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つっかえ棒(高級)

 そう言って、棚から一本の赤い棒を持ってくる。確かに鉄の棒だ。だが、長さは三十センチメートルほど。明らかに長さが足りていない。


「これじゃあ明らかに長さが足りねえぜ、おやっさん」


 悪い冗談を言うな、と言わんばかりの口調でディラーが首を振る。


「まあ話を聞け。これは伸鉄棒(しんてつぼう)という魔道具だ。魔力の流すことで長さが伸びる」


 オヤジが魔力を込めると、その赤い棒が両端が急に伸び始めた。最終的には二メートルを超える程の長さになった。


「これなら短い状態で口に棒を入れ、中で伸ばすことも可能だ。最初から長い棒で口の中に入れるのは至難の業だ。グランクロコダイルの噛みつきに耐えれるよう、俺が残り時間で調整しといてやる。だが、どこまで持つかは分かんねえぞ」


 オヤジが頭をかく。


「ありがとうございます!」


 俺は頭を下げる。俺が考えるより、よっぽど良い案がでてきた。


「だが、これは結構いい値段するぜ? 高くて売れ残ってたんだからな。7,000,000Gだ。お前ら払えんのか?」


 高っ! めっちゃ高いじゃねえか! 俺が必死で稼いだ金殆ど飛ぶ……。だが、ここはケチっている場合じゃない。命は金で買えないのだ。


「大丈夫です。これでお願いします」


 俺は革袋から、7,000,000Gを取り出す。


「中々金持ってんな。これは改修費も含んでる。明後日に間に合わせるよう、すぐに取り掛かってやる」


「お願いします」


 なんとかこれで、グランクロコダイル対策の道具が揃った。伸鉄棒についてはおヤジに任せて俺達は工房を出る。


「これで、だいたい揃ったのかしら?」


 イヴが言う。


「これでグランクロコダイルを倒すための武器自体はそろったと思う。後は、具体的に策を練ろう」


 正直俺は戦闘の経験が足りない。ここはディラーと、イヴの経験に頼ろう。


「策自体は悪くないとは思うぜ。誰が伸鉄棒を口に突っ込む役と、爆弾を投げる役をするかだ。どちらもミスったら、終わりだ」


 危険なのはやはり、伸鉄棒をグランクロコダイルの口に入れる役だろう。


「俺が伸鉄棒を口に入れる役目を――」


「いや、大将。それは俺にやらせてくれねえか? これはグランクロコダイルに接近しないとできない役目だ。あの化物相手への立ち回りは大将より俺の方が上手くできる。大将には、爆弾を口内に投げる役目をお願いしたい」


 そう言われると弱い。土壇場の対応力はやはりディラーに軍配があがるのは確かだろう。


「分かった。きつい役目を任せることになるな、ディラー」


「なら私は周りのレッドクロコダイルを片付けるね」


「わっしも、露払いに専念しますよ」


 イヴと、ディラーの部下であるコリンには周りの敵を相手にしてもらう。


「頼む」


『明後日デルクールに襲い来る群れの数は五百を超える?』

『イエス』


『千を超える?』

『ノー』


『八百を超える?』

『イエス』


 八百以上、千以下か……。


「明後日の群れの数は八百越えらしい。この町に、八百を超えるレッドクロコダイルを討伐する力はあるだろうか?」


「うーん、かなり犠牲が出ると思う……。そんなにいるのね」


 その後も明後日のために打ち合わせを行った。

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