ちょっと反撃男装女子。
アーデルさんに「次回は危険な事が起きた時は竜騎士の指示を聞く事」と、真っ当な注意を受けた私‥。
それに関しては何も言えねぇ‥。
でもさ、竜の巣にクチナシが来てたし、私が小袋を持って逃げたから竜の巣は大丈夫だったんじゃない?って、言いたいけど‥、隣のベルキスさんがさっきから無表情なので黙ってます。はい。
静かにしている私をアーデルさんはちょっと面白そうに笑ってから、
「この問題はかなり大きな問題になりそうなので、一度王都に戻って報告します。ひとまずこの竜の巣は一旦王都の領地として管理して、聖竜騎士団と竜の巣騎士団で問題が落ち着くまで交互に警備していこうと思っています」
その言葉にベルキスさんとロアン君が頷く。
アーデルさんは深々とため息を吐いて、
「本当は南のリディにも行こうと思っていたんですが、ああ、王都へ逆戻りとは本当に残念です」
この人、ほんっとうに竜が好きだな〜〜。
でも、竜が好きだからあの草にも気付いて、ロアン君にも確認を取ったんだろうな。っていうか、ロアン君が植物に詳しいっていつ知ったんだろう‥なんて思っていると、アーデルさんがニコッと笑って私を見て、
「少し落ち着いたら、ミヒロさん。リディへ行きましょう!」
「えっ!!??」
「まだお約束した竜の巣の見学へ行ってませんし」
「え、いや、あの、でも‥」
そんな根深そうな問題がサクッと解決するのか??
私が慌てていると、ベルキスさんは私の手を握る。
「約束を守ろうとして下さるのは嬉しいのですが、大事なパートナーに何かあると、やはり心配ですのでこの話は‥」
お、おお!!ベルキスさんが助けてくれようとしてる!!
感動している私に、アーデルさんはニコニコ笑って、
「ええ!ですから、ベルキス殿もぜひ一緒にミヒロさんとリディまで行って頂きたいんです!なにせほとんど仕事を休んでいらっしゃらないから、有給はゆうに2年分あるそうですね!上司がしっかり休みを取らないと、部下も休めません!これはいけませんよね?」
有給2年分!!!??
私は驚いて、ベルキスさんを見上げると、速攻で目を逸らした!!あ、こら!
「ベルキスさん!仕事好きだなって思ったけど、それは流石にまずいです!」
「‥だが、最深部に入れる人間が少なくて‥」
「今はフィクトル団長と、ラスカ殿もいますよね?ミヒロさん、こちらの竜の巣に入って、あと2人ほど竜に許可を貰って下さい。そうしましたら、即リディへ行って頂きますね」
バッサリとアーデルさんが言い切ると、流石にそれは断れないらしいベルキスさんは押し黙る。
「え、でも、私が竜に許可?」
「ラスカ殿は、ミヒロさんが橋渡しをしてくれたと‥。幸い、中間地点まで入れる者が2人いるようですから、恐らくミヒロさんの紹介があればこちらの竜の巣でも可能だと思います」
ま、まじか〜〜〜!!
私の責任重大では?!目を丸くするけれど、アーデルさんの中では決定事項らしい。ニコニコ笑って「お願いしますね」って言われたら、弱みを握られている身‥。誰が断れよう‥。
「善処します‥」
遠い目で頷くと、アーデルさんはニコニコ微笑み、
「それでは話もついた事ですし、朝食を食べたら話を詰めましょうね。ロアン君、あとで植物の事をもっと教えて頂けると助かります!竜を守るためもありますが、痺れ薬‥なかなかすごい効能だったとお聞きしました」
ロアン君は一瞬、ぎくっとした顔をするけれど、すぐさま笑顔で頷く。
「もちろんです。私で良ければ‥」
「他にも薬を作ったりは?」
「ご要望があれば‥」
目潰しの薬は試せなかったけど、ロアン君ならなんでも作れちゃいそうだな‥。しかし、対人用‥主にアーデルさん用に作ったとは言えないかも?うん、ここもお口はチャックが一番だな。そう思った私は休みをろくに取ってないベルキスさんを見上げる。
「‥有給2年分」
ボソッと呟くとベルキスさんはバツの悪そうな顔をして、そっと顔を逸らすので、何か言われたらこれでやり返そうと思った。いつも騙されたり、からかわれるからね!
有給1年欲しいなぁ。
いや1年では足りないな。




