ミスズ町
僕は地図を開く。
僕が今迄居たのは、カンナ町だ。そして、一番近いのがオード村。それと反対方向にはミスズ町がある。
オード村はさっき行ったので、ミスズ町に行くことにした。
「ダイチ!走ってこー。トレーニングになるよ」
「わかった。早速鍛えてくれてありがとう」
「勿論だよー」
そして、僕とマオは走ってミスズ町にいくことにした。
途中で茶狼の群れに出くわした。不思議な事に、今の僕の疲弊した身体でも倒すことができた。
その他、赤蜘蛛が居た。倒して素材を冒険者の袋にいれていった。確実に僕は強くなっていた。
そして、4時間程走りながら戦闘を繰り返してミスズ町に着いた。時刻は昼過ぎだ。毎日走ってるからこれくらい走るのは辛くなくなっていた。
ミスズ町は、近くにミスズ川が流れている。その恩恵を受けて発展した町だと言われている。しかし、僕はそんなイメージと正反対のものを見てしまう。
「ダイチーこれがさっき言ってたミスズ川なの?汚いね」
ミスズ川って綺麗な川だと思っていた。しかし、実際は凄く濁った川だった。
「うん…僕も意外だったよ。こんなに汚いだなんて…」
なんというか、悲しい気分になる。
そして、ミスズ町に着いた。
ミスズ町の光景を見て僕は落胆した。それは、色々な所で人が座り込んだり寝ていたりしている町だからだ。更に道が汚い。ゴミがいっぱい落ちている。
僕はこの町に嫌悪感を抱いていたのだが、それとは裏腹にマオはご機嫌そうな表情をしていた。
「なんか、懐かしい風景。」
「どうして?」
「マオが育った所もこんな感じだったから…」
僕は恵まれていたのかもしれない。孤児院育ちとはいえ、僕の育った環境はここよりも清潔感に溢れていた。だからこそ、隣にいる魔物の女の子を救うことができたのかもしれない。
何かお腹が空いたので、一件のお店に入った。そこは、バーだった。
「いらっしゃい。あれっ?お兄さんとお嬢ちゃん、見ない顔だね。冒険者かい?」
バーのマスターが話しかけてくれた。
「はい。そうです」
「いやぁ。ここは昔は冒険者で賑わっていたんだけどね、今じゃすっかりゴロツキの溜まり場になってしまってね」
「誰がゴロツキだ!俺はしっかりとはたらいてるぞ!」
野次が飛んできた。大柄でムキムキで、スキンヘッドで頭にバンダナを巻いた男だ。見るからにゴロツキだ。
「まあ、そうなんだけど。あまり冒険者を怖がらせないであげてね」
「はぁ?俺怖がらせてねぇし!マスター失礼すぎない?」
正直僕は怖い。この町そのものに恐怖を感じていた。僕は軽い気持ちで旅を始めたのだけど、準備不足だった。こんなにも旅が怖いものだとは思っていなかった。
「やあ。ボウズ!俺のこと怖くないよな?なっ!正直に言ってみな?」
「こここ…こわくないです…」
僕は震えながら言った。ここで正直に言ったら何をされるかわからない。
「グチさん、やっぱり怖がってるよこれ。」
グチさんと呼ばれる男はバツの悪そうな顔をした。
「嬢ちゃんは怖くないよな?」
「うん。全然怖くないけどここは、怖いって怯えた方がいいかな?どう?ダイチ?」
マオが僕の後ろに隠れて不馴れな感じで震えている。
「嬢ちゃんいいねー!気に入った!そんな玉の小さい男は放っておいて俺と飲もうぜ!」
すると、マオの表情が一変した。怒りに満ちた表情だ。
「おい!今何て言った?ダイチの玉が小さい?お前なんか、ダイチに掛かれば一瞬だぞ!」
「ほう…それは面白そうだな…くくく」
「ぼくは…その…」
弁解しようとしたが、パニックで言葉が紡げない。
そのままグチさんに胸ぐらを掴まれる。
「あの、喧嘩は店の外でやってくださいね」
マスターが止めに入った。助かった…このまま逃げよう…
僕は逃げるために外に出ようとする。
「おお! やる気か? いいぜ! 外で喧嘩しようぜ!」
「よし! ダイチ! やっちゃえ!」
何故か、そのままなし崩しに僕はグチさんと闘うことになった。とりあえず全員外に出た。早く昼食を食べたい…。
「くくく…では、こちらから行かせてもらうぜボウズ!」
グチさんが攻撃を仕掛けてきた。
初めは怖かったけど、腕の動きが大きすぎていつ攻撃を仕掛けてくるか丸わかりだった。
僕はその拳を払って、そのままお腹に突きを一発。そして、顔面に蹴りを一発入れた。
グチさんがフラフラになりながら
「ボウズ…やるじゃねぇか。降参だ。これからは、アニキと言わせてくれ!」
「えっ?」
舎弟ができた。




