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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜新たな女王編  作者: 朱坂卿
新・第五翔 魔都バビロン大戦
61/74

#60 対新女王作戦会議

「Hey、girls and guys! DJセレネーの、ウィッチオンエアクラフト〜魔女は空飛ぶ放送電波に乗る〜張り切って行くyo!」


 あんなこと――新たな女王との非情な戦いがあった後には似つかわしくない、陽気なDJセレネーの配信である。


 青夢たちには正体の発覚している彼女だが、一般にはまだ正体が露見していない。


 故に。


「さあ……何と何と! 前にユダマイニングの真相が判明して、本当のイスカリオテのユダが誰かはっきりしたyo! さあ、この人たちのことどう思う? 改めて、感想聞かせてne!」


 ――ほんと、マジきもいんですけど。


 ――え、トバラ族って被害者と思いきやQUBIT SILVER不正に荒稼ぎしてた加害者? マジかよ、嘘つき!


 ――マジ、消えてください!


 セレネーの社会的影響は、まだまだ健在であり。


 ヒロや、呪華などの真のユダに対する誹謗中傷の嵐が吹き荒れる。


 ◆◇


「ニュースをお伝えいたします……相次いで発生しておりました救世主捕縛の鎖(ブロックチェーン)への攻撃の犯人は、魔法塔華院コンツェルン民間軍事部門所属の二人の少女と判明しました!」


 が。

 各国のニュースで、新たな女王の真相が報じられ始めると。


「更にその少女たちは、空宙都市エルドラドから仮想通貨が盗まれた事件にも関与していると判明しています。また、彼女たちは例のサイバーテロリスト集団魔男を率いる新たな女王であるとの情報もあり……」

「そ、そうだ! その二人に俺たちは騙されたんだ! 被害者なんだよ!」

「DJセレネーは、その新たな女王とやらです!」

「嘘つきは、セレネーの方だ!」


 暴かれた真のユダたちが、我が身かわいさもあり新たな女王に批判の矛先を向けようとする。


 すると。


 ――え、マジ? その少女特定! 聖マリアナ学園魔女訓練学校三年C組の魔導香真白と……(てへっ、書いちゃった!)


 ――新たな女王とか、厨二かよ!


 ――そいつらが救世主捕縛の鎖(ブロックチェーン)攻撃やってたのは事実なんだろ?


 ――うわ、セレネー世界の敵!


 ――皆して、新たな女王とかいうのをやっつけろ!


 果たして、真のユダたちによる目論見は成功していく。


 ◆◇


「それでは……これより! 改めまして凸凹飛行隊を迎えての世界連合軍作戦会議を行います!」

「はい……皆さん、改めて。勝手な行動を取ったことと、隊員による不正が行われましたこと本当に申し訳ありません!」

「Ms.Mameki……」


 新たな女王との緒戦が終わり、一週間後。

 空宙都市エルドラドでは今デイヴの弁にあった通りの会議が開かれ。


 青夢は、世界連合軍の面々に謝罪する。


请稍等(待ってください)! 一つ、よろしいですか?」

「Well、どうぞMs.Ma。」


 そこへ。

 中国代表アポストロスリーダーの鬼苺が、手を挙げた。


「是、まず……結果的に無実だったとはいえ、私たちは新たな女王を監督不行届の末にここまで増長させた凸凹飛行隊がこの戦列に加わることに、納得できません!」

「Ms.Ma……」

小鬼(シャオグイ)……」


 鬼苺は早速、不満を述べる。


「是!そもそも、あなたたちだってまだ共犯者の疑いを捨てるには早すぎる相手。新たな女王とやらと共謀して私たちを嵌めようとしていないと、何で言い切れるのかしら?」


 鬼苺は、更に続けたのだった。


「ま、麻さん私は」

「お待ちなさい、魔女木さん! ……お言葉ですが。それは止むを得ないことと知りつつも、言わせていただきたくてございます。わたくしたちをあんな裏切り者と共犯者などと、大いに心外ですわ!」

「!? ま、魔法塔華院マリアナ……!」


 が、青夢が弁解しようとした矢先。

 マリアナが意外にも、鬼苺に噛み付く。


「それに……失礼ながらミス麻、あなたたち中国代表アポストロスのメンバーたるミス(ウェン)のことを棚に上げておいでではなくって?」

「ち……ちょっと!」

什么(なっ)……ゾ、呪華(ゾーホア)は今関係ないでしょ!?」


 マリアナは更にそんなことを言い。

 青夢は更に慌て、鬼苺は苦い顔をする。


「いいえ、大いに関係あってと思いましてよミス麻! ミス(ウェン)はユダマイニングを行い、ミスニマを陥れ中国を戦火に巻き込むきっかけを作られましてよ! あなた方こそ、これから先何をしでかすか分からなくはなくって?」

「不是……何よ!」


 もはや売り言葉に買い言葉とばかり、マリアナと鬼苺は言い争いをし続ける。


「ち、ちょっと」

Wait(待って)! 止めてください、Ms.MahotokeinもMs.Maも! お二人の言っていることには、それぞれ間違いがあります。」

「!? デイヴさん……」

「ミスターソー……」


 それを青夢が止めようとした矢先、止めたのはデイヴだった。


「ミスターソー……そうですわね。申し訳ありません。」

「是、私もすみません……」


 それにはマリアナも鬼苺も、謝る。


「しかし……間違いとは?」

「Well……まず、Ms.Mahotokein。Ms.Wenのことに関しては既に、中国当局とトバラ族自治区の間で協定が済んでいること。中国当局はMs.Wenがトバラの関係者であると知り、戦争を止めた彼女の貢献を鑑みて自治区への制裁を弱めたと聞いています。」

