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貴方さえ生きていれば

 時は少しさかのぼり、ネオンが馬車でシビルと別れしばらくたった時のこと。ネオンは唇を噛みしめながら馬車を走らせていた。

 その様子を気にかけたディラーが口を開く。


「なに、大将ならきっと大丈夫だ。便利なスキルも持ってる。本当に危険ならしっかり退くはずだ」


「それならどれだけいいか」


 ネオンは溜息を吐く。しばらく無言の時間ができた後、ネオンは馬車を止めディラーに顔を向ける。


「ディラー、依頼変更いいかしら? 貴方には私の護衛でなく、シビルの応援をお願いしたい」


「おいおい、冗談でしょう? 本当にグランクロコダイルが来るのなら、自殺行為だ」


 ディラーは苦笑いをしながら首を横に振る。


「本気よ。危険な分、依頼料は沢山払う。貴方ともう一人の応援で、5,000,000G。期間はグランクロコダイルを討伐する、またはシビルを安全な場所まで送るまでよ」


 5,000,000Gといえば、平民なら数年は暮らせる大金である。この金貨をここで使えば、ネオンの夢は大きく遠のくだろう。

 ディラーは本気で言っていることを感じ、しばし考えるしぐさを見せる。


「団長、いくら金もらえたって、危険すぎますぜ。おとなしく逃げやしょう」


 部下がディラーに言う。


「勝てねえなら、逃がしてもいいんだな?」


 ディラーがネオンに尋ねる。


「別に私は、この町がどうなるかまで知らないわ。シビルさえ生きていれば、グランクロコダイルの生死はどうでもいい」


「分かった。その依頼。受けよう」


「団長、まじですか!?」


「うるせえ。コリン、お前も残れ。きっと露払いが必要だ。残りはネオンさんを隣町へ」


「分かりました」


 コリンと言われた男が了承する。


「ありがとう、ディラー。シビルは損得なんて気にしない。だからきっと商人なんて向いていなかったんだと思う。困っていたら、商品でも安く売っちゃうような人だもん。けど、彼は臆病だけど……いざという時に誰かのために動ける人よ。きっと、もっと強かったら英雄になれたかも、って思うくらいね。だから彼を助けてあげて」


 ネオンが泣きそうな顔で言う。ネオンは自分が足手纏いにしかならないことを分かっているのだ。

 ネオンはディラーに即金で5,000,000G分である五十金貨を手渡すとそれとは別に革袋を投げる。


「これは?」


「それはシビルに渡して。本気でグランクロコダイルと戦うならきっとお金が沢山必要になる。8,000,000G入ってるから、役に立つはずよ」


「分かった。彼に手渡そう」


「危険な依頼ですまないわね」


「傭兵稼業は元々命がけなもんだ。気にすることはない」


「頼んだわ」


 ネオンとディラーはそこで別れた。ネオンは自分の無力さにさいなまれながらも、馬車を走らせる。

 そしてディラーは新たな護衛先を探し、町をかける。

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