86話 毒キノコパーティー
「見て見て、凄いビックリすると思うよ~!!」
「パカっ―」
ゼニィーは、持っていたタッパーの蓋を開けます。
私は、期待と不安を胸にタッパーの中を覗き込みます!!
「!!」
「これは…キノコ!?」
「そうで~す!!」
「向こうに沢山、生えていましたー!!」
タッパーの中には…沢山のキノコが詰め込まれていました。まさに、森の恵み…キノコの盛り合わせですね。私もキノコは好きなので、嬉しい限りです!!
(ナイス、ゼニィー!!)
「…」(私)
まあ、それは…安全なキノコならばの話しですが。
「何、このキノコ…?」
その色彩豊かな綺麗なキノコ達は…不気味な程にカラフルな色でありました。ピンク色だったり、水色だったり、エメラルドグリーンだったり…もし、これがお花でしたら、とても綺麗な花束が出来そうな感じです(汗)
少なくとも…
私が知っている食べられるキノコは、こんな色はしていませんでした。見るからに、怪しいキノコです。
「あのさ、ゼニィー…」
「これって、食べて大丈夫なキノコなの…?」
「さぁ、適当に採ってきたから、分からないよ~!!」
「「それじゃあ、食べられないじゃん!!」」
「でも、大丈夫なんで~す!!」
「えっ…」
「それって、どうゆう意味なの…?」
「うん、お口バリアがあるから大丈夫だよー!!」
「「「えっ、お口バリアアア―!?」」」
私は、驚いて言う。
「うん、お口バリアはね―」
ゼニィー曰く-
お口バリアとは、体表バリアの内の1つで経口摂取により、自身の体内に命の危険を及ぼす物が入らない様に、防いでくれるバリアとの事です。
―ゼニィーのバリアは、あらゆる危険を想定して、その危険から身を守ってくれます。これにより、間違って毒物を食べてしまったり、誰かに毒殺される事を未然に防ぐ事が出来るみたいですね。
「そ、そうなのね…」
(相変わらず、高性能なバリアですね…)
つまり…
ゼニィーが採ってきた花束の様なキノコ達の中に、毒キノコが入っていても、お口バリアによって、自動的にブロックされるとの事です。まぁ、これだけ沢山のキノコがあれば…食べられるキノコも多少はあるでしょうね。私は、そんな事を考えます。
「…」(私)
「折角だし、森の真ん中じゃなくてさ…」
「もっと、開けた所で食べたいわね!!」
「ならば、良い所があったよ~!!」
ゼニィーは、言う。
じゃあ…
とりあえず、そこに行ってみましょうか。
○
「「ザアアアアアアアアアアアアアアア―!!」」
「「バシャバシャバシャバシャバシャ―!!」」
力強く水が、流れる音が聞こえる。
そんな逞しい水の流れは、途中にある岩に当たりながらバシャバシャと大きな飛沫をたてている。
私は…ゼニィーに案内されて、森の中を流れる渓流のほとりのいました。
そこで、私は七輪でキノコを焼いています。
「ジュウウウウウウウウウウ…」
(モクモクモクモクモク…)
その場所は、川原が広がっていまして…何かを焼くには、ちょうど良い場所でした。川原にあるキャンプ場みたいな感じですね!!
(ウキウキウキウキ♪)
こんな自然が豊かなキャンプ場?で、採れたてのキノコを食べられるなんて、とてもウキウキしますね。キノコの芳ばしい香りが、モクモクと煙となって空に昇っていきます!!
「「ギャアアアアアアアアア―!!」」
「…」(私)
…そして、飛んでいる鳥達が叫び声を出しながら、バサバサと墜落していくのが見えました。きっと、この煙のせいでは無いはずです(汗)
「う~ん、そろそろ良いかしらね…」
(とりあえず、良い感じに焼けたので食べましょうか…)
私は、焼き上がったキノコを箸でつまんで食べようとするが…
「ガン、ガン―!!」
あれっ…食べられない。口の表面にガラスが張られているかの如く、それにぶつかって口に入れる事が出来ません。つまり、これは毒キノコみたいですね。ふ~ん…こんな感じで、バリアがブロックしてくれるのですね。
では…次のキノコを食べてみましょうか!!
