ネオンビル雑貨店
一日を費やし大量の商品を持って、デルクールに戻る。そして露店通りの場所を借りるために、商人ギルドへ向かう。
中に入ると、こちらを見てひそひそと話す者がいる。
「あれが、例のキノコ博士か」
「キノコを持っていないな、今日は」
「凄いよな。頭がいいんだろう、所作にもどこか品を感じるよ」
すっかりキノコ博士が定着していらっしゃる。そしてなぜか上がっている評判。キノコの勉強した方がいいかもしれん。ネオンは全く気にせずに受付嬢に話しかける。
「露店通りの一画を借りたいの。費用は月一金貨以内で」
「なるほど。その条件なら三箇所くらいありますが、どこにされますか? 一区画目は、周りは安い商品が中心の露店が多いです。二区画目は、先ほどよりは高い商品が中心ですね。銀貨から金貨での買い物が多いです。三区画目は、露店通りでも特に高い商品が多いです」
『借りるなら二区画目?』
『イエス』
まあ消去法で二区画目しかないのだが、肯定されると安心して借りられるな。
「二区画目で頼みます」
ネオンは突然口出した俺の顔を見るも、メーティスに尋ねたうえでの決断だと思ったのか、それを了承した。
「では、二区画目で手続きを進めます。費用は月に100,000Gほどになります。初めに二か月分を前払いでお預かりしておりますので、後ほど支払いをお願いします」
100,000G……。露店の一店舗あたりの場所はそんなに広くない。そう思うと高い気がしなくもないが、初期費用が抑えられるうえに、あそこはやはり人通りも多い。となればある程度高くても仕方ないだろう。
支払いを終えた後、俺達は受付嬢からこれから借りる場所を案内される。当たり前だが、通ったことのある場所だ。
ここに自分の店が建つなんて……。露店とはいえ、わくわくする自分が居た。
「何呆けてるのよ! これから露店を建てないといけないんだからのんびりしてる暇はないわよ? ここを正式に借りるのは、二週間後。それまでに露店を建てないと」
何も考えていなかった。露店とはいえ、地面に商品を置くだけではない。商品棚など、作らなければいけない物は沢山ある。
それからは大工衆に屋台を建てて貰ったり、看板を作って貰ったりと目が回るような忙しさだった。
そして二週間後、俺達の露店が遂に完成した。広さは幅三メートル、奥行二メートルほど。品物を置く台の高さは一メートルほどで、全て木で作られており味わい深いと思うのは、きっと自分の店だからだろう。
しっかりと屋根もあり雨の日でも営業ができるようになっている。屋根には
『ネオンビル雑貨店』
とカラフルな色で書かれていた。
「完成ー!」
「やったー」
俺とネオンは完成を祝し、手を叩いている。正直、思ったより金がかかり、百金貨あった残金は一割をきった。
「これで私達も立派な商人よ!」
「応!」
そうはいいつつも、俺自身は未だに商人ギルドに登録すらしていない。その日暮らしを脱出しようとは考えていたが、気づけば露店を出していた。いったいどういうことなんだ。
だが、完成した屋台は可愛く見えて仕方がない。これは俺達の力で勝ち取った店なのだ。
「お金が無いから、明日から早速売るわよ!」
「了解です!」
俺達は遂に商人として大きな一歩を踏み出した。





