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99話 キャロットさんの話 

◇は視点が変わる合図です。






  「キラ―」  「キラ―」   「キラ―」




     「キラ―」  「キラ―」




  「キラ―」   「キラ―」  「キラ―」




    「キラ―」    「キラ―」 






眩い光の中で、私は懐かしい人に出会った―



それは、遠い記憶の果てで別れた人。



その人は、いつも澄ました顔で獲物を見定めていた。





その人の鮮やかなで、流麗な剣技は



いつも、私の心を震わせた。








       私が長く身に付けていた、この指輪…


       光彩の指輪だけの特別の効果とは―






それは、その指輪を身に付けている時に喜んだり、楽しかったり、感動したりと…幸せに感じた記憶が、頭の中に、次々と思い浮かぶというものでした。


そして―



その記憶は、時間が経てば経つ程に、頭の中に鮮明に浮かぶ仕様になっているみたいです。




140年前の遠く霞んだ記憶は…


まるで、私をタイムスリップさせたかと錯覚してしまうくらい、より鮮明に脳裏に甦っていました。






それと同時に、当時の記憶を呼び覚ます。




私が、ここまで至った経緯




ここまで、歪んでしまったキッカケも…









       ―それは全て、あの人の為だった―


















              ◇




















「イブ先輩、久しぶりです…」


「でも、イブ先輩って…死んだはずじゃ!?」



スポットライトが消えた薄暗い実験室にて、キャロットさんは言う。

キャロットさんは、とても驚いています。



「すいません、何か生き返りました…」



「す、凄いですね!!」




「でも、私の方こそ、すいません」

「先輩に、剣を向けてしまって…」



「いやいや、別に気にしなくて良いわよ」




「…」(私とキャロットさん)



私達は、気まずい雰囲気になります。





「でも、キャロットさんは何でこんな所にいるの…!?」




「まぁ、色々とありまして…」


「とりあえず、上にあがりませんか…!?」



「そ、そうね…」




私達は、とりあえず場所を移動する事にします。









              ○







       「ズズズズズズ…」(お茶を啜る音)




      「ペチャクチャ…」 「ペチャクチャ…」



      「ペチャクチャ…」 「ペチャクチャ…」





「それで…結局、幽体離脱する薬は作れなかったですけど、元々作ろうとした理由が、空を飛びたいと思ったからなんですよ!!」



「へぇ~、そうなんだ」


(霊になって、飛びたいとか発想が凄いな、キャロットさん…)



「それで、なんですけど…」


「ある時に、急に念力が使える様になったんですよ。あの時は…凄い驚きましたね。それで、まぁ…箒で空を飛ぶ事が出来る様になったので、ある意味…私の夢は、叶った感じなんですよね!!」


「へぇ~、良かったですね!!」




キャロットさんは念力で箒を浮かせて、飛ぶ事が出来るみたいです。

まさに、魔女そのものですね!!


この世界には、魔女もいるんですね。

少しテンションが上がります。


そんな魔女のキャロットさんは…


現在165歳との事で、120歳を超えた辺りから念力が使える様になったみたいです。そして…何故か、色々と記憶を失っても、幽体離脱をする薬を作る事は忘れなかったとか。




「ふ~ん、そうなんですね」




私達は、居間でお茶を飲みながら話していました。


お洒落な家具達は…小さくも立派なシャンデリアの光に反射してピカピカと煌めいています。私は、洒落たホテルのロビーで、旅の疲れを癒しているかの様にゆったりとします。ゼニィーもですね…あくびをしながらソファーにだらけて、私達の会話を聞き流していました。




私は、ゼニィーの事も忘れて…


キャロットさんとしばらく、たわいのない事を談笑していましたが。





「ズズズズズ…」(お茶を啜る音)





「それで、キャロットさん―」

「貴方の身に一体、何が起こったの!?」


私は、気になっている事を聞きます。



「でも、キャロットさん…」


「バルキードとの戦争でよく無事だったわね。だって、パーシャは1番の激戦地で、騎士団の皆も大勢亡くなっているし」




(まぁ、この前、会いましたけどね…)








           「…」(キャロットさん)








「そうね…」

「勿論、私もあの時はパーシャにいたわ」


「そして、他の騎士の皆と一緒に前線に出て、戦っていたりもしたわ」



キャロットさんは、重たい表情で言う。





「だけど…」

「私は途中で怖くなって、逃げてしまったわ。それほどに、あのゴーレム兵とサラマンダーの大群は手強く厄介で、今まで味わった事の無い恐怖を感じたわ…」



「ふ~ん…」



そんなキャロットさんは、自慢の魔法薬を駆使して、燃え盛るパーシャの町から何とか逃げ出したみたいです。





「逃げる時は、必死だったけど…」


「逃げた後で我に返ってみれば、それはパーシャの町と騎士団の皆を見捨ててしまう行動だったわ。皆には、本当に申し訳ない事をしてしまったと思っているわ…」



「ルイアさんとも…」


「この王国の平和を一緒に守っていこうと約束したのに私は…」



キャロットさんは、落ち込みながら言う。





「別に今更、そんな事、誰も責めはしないわよ」

「それだったら、私なんて戦争が始まる前に逃げちゃったからね~!!」


私は、よく分からない冗談を言う。


キャロットさんは、そんな私を見て…何とも言えない顔になっていました。そして、キャロットさんは話しを続ける。









「逃げ出した理由は、他にもあるわ…」




「私は…」

「あの人と、生きて会わなければならないという思いが強かった」

「だから、どうしても死ぬ訳にはいかなかった」


キャロットさんは、光彩の指輪を見つめながら言う。






「…」(私)






「あ~、そういえば…」

「キャロットさんには、王都に恋人がいたわね。超遠距離恋愛の人が…このヴェル王国のお偉いさんだっけ!?」



「ええ、その人の事よ」



「ふ~ん…」

「それで、その人とは結局どうなったの!?」

「でも流石に、もう生きてないわよね」





「生きているわ!!」

「それも全く歳を重ねる事も無く、当時の姿のままで―」



「「ブウウウ~!!」」


私は、飲んでいたお茶を吹き出します。




「イブ先輩、貴方は…」

「この国の3つの宝具の事は、知っているわよね!?」



「3つの宝具…!?」




3つの宝具とは…バルキードとの戦争で、この王国を勝利に導いた3つの有難い魔法具の事だったかしら?





「3つの宝具は…優秀な魔法具と言われているけど、その正体は全部、禍々しい効果を持った高位の呪具よ」




「そして、その人は…」



 








       「その内の1つの呪具の所有者―」
















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