私は、手当たり次第のキノコを焼いて食べてみる事にする。
~10分後~
「ガンガン―!!」
「ハァ…」
このキノコもダメですか…
では、次のキノコにしてみましょうか。
しかし、タッパーの中を見ると、もう空っぽでした。
「…」(私)
「「結局、全部毒キノコじゃないかアアアアー!!」」
「「私を殺す気かっ!!」」
結局…私が食べようとしたキノコは、全てお口バリアによって食べる事が出来ませんでした。
「え~、そんな事ないのに…」
「このキノコ、結構美味しいよ(モグモグモグモグ)」
「「ウワアアア、何やっているの!?」」
毒キノコを普通に食べながら言うゼニィー。
しかも、生で食べている。
「えっ…」
「食べて大丈夫なの、ゼニィー!?」
「人間にとっての毒と、精霊にとっての毒は違うからね~!!」
「そ、そうなのね…」
ゼニィーには、私が食べられなかったキノコ達を…
普通に食べる事が出来るらしい。唖然とする私。
「…」(私)
「黄色のこのキノコは…」
「シビレ茸で食べたら、身体中が痺れて死に至る」
「真っ赤なこのキノコはチシブキ茸で…」
「食べたら全身から血が吹き出して、ミイラになってしまう」
「水色のこのキノコはネムリ茸で…」
「食べたら次第に強い眠気に襲われて、寝てしまったら二度と起きる事は無い」
「ブツブツブツブツ…」
そして…
私は突然、毒キノコを指差して、それぞれの名前と食べたら引き起こされる症状を言います。私は何故か…これらの毒キノコの知識が身に付いていました。
これは一体…!?
「これも、お口バリアの効果だよ~!!」
「えっ!?」
「お口バリアでブロックされるとね」
「何故ブロックしたか、その理由も分かるんだよ~!!」
「へぇ…」
毒キノコがブロックされた場合は…
その名前と食べたら引き起こされる症状が分かるらしいですね。
(フムフムフム…)
この…お口バリアがあれば、優秀な毒味役になれるわね。これは…どこかの王族や貴族の毒味役として仕えて、それを金策にしていくのも良いかもしれないわね。
「…」(私)
いや、やっぱり毒味役なんて…やりたくありませんね。
「焼いて、食べるとまた一味違うね」
「こっちの方が美味しいね~!!」
「あっ、追加のキノコも採ってこようか~!?」
「いや、もういいわよ…」
1人で盛り上がっているゼニィーさん。
それで結局…私は、召喚した味気ない魚だけ食べました。
◯
「「ザアアアアアアアアアアアアアア―!!」」
「カアカアカアカアカア―」
夕食を終えて、しばらくが経ちましたー
「…」(私)
森の上で、烏が寂しく鳴いています。
生い茂る木々の間から見える空は、赤黒く不気味に染まり、まもなく夜になろうとしていました。
次第にー
森の中は、漆黒の闇に包まれていきます。
そんな闇の中に聞こえるのは…渓流を流れる水の音と、風に吹かれて揺れる木々の葉が擦れる音だけです。
「ふぅ、さてと…」
「パチン―」
私は、レジャーシートを敷いてランタンを点ける。
今日はこのまま、ここで野宿ですね。ですが…川原ですので石とかがゴツゴツしていて、とても寝にくいです。
「ああ~あ、地面が固いな…」
(ゴロゴロゴロゴロ…)
私は…
何の満足感も得られないまま、居心地が悪そうにレジャーシートの上でゴロゴロしていますと―
「コツコツコツコツ…」
「コツコツコツコツ…」
(んっ…?)
川のせせらぎに混じり、川原を歩く足音が聞こえる。
―辺りは、もう暗闇に包まれている。
しかも、大きな森のど真ん中だ。
こんな時間に、こんな場所で誰かが歩いているでしょうか。
私はゴロゴロしながら、そう思っていますと…
その足音は、次第に近づいて来ます。
「コツコツコツコツコツ…」
「コツコツコツコツコツコツコツコツ…」
「おやおや…こんな所で何をしているんだい!?」
(((ドキっ―!!)))
闇の中から、誰かがしおれた声で私に話しかけた。