「!? そ、そうだったのね……」


 デイヴの言葉に、マリアナ以上に青夢には納得するものがあった。


 トバラ族自治区があれほどの大事を引き起こしておきながら、中国当局からはそこまでお咎めなしだったことはずっと疑問に思っていたことだが。


 それもこれも、呪華が中国側にいたことが原因と分かればすっきりするのである。


「Well……次に、Ms.Ma! 確かに、凸凹飛行隊にその可能性は残されている。それも事実。」

「是……」

「な……ミスターソー!」


 次にデイヴは、鬼苺の言葉を肯定する。

 これには、マリアナも抗議の声を上げかける。


「……But! 凸凹飛行隊特に……Ms.Mamekiが出て来なければ、新たな女王とて出て来ないだろうというのもまた事実! ならば、作戦には加えざるを得ないでしょう?」

什么(なっ)……そ、ソー軍曹!」

「デイヴさん……」


 が、デイヴはあくまで凸凹飛行隊を作戦に加えることを主張する。


「……皆さん! すみません、デイヴさん。私から一つよろしいですか?」

「Yes……もちろん、Ms.Mameki! この作戦には、君が肝心だからね!」


 そこで青夢は、皆に話し始める。


「はい……まず。皆さん、改めてうちの魔導香が井使魔が……そしてめっちゃクソな魔法塔華院が! ご迷惑をおかけし申し訳ありません!」

「(ふん、魔女木さん……どさくさに紛れてあなた、個人的な感情でわたくしを罵っているだけではなくって?)」


 青夢は謝りついでに、マリアナを罵るのだった。


 ◆◇


「まったく……言葉遣いには気をつけてくれ! 下手をすれば国際問題だぞ魔法塔華院!」

「ええ、申し訳ありません巫術山教官……」


 話し合いの後。

 巫術山から、叱責を受けるマリアナである。


「マリアナ様、おいたわしや……」

「……だが、あれだけ魔法塔華院が言ってくれなければ世界を納得させることはできなかっただろう。」

「ええ、そうね……」


 そんなマリアナを見やり、彼女を労う法使夏・剣人に対し。


 青夢は、彼女自身の目を手元のスマートフォンに注いでいてやや上の空であった。


 ――え、マジ? その少女特定! 聖マリアナ学園魔女訓練学校三年C組の魔導香真白と……(てへっ、書いちゃった!)


 ――新たな女王とか、厨二かよ!


 ――そいつらが救世主捕縛の鎖(ブロックチェーン)攻撃やってたのは事実なんだろ?


 ――うわ、セレネー世界の敵!


「くっ……真白、黒日!」


 青夢が見ていたのは、先ほどのセレネーによる中継のアーカイブ配信である。


 真白と黒日たちが責められていく様は、青夢にとっても我が身を切られる思いであった。


 ――ああああああ……もう、親友親友うっさいな方幻術君は!


 ――私たちはねえ、ムカついてんのよ! その娘――青夢にねえ!


「真白、黒日……あんたたちにどう思われようが関係ない! 私は!」


 今一度、青夢は覚悟を決めたのだった。


 ◆◇


「では……騎士団長諸卿! よくぞ……」

「うむ!!」


 その頃。


 三段法騎戦艦に遷都された魔都バビロンの一角にて魔男の円卓が、集っていた。


「諸卿はよくぞお集まりくださいましたよ、新たな女王陛下!」

「はい……ありがとう。」


 新たな女王も、姿を表す。


「しかし……まさか新たな女王陛下の器となるのが凸凹飛行隊にも与していた小娘たちとは!」

「……ベリット殿。」

「はっ、新たな女王陛下……ぐう!?」

「な……!?」


 が、龍男の騎士団長ベリットが放った言葉に対し。

 新たな女王は、彼に衝撃波を放ち吹き飛ばす。


「……諸卿もお忘れなきよう! 真白と黒日は我らそのものであると、彼女たちを愚弄する者は許されないと!」

「は、ははあ!!」


 新たな女王はそう叫び。

 騎士団長たちは、皆怯えてひれ伏す。


「(これで儀式の準備は整いつつあるわ……でも、まだ足りない! やはり最後の鍵は、魔女木青夢ね……)」


 そんな中。

 パールは、密かに考えを巡らせていた――



 ◆◇


「空宙都市より十一時の方向! 魔男の艦隊、艦影多数! あの三段法騎戦艦もあります!」

「Well……いよいよ来たか!」


 それから更に数日後。

 空宙都市エルドラドより見える場所に、敵艦影が多数出現する。


「真白……」

「黒日……行こう! もう私たちは、世界の敵なんだから!」

「……うん!」


 そうして、三段法騎戦艦でも。

 真白と黒日が、改めて覚悟を決めていた。


「魔女木……」

「魔女木さん……」

「hccps://jehannedarc.srow/、セレクト! ビクトリー イン オルレアン!hccps://jehannedarc.row/GrimoreMark、セレクト ルーアンの火刑パニッシュメントインルーアン エグゼキュート!」

「あら……逃げないだけまだマシね、青夢!!」


 そうして、真白と黒日の目に飛び込んで来たのは。

 法騎ジャンヌダルクが纏う、自身を象った巨大なエネルギー体である。


「言ったでしょ、私はあんたたちも救うって……さあ、勝負よ新たな女王! いえ……真白、黒日!」


 青夢は、高らかに宣言する。

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