表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/225

其の二十七「繭の中で待つ」

 暗闇の中、身動ぎをする音だけが虚しく響く。

 寒々しいセーラー服だけの格好。

 独りきり、膝を抱えて誰の声も聞かぬと耳を塞いで。


 喧騒は遠く。ずっと遠く。

 彼女の頭の中に響く放送の音と、キーワードだけが焼き付いて離れない。


 たった独りで閉じこもる。繭のように。

 その場所に続く冷たい扉に手のひらを当てて、ひとり下駄を履いた少女がため息をついた。


 俯けば、その耳に飾り付けられた目玉型のピアスが揺れる。


「あなたがやれるというのであれば、協力はします」


 分厚い鉄扉の向こうへ、その言葉は届かない。

 彼女の言葉は、閉じこもる者へ向けたものではなく、独白のように続いていく。


「もう、待てませんよ。早く来なさい」


 ――下土井、令一。


 噂は成った。なら、あとはその噂を彼女の物とするだけである。そう、彼女の前で、彼女を赤いちゃんちゃんこではないと否定し、そして……。


「お願いしますよ」


 閉じこもる少女を愛するさとり妖怪が、そう呟いていた。




『紅子消失まで、あと一日』




「走れ旦那、タイムリミットは今日の日の入りまでだ!」


 彼と彼女の最後の一幕が、上がる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