おいしいコーヒー
「コーヒー? 苦いの? それ?」
マオは聞いてみた。
「はい。苦い飲み物です。私とシンジは何度かこっちに来てるので飲んだことはあります。」
女神様が応えてくれた。
「えっ? マオ苦いの嫌だ。甘いのがいい。」
「苦いのに砂糖やミルクを入れると何故か苦いのが苦手な人も飲めます。さっき、レイスが言っていた通りだわ。」
「そうなんだー。おもしろそー! マオも飲んでみる!」
そして、レイスが帰ってきた。
「おまたせ。あと、砂糖とミルクはここに置いておくね。」
レイスがカップ6個と、黒い飲み物がたくさん入った入れ物を持ってきた。
カップの中には何も入ってない。
「今は私はあなた達に敵意はないわ。だから、ほら毒なんて入れたりしないから安心して飲んでね。」
レイスはそう言って空のカップが本当に空だとわかるように見せてきた。
「カップから湯気が……」
マオはカップの湯気に気づいた。
「これは、カップにコーヒーを注ぐ時に温度が下がらないようにするためよ。美味しいコーヒーを飲む為にしてるの。怪しい行為ではないわ。」
レイスが直ぐに応える。
「へー。そんなのあるんだ。西の民の飲み物は凄く凝ってるんだな。」
ダイチが感心する。
「わかりました。今回ばかりはレイス、貴女を信用しましょう。」
女神様がそう言った。
「ありがたいわ。意外と話が分かるのねメグミさんって。もっと堅物だと思っていたわ。」
「あら。そう? ありがとう。でも、貴女のことを完全に信用したわけじゃないからね。」
「ふふふ。そうねぇ。今はそれでもいいわ。まあ、コーヒーを飲みながらゆっくりとお話しましょう。」
そう言ってレイスは全員のカップにコーヒーを入れた。
「まず、私が毒味をするわ。」
レイスはカップを口に持っていく。そして
〈ゴクゴク……〉
「ほら、何ともないわ。これで、信じてくれるかしら? 飲みたくなければ無理に飲まなくてもいいわ。」
確かにレイスに変わった様子はない。これは、この飲み物の中に毒が入っていないという証拠だ。
「では、私からいただきます。」
女神様が飲んだ。
「メグミさんはブラックなんだ。気が合うかもしれないわ。」
「こ……これは……コーヒーの豆の甘み……? 初めて感じたわ。雑味が全くないのね。」
「あら、随分と誉めてくれるのね。そうよ。雑味なんて一切感じさせないわ。私の苦味は雑味を認めないの。苦味の中にある僅かな甘み。わかる人にはわかるのよ。メグミさんにわかって貰えて嬉しいわ。」
「これ、どうやっていれてるの? 参考迄に聞かせてほしいわ。」
「基本的には、ハンドピックという工程なんだけど、形が不揃いだったり、虫食いやカビのある豆を取り除いてるわ。あと、焙煎後も割れとかあるからハンドピックをもう一回してるわ。次に、焙煎してから3日間炭酸ガスを抜いてるわね。最後にパウダーコントロールって手法を使ってるわ。具体的には挽いた後に細かすぎる粉を取り除いてるのよ。」
なんか、専門用語ばかりで何を言ってるのかわからない。
というかなんか、女神様とレイスが打ち解けている。えっ…?
「みなさん、私が毒味しましたが大丈夫みたいです。あと、皮肉にもレイスのいれたコーヒーは絶品でした。」
「では、俺も飲みます。」
シンジはスプーン3杯の砂糖と、コーヒーと同量くらいのミルクを入れた。
「あら、シンジくんは甘党なのね。そういう男の子も可愛くて好きだわ。」
レイスが誘うような事を言う。
シンジは顔を赤らめながら
「おいしいです……」
そう言った。
「じゃあ、私も。」
アズミが何も入れずに飲む
「にがーい。なにこれ!? 甘みなんて全然わからないじゃない! ミルク入れてみるね。」
そして、アズミはミルクを少しずついれる。
「あれっ!? おいしい。どうして? あと、砂糖入れてないのに甘い。」
「雑味の無いコーヒーは、砂糖がなくてもミルクの乳糖の甘みが強調されて甘く感じるのよ。」
「凄い飲み物だね。コーヒーって……」
アズミもコーヒーに嵌まったようだ。
「じゃあ、次は僕が飲むね。」
ダイチが飲む……
「ゲホゲホ……これは苦いね! 女神様よくこんな苦いもの飲めるね……」
「私は飲み慣れてますから。砂糖とミルクをどうぞ。」
ダイチは、女神様から砂糖とミルクを受け取り砂糖を一杯……二杯……三杯……四杯入れた。
「あっ。おいしくなった。僕は砂糖だけでいいや。」
「ダイチくんは随分と甘党ね。いっぱい甘々に可愛がってあげたいわ。」
いや、だからさっきから男性に対してのコメントは何だよ。
そして、いよいよマオの番
まず、ブラックで
「ま…まずっ……」
これは苦すぎる。何これ本当に飲んでいいものなの?マオのカップにだけ毒入ってない?
「さあ、どうぞ。」
女神様が砂糖とミルクを用意してくれた。
マオは一杯の砂糖と少しのミルクを入れた。そして飲む。
「あ……れ……? おいしい。何これ? どうして?」
「苦味と甘味が合わさってコクというものになるから美味しく感じるのよ。」
レイスが説明する。
「さて、皆さんが私のおもてなしを喜んでくれて嬉しいわ。寛いでね。それで、ここからが本題なんだけど、私がミナト町でやっていたことを話すわね。」
作者は、コーヒーマニアなのでなんかいっぱい詰め込んでしまいました。




