↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛をわかつまで  作者: 秋夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/47

第1話 色を失った日

ふと目を開ける。

「あれ……ここは……どこ……? おかあさん……?」

目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋の、冷たいベッドの上だった。

ああ、病院か。なんで私は病院にいるんだろう……そう考えていると、ドアが開き、女性が入ってきた。

「夜留ちゃん、看護師の佐久田です。失礼するね……」

視線が交わった瞬間、彼女は息を呑んだ。

「夜留ちゃん……! 目を覚ましたの……? 先生呼ばなかがらなきゃ……!」

彼女はそう言い残し、慌ただしく部屋を飛び出していった。

しばらくして、看護師さんと一緒にやってきた医師が、優しく微笑みながら私を診察した。

「んー、よし。特に異常も見られない。よく目を覚ましたね、本当に良かった……」

「お医者さん……私、どこか悪かったの……?」

私の問いかけに、医師の優しい笑みがすっと曇った。今でもあの瞬間の表情を鮮明に覚えている。私の人生から、すべての色が消え去った瞬間だったから。

医師は痛みに耐えるような顔をして、言葉を紡いだ。

「夜留ちゃん……あのね、今からとても大切な話をするね。辛い話だけど、聞かなきゃいけないことなんだ」

私は静かに頷いた。

「ここは病院だってことはわかるよね……? 夜留ちゃんは……お母さんに殺されかけたの。それから十日間、ずっと眠っていたんだよ」

それを聞いた瞬間、何よりも先にお母さんの顔が浮かんだ。

「もしかして……私が良い子にしなかったから、お母さんを困らせちゃったのかな。良い子にするから、お母さんに会わせて、先生。会わせて……謝りたいの」

私はお母さんが大好きだった。いつも優しくて、温かくて、大切にしてくれた。だから殺されかけたなんて言われても、自分が悪いんだと自分を責めることしかできなかった。

医師はさらに苦しそうな表情を浮かべ、宣告した。

「お母さんは……もういないんだ。家族みんなで死のうと心中を図って……夜留ちゃんだけが、生き残ったんだよ」

その時、理解してしまった。お母さんは私を捨てたのだと。私を置いて、逝ってしまったのだと。

「なんで……! なんで私だけ生き残っちゃったの……!? ねぇなんで!? わたしも一緒に連れていってよ! 置いていかないで、ひどいよ……っ!」

それまでの人生で一番の叫び声を上げ、錯乱して泣き叫んだ。

あの日から、私の人生は絶望に染まり、世界は灰色になった。

まだ、たったの十歳だったのに。

お母さんが大好きだった。だからこそ、捨てられた苦しみと、無責任に命を奪おうとされた絶望、そして「殺人者の娘」として生きなければならない重圧。大好きだった気持ちは、それ以上の苛烈な「憎しみ」へと姿を変えていった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、作品への評価やブックマーク、感想などをいただけると執筆の大きな励みになります!


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。