第14話「逃げる富、追う国家」
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## ■第14話「逃げる富、追う国家」
王宮・執務室。
重い沈黙の中、風太は一枚の文書を見ていた。
「……来たか」
蒼真が腕を組む。
「早かったな」
セリスが不安そうに言う。
「もう?」
風太は静かに頷いた。
「ああ。“逃げ始めた”」
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発布された新制度。
・五議会
・教育義務
・教会税削減
・資産制限
そして――
「国家協力義務、十年」
セリスが小さく呟く。
「それが、引き金……?」
「そうだ」
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報告書にはこう書かれていた。
・金貨の国外流出
・貴族資産の隠匿
・商人の拠点移転
・地下市場の拡大
蒼真が舌打ちする。
「分かりやすいな」
「当然だ」
風太は言う。
「縛れば、逃げる」
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場面転換。
夜の港。
フードを被った男たちが、箱を運ぶ。
「急げ。夜明け前に出る」
中身は――金貨。
財産。
「王の政策なんぞに付き合ってられるか」
低い声。
「他国に行けばいいだけだ」
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だが、その時。
「――止まれ」
風が吹く。
灯りが揺れる。
上空に、影。
「……っ!?」
ライトプレーン。
「空から……!?」
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風太が降りる。
「いい判断だな」
静かに言う。
「だが――遅い」
蒼真たちが地上から現れる。
「包囲完了だ」
男たちが顔を歪める。
「くそ……!」
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翌日。
王宮。
捕らえられた商人たち。
一人が叫ぶ。
「なぜだ! 自分の財産だぞ!」
風太は冷静に答える。
「その通りだ」
「なら――!」
「だが、この国で築いた」
沈黙。
「だから、この国に責任がある」
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反発は、さらに強まる。
「暴政だ!」
「自由がない!」
商人議会が荒れる。
貴族議会も揺れる。
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蒼真が言う。
「力で抑えるか?」
風太は首を振る。
「それは最後だ」
「じゃあどうする」
風太は少しだけ笑った。
「“逃げられなくする”んじゃない」
「“残った方が得にする”」
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数日後。
新たな布告。
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・国内投資者への税優遇
・技術開発支援
・教育参加者への補助金
・国家事業への出資権付与
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セリスが目を見開く。
「……これって」
「飴だ」
風太は言う。
「縛るだけじゃ、人は動かない」
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さらに。
「情報公開を進める」
蒼真が眉を上げる。
「何をだ」
「誰が逃げたか」
沈黙。
「……えげつねえな」
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商人たちは気づく。
「残った方が信用が上がる……」
「逃げたら取引が切れる……」
空気が変わる。
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ある商人が王宮に来る。
「……条件がある」
風太は頷く。
「言え」
「投資の自由度を上げろ」
「どこまでだ」
「新事業に関しては制限緩和」
少しの沈黙。
「……いいだろう」
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蒼真が小さく言う。
「譲ったな」
「違う」
風太は答える。
「使った」
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一方。
国外へ逃げた者たち。
だが――
「信用が落ちた……?」
「取引が……ない?」
リウイの情報網が、すでに動いていた。
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数週間後。
報告。
・資産流出、減少
・帰還者、増加
・国内投資、上昇
セリスが笑う。
「……戻ってきてる」
蒼真も頷く。
「勝ったな」
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風太は静かに言った。
「いや」
「まだ序盤だ」
窓の外を見る。
市場は動き始めている。
人も、金も。
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「経済は、戦場だ」
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こうして。
剣ではなく、金で戦う戦いが始まった。
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