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75話 夕闇の道 





「ガラガラガラガラガラ―」



「ガラガラガラガラガラ―」






2人が乗った荷馬車は、ガラガラと音を立てながら進んで行く。


特に急ぐ訳でも無く、ゆっくりと―






辺り一帯は、次第に暗くなり…



今まさに、夕陽が沈もうとしている所です。



地平線の彼方から、差し込む夕陽が2人の単調な色の服を赤く照らす。








遮る物が無いから、沈み行く夕陽が良く見えます。








そんな、夕陽のせいでしょうか―






私はどこか、寂しい気持ちに浸りながら、どこまでも続く夕闇の道を眺めていた。そして…赤く染まりきった夕暮れの空の真上には、ポツポツと星の光が見え始めていました。












「イブちゃんって、もしかして…」


「パーシャの町の方から来たの!?」


隣に座るカマンヴェールさんが言う。





「は、はい…」


「まぁ、そんな感じです」



恥ずかしそうに答える私。

遠目で見たら、お揃いの格好ですからね。

今は幸いな事に、誰の姿も見えない寂しい道ですけど…






「ハァ…」



(このまま、村に行かないといけないのか…)




(チラっ…)



隣に座るカマンヴェールさんをチラっと見ると、見事に目が合ってしまい…カマンヴェールさんは、私に不気味なウインクをする。



『ゾワアアア』っと身体中の毛が逆立つ私。





「ふ~ん、でも凄いわね…」

「パーシャの町から100km圏内は、皆…カコシを怖がって、近付かないんだけどね。特に、冒険者や騎士とかはね!!」


そして…カマンヴェールさんは、感心しながら言う。



「100km圏内ですか…」


(これは具体的な危険範囲でも、定めているんでしょうか…?)



「王国はねぇ、パーシャの町から100km圏外ならば、カコシの影響は特に受けないとしているわよ。因みに…数十年に一度に大量発生する時も、バルキードの方に必ず行くからね」



「そうなんですね…」




更に、聞きますと…

王国は、カコシを発生させる魔法具の発見には至らなかったが、発生したカコシの一部を持ち帰り、その成分や性質を解明する事によって…『パーシャの町から100km圏外なら安全』と言う事を、結論付けたそうです。



そして…


『数十年に一度にカコシが大量発生する時は、必ずバルキードの方に行く』事については、カミューラと言う王国最強と言われている風の魔法使いが風を操り、大量発生したカコシをバルキードの方に流しているとか。





「…」(私)



(てか、バルキード王国は、それで文句を言ってこないのか…?)




「カミューラは、遠目で1回見た事があるけど…それは、それは、大きなドレスを着ていた小柄な女性だったわ。それで目元には、包帯をグルグルに巻いていて…かなり不気味な姿だったわよ」



「は、はぁ…」





「フフフフ…」

「とりあえず、パーシャの町から100km圏外の場所では、もう皆…『カコシ』の事なんて、全く気にしないで平和にのんびりと暮らしているわよ。国民も王国の言う事は、素直に何でも信じているからね♪」



「ふ~ん…」


(素直に、何でもですか…)


それは、国民と王国との間で信頼関係が、しっかりと成り立っていると言う事なんでしょうか、きっと…





それで、カマンヴェールさんは―


どんな事をやっている人かと言いますと、このパーシャ地方で、色々な魔法薬を販売している商人をしているそうです(パーシャの町にある薬局の店主もしているとか)


その他にも…

新しい魔法薬の研究や開発をしていたりと…まぁ、魔法薬に関わる仕事を幅広く、やっているそうで、本人曰く…『魔法薬のスペシャリスト』との事ですね!!







「それで報酬は、これで良いかしら?」



「…」(私)




カマンヴェールさんは、私に5,000円…では無くて、5,000Gを手渡す。


そういえば、一応…これは、護衛という体でしたね。


カマンヴェールさんの言葉で、私は『ハっ―』と気付く。

だって、護衛というよりかは、只…荷馬車に一緒に乗せて貰っているだけでしたからね。




(途中に害獣が出る訳でも、ありませんし…)



(ボーっとしている内に、依頼である事も忘れてしまっていた…)





「そうそう、あとオマケに…」

「私の特製の魔法薬もどうぞ♪」


「ま、魔法薬ですか…?」


それから…

カマンヴェールさんは、私に謎の液体が入った小瓶を渡します。




「この魔法薬はね―」



「…」(私)



カマンヴェールさん曰く…

それを飲むと、一時的に凄い筋肉がムキムキになり自身の身体能力が飛躍的に向上する魔法薬らしい。その名も―






          (((身体強化薬DX+α)))







「…」(私)


何か…私の持っている物と名前が被っている。まぁ、只の偶然でしょうけどね。てか、凄い筋肉ムキムキって…身体能力が向上するのは嬉しいけど、絵面的には、あまり宜しくは無いんじゃ…


私は困りながら、小瓶を見つめていると―



「あら…何か、ご不満かしら?」

「もしかして、報酬の額が足りないのかしら?」


「フフフフ…」

「短い距離の護衛なのに結構、貪欲なのね。でも私、今…手持ちが少ないから、これで勘弁してくれると有り難いわね」




「いえ、そうゆう事では…」



「あっ、そうだ!!」

「これから行く村に、何か依頼がないか、聞いてあげるわよ。もしかしたら…そこで、もういっちょ稼ぐ事が出来るかもしれないわよ!!」




「えっ…」


「は、はい…」




私は、カマンヴェールさんの言われるがままに返事をする。





「フフフフ…決まりね。じゃあ、私に任せなさい」


「さぁ、もうすぐで着くわよ♪」





意気揚々に言うカマンヴェールさん。


そして…しばらくして私達は、目的の村に到着していた。














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