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Day Four ep.2

飲み水が出来ると水差しに入れて新しいコップを用意する


作り置きのスープを温めて皿によそい、水と一緒に盆に載せた


パン籠を腕に掛ける


エルザはベッドに腰かけていた


「お待たせ。 食べられそう?」


「うん、昨日よりも体調がいいの。 こんなに身体が楽なのは久しぶり」


「それは良かった。 これからもっと良くなるよ。 さあ、食べて。 今回は俺のスープで我慢してくれ」


「ハロルドのスープは暖かいから、私は好きだよ」


「それはそれは、おほめの言葉ありがとう。 スープって大抵は暖かいけどね」


「あれ? バレた? でも最初の一口は凄く美味しかったんだよ」


「空腹は最高のスパイスってやつだね」


「次は、私がスープを作るよ。 暖かいのなら私にも作れるから」


「そりゃ助かる、暖かければ文句はないよ」


俺たちは顔を見合わせて笑う


なんだかエルザと急にうちとけられたような気がした


好きに生きてもいいと言われて、エルザも気が楽になったのかもしれない


エルザは昨日よりよく食べてくれた


スプーンやコップを持つ手の動きがずっと力強くなった


食事を終えると、エルザをベッドに横たわらせ、治療を始めた


彼女はすぐに寝息を立て始める


身体の中を探ると、残っている悪いものは確実に減っていた


俺は少しほっとした、このまま続ければ助けられる


ただ、体力を戻すには食事が必要だ


俺のスープでは心もとない、もっと栄養のあるものが必要だ


今のエルザなら食べられるはず


昼前になると一度治療を止め、俺は食べ物を買いに行くことにした


俺はベッドの横の椅子の上に水差しとコップを置いて暖炉の火を確かめる


「すぐに戻るから」


寝ているエルザに声を掛けてから俺はコートを着て店を出た


外に出ると冷たい空気が頬を撫でた


毎日のように寒さが厳しくなる、昨夜はまた雪が降ったらしく、少し積もっていた


ブルーノの店に行って、何か作ってもらおう


俺は友人の定食屋に向けて歩き出した


定食屋につくとリサちゃんがスコップをもって入口の雪を端に寄せていた


「ハロ~、いらっしゃい~。 女の人はどう?」


「少しずつよくなってる。 リサちゃんに貰ったスープを食べたら元気になった気がするよ」


リサちゃんは嬉しそうに笑った


「でしょ~、ハロも、ちゃんと食べた?」


「もちろん食べたよ、本当に美味しかった。 彼女も食欲がでてきたんだ。 栄養があって消化に良い物を作ってもらいたいんだけど、ブルーノはいるか?」


「お父さんならいないよ~。 お母さんの家の玄関の前で土下座してる~」


「え? 土下座?」


「浮気相手とのデート代に、十銀貨も使ってたってバレたの。 お父さんが隠してたからお母さんが更に怒っちゃって、本気で家庭崩壊の危機よ~」


「そ、それはまた……大変だね……」


「はい、これあげる」


リサちゃんはまた小さな籠を俺に差し出してきた


「え?」


俺はそれを受け取った


「知り合いから教わったレシピのスープ。 今回のは鶏肉と根野菜、それからよく分からない薬草が入ってる。 私が毒見したから、食べても大丈夫」


「ひょっとして、準備しておいてくれたのかい? なんで分かったの?」


「なんとなく~、前のスープが無くなる頃だから」


「リサちゃんは凄いね。 ありがとう、本当に助かるよ」


「いいよ~、ハロは大事な保険だから」


「保険?」


「お店をお父さんに取られちゃった時のね~。 お父さんとお母さんが離婚したら私はお母さんについて行く。 でも、お母さんの実家には余裕がないもの。 だから、私が大人になって働けるまでハロに保護してもらう。 お店の手伝いとか家事とかするからさ」


「ええ!? そんなこと心配してるの?」


「するよ、お母さんの怒り方がやばいんだから。 お母さんって後先考えないところあるし、いざとなったら頼れるのはハロだけなの。 私はハロの娘みたいなものでしょ?」


リサちゃんは両手を合わせて俺を拝んできた


「可愛い娘的存在の私を安心させてよ、パパ」


「パパと呼ぶのは……やめてね。 なんか変な罪悪感が生まれるから」


「じゃあ、ご主人様?」


「やめなさい! リサちゃんが困ってたら必ず助けるよ。 約束する」


「ありがとう~、ハロならそう言ってくれると信じてた~」


「俺たちは友達だからな」


「うん! 友達~。 それから、ハロのお店に魔力検査受けに行ってもいい?」


「リサちゃん、魔法の適性検査を受けていなかったの? もうすぐ十三歳だろ?」


この国では十二歳になると皆が魔力の適性を検査することになっていた


「なんか家庭がバタバタしててさ~、まだ行ってないのよ。 もし魔力適性があったらさ、子供でも仕事があるでしょ。 だから、調べとこうかな~って」


「分かった、時間があったらうちへ来てごらん。 しばらく店は休んでいるけど、検査くらいならしてあげられるから」


リサちゃんの顔が明るくなった


「行く! お願いよ天使様~、私に魔力と仕事を~」


「ブルーノには、ちゃんと行先を言ってから出かけるんだよ」


「分かってるって」


「それじゃ、スープをありがとう。 またね、リサちゃん」


「うん、ばいば~い」


リサちゃんが小さく手を振ってくれた


少し歩くと背後からリサちゃんの声がした


「ハロも、それ食べて休むように~! 病気になっちゃうよ~!」


俺は振り返ってリサちゃんに手を振った



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