寂しい山脈の冒険(part4) ~猫舌~
※この先、どうなっちゃうの…!?
展開は、未知の領域へー
「あれっ―?」
私は、お婆さんの温かい料理を食べられずにいた。
私は…まずはお腹が空いた胃袋を優しく温めたいと思い、クリームシチューをスプーンで掬って、口に運ぼうとしましたが。
「ガン、ガン―」
まるで…
透明な仮面を被っているかの様に、それにガンガンとぶつかり、口に入れる事が出来ません。
(一体、どうして…!?)
「!!」(私)
「ちょっと、ゼニィー!!」
「自分が食べられないからって、変ないたずらはしないでよっ!!」
私は、私が食べようとしている所を物欲しそうに見つめているゼニィーを疑います。ですが―
「いや、ボクは何もしていないよ~!!」
「えっ…そうなの!?」
「じゃあ、何で食べられないの!?」
「お口バリアが、ブロックしたんじゃないの?」
「ウ、ウソっ…!?」
「な、なんでブロックしたの…!?」
いや―
その理由は、もう私の頭の中に伝わっていました。
何故、お婆さんの料理をバリアがブロックしたのか…
それはクリームシチューの中には、とても調味料で使わない様な危険な物体が混入していたからです。
その危険な物体とは―
ネムリ茸のエキスです。
このネムリ茸は…
私が、先ほど川原で食べようとした毒キノコの内の1つでありました。
その毒キノコのエキスが…クリームシチューの中に混入していたのです。
でも、何故…クリームシチューに、こんなものが入っているのでしょうか。
意図的に、お婆さんが混入させたのでしょうか。
「…」(戸惑い)
私は…何かの間違いと思い、他の料理も食べてみる事にします。
気を取り直して…まずは、色鮮やかなカルパッチョから食べましょうか。
「ガン、ガン―」
あっ、これもダメですね。じゃあ、別の料理を…
「ガン、ガン―」
うん、これもダメ。じゃあ、次…
~ 一部省略 ~
「ガン、ガン―」
これもやっぱり、ダメ…
「カチャ…」
私は、一通り確認を終えて…
スプーンとフォークを静かにテーブルに置きます。
「フゥ…」
(((いや結局、全部毒が入っているじゃないかアアアア―!!)))
結局…私の目の前に置かれた料理達は、全てネムリ茸のエキスが混入していまして、食べる事が出来ませんでした。それで唯一、口に出来たのはコップに入った水だけでしたね。
(パクパクパクパク…)
「普通に、美味しいけどね~!!」
「えっ、ゼニィー!?」
ゼニィーは、私のクリームシチューを飲みながら言います。
あっ、そうか…ゼニィーは、毒キノコを食べられるのでした。なので…ネムリ茸のエキスが入った料理も、普通に食べられるそうですね。
「お婆さんが間違って、入れちゃったのかな~!!」
「う~ん…」
私は…
見た目は、とても美味しそうな料理達に囲まれながら悩みます。
その可能性も、少なからず考えられますが…あっ、そうだ!!
私は…お婆さんのクリームシチューに、指をチョンっとつけて舐めます。
「それ、ペロリっ―」
「フムフムフム、旨いっ!!」
普通に食べる事が出来ました。そして、普通に美味しいです。
これは、つまり…
私の分の料理にだけ、毒が盛られている事になりますね。
もし、お婆さんが何かの調味料と間違って、毒を入れてしまっただけならば、お婆さんの方の料理にも毒が混入していますからね。
これで―
お婆さんが意図的に毒を入れた可能性が濃厚になりました。
お婆さんは、私を毒殺しようとしている!?
一体、何で…
「「「!!」」」(私)
「サァ―」
「美味しいパイが、焼き上がったわよ!!」
そうこうしている間に、お婆さんがキッチンから戻って来ます。
キッチンミトンをした両手には、こんがりと焼き上がった美味しそうなパイを持っていました。部屋の中には…芳ばしい小麦の匂いが漂い、食欲を誘います。
本当ならば、すぐにでもカブリつきたい所ですか…
あれにも、毒が入っているのでしょうか…
「おやっ、どうしたんだい…?」
「食べないのかい…?」
お婆さんは、食事に手をつけない私を見て、心配そうに聞いてきます。
そのお婆さんの本当に心配してそうな顔が…不気味さをより一層感じさせる。
「いや、私って…あの~」
「猫舌なんで、冷ましてから食べようと思いまして!!」
「フゥフゥフゥフゥ…」
私は、咄嗟に―
クリームシチューをスプーンに掬って、フゥフゥと息を吹きかける仕草をします。そんな、私が即興でとった行動でしたが…
「なんだ、そうかいね…」
お婆さんは、安心した様子で言う。
どうやら、納得したみたいです。
「…」(私)
ですが…これから、先はどうしましょう。
私は咄嗟に、猫舌を演じただけで、何も考えていませんでした。
私は、スプーンで掬ったクリームシチューに息を吹きかけながら、迷います。
「フゥフゥフゥフゥ…」
やはり…お婆さんに直球で『何故、毒を入れたのですか?』と言うべきでしょうか。ですが、そうしますと…お婆さんが、どんな行動に出るか分かりません。もしかしたら、お婆さんが襲ってくるかも。
まぁ、バリアがあるので、死ぬ事は無いと思いますが。
覚悟を決めて、直球で言うか…
それとも―
お婆さんは、まだ私が毒を看破した事に気付いていません。
なので、お婆さんに気付かれない内に…例えば、適当にトイレに行くフリをして、この場から逃げますか。あっ…ですが、玄関は頑丈に施錠されていましたね。そう簡単に、外に出る事は出来ませんでした。
(ん~、ゴチャゴチャゴチャゴチャ…)
私は、唐突の出来事に考えがまとまらずにいました。
頭の中は、ゴチャゴチャです。
次第に-
スプーンに乗ったクリームシチューは、水の様に冷たくなる。
焦る私…もう、考えている時間は無い。
そう思った時でした。
「ボクに考えがあるよー!!」




