないようにしたいからな」


シェルージェ「ちぇ!まだ話すのぉ!」

カルパーラ「シェルージェ様、辛抱することも大人への一歩ですわよ」

ビオランテ「もう少しだけお願いいたしますね」


その後クレードやアンシーたちは話し合い、それぞれが用いる色と宝石を何にするか決めた。

そしてアンシーたち女性陣はジェムストーンを3個持っていくことに。


オリンス「シェルージェちゃん…シェルージェちゃん…」

ナハグニ「女子おなごが…愛らしき女子おなごたちが…」

オリンスとナハグニはその後の話し合いでもずっと落ち込んでいた。


話し合いが終わり、八角形の古城カスティル・デルモ・モンテを出た一行は男女で分かれ…


アンシー「それじゃあ、青浜城で会いましょう」

クレード「それまでにはオリンスを落ち着かせておく」

 「シェルージェのことをよろしく頼んだぞ」

オリンス(悲しそうに)「シェルージェちゃん…シェルージェちゃん…」

シェルージェ「気安く呼ばないでよ!できればもう会いたくないんだからね!」


鵺洸丸「ススキ殿、アンシー殿やシェルージェ殿たちをお助けするため、くノ一としての腕を存分に発揮してくだされ」

ススキ「分かりました。私、精一杯頑張ります…」

鵺洸丸「頼みましたぞ…」

ススキ「はい…」


ススキ(心の中で)「(鵺洸丸さん…次あなたと会う時までにはもっと強くなってみせるから…)」


鵺洸丸と一旦別れることになったススキは今よりも強くなろうと決意するのであった。


クレードたち男性陣はアイルローマ市に向かうため西へ、アンシーたち女性陣はベレスピアーヌ共和国に向かうため北へと、それぞれ進んでいった。



その頃アイルクリート第一魔法大学の助手部屋では、

ティム(紫の髪・心の中で)「(ハァ…)」

 「(もう8月の冬休み(※10)ですよ)」

 「(クレードさんたちはいつになったら大学へ到着することやら…)」

 「(まあその分ヴェルトン名誉教授や共同研究者であったバーテッツ氏についても調べさせてもらいましたがね…)」

 「(おかげでヴェルトン名誉教授が破天荒な方だったというのがよく分かりましたよ…)」



その頃ベレスピアーヌ共和国の教会では、

サンナ(ピンクの髪・祈っている)「(全能なる神様、混沌とした今の世で私ができることはなんでしょうか…)」

 「(進むべき道をお教えくださるのなら、私はしっかりと歩いてまいります…)」



そして同国の港町では、

ミレイヤ(藍色の髪)「月はわたくしたちムースリアスの民にとって尊ぶべきものであります」

 「「月の港」と呼ばれる、このボルドンヌの港町(※11)には深い趣を感じますわ、お兄様」

ブロイス皇子おうじ「そうだね、ミレイヤ…」

 「月の港っていい響きだね…」


ラープ帝国兵①(騎士・小声)「(ベレスピアーヌ本土に着いたというのに皇子は元気がないままだ…)」

 「(せっかくソフィアーヌ首相とお会いできるというのに、これでは印象が…)」

ラープ帝国兵②(騎士・小声)「(そうだな、コランタームではポランレス首相にも心配されたことだしな…)」

紫の髪のティム、ピンクの髪のサンナ、藍色の髪のミレイヤ…

物語の舞台は、アイルクリート共和国、そしてベレスピアーヌ共和国へ。

次回へ続く。


※1…町の名前の由来は、イタリアの世界遺産「サン・ジミニャーノ歴史地区」(文化遺産 1990年登録)より

☆※2…村と古城の名前の由来は、イタリアの世界遺産「カステル・デル・モンテ」(文化遺産 1996年登録)より

※3…市の名前の由来は、イタリアとバチカンの世界遺産「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」(文化遺産 1980年登録 1990年拡張)より

☆※4…島の名前の由来は、フィリピンの世界遺産「ビガン歴史都市」(文化遺産 1999年登録)と、同都市がある島「ルソン島」より

☆※5…島の名前の由来は、インドネシアの世界遺産「コモド国立公園」(自然遺産 1991年登録)より

※6…市の名前の由来は、イタリアの世界遺産「ヴェネツィアとその潟」(文化遺産 1987年登録)があるヴェネツィアの別名「ベニス」より

※7…元ネタは博多弁。『ばってん』は「しかし、けれど」などの意味。

※8…ワトニカでは魔法使いは「妖術師」などと呼ばれている。

※9…「グラン・ジェムストーン」とは、ヴェルトン博士が魔法や魔力を使い開発した特別な魔法の石で、この石に選ばれた人物はブルーやグリーンのようにクリスタークの戦士に変身できるようになる。

変身能力を得ると「グラン・ジェムストーン」は魔法の宝石になり、色や形を変えるので、クレード(ブルー)のは「グラン・サファイア」、オリンス(グリーン)のは「グラン・エメラルド」などと名付けた。

※10…アイルクリート共和国は南半球にある国なので、8月は夏ではなく、冬の時期なのである。

☆※11…港町の名前の由来は、フランスの世界遺産「月の港ボルドー」(文化遺産 2007年登録)と、同港を流れる「ガロンヌ川」より

(☆:物語初登場の世界遺産)

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