撫でられる男装女子。
食堂からお昼を軽食スタイルにして、別室に用意しておいてくれたロアン君。何故かラスカさんも一緒だったけど、今は静かにお昼を食べているので、まぁいっかな?
初めて入った部屋は、ガラス張りの部屋で鉢植えに色々な植物が植えられていて、見たこともない色彩の葉っぱや花が咲いている。私はお昼のサンドイッチを食べつつ、
「なんだか色々な植物があるんですね」
そう話すと、同じくサンドイッチを頬張っているロアン君はコクコクと頷いて食べきってから説明してくれた。
「はい。ここは竜に関する植物が植えられているんです」
「竜に?」
「ええ、そこの黄色い花は竜にとっては毒になりますが、人には薬になります。そっちの葉っぱは竜の巣の周りに植えておくと、魔物が嫌って寄り付かなく匂いのする植物なんです」
へぇ!!そんな事も研究してるの?
私は目を丸くしてロアン君を見ると、ちょっと照れ臭そうに笑って、
「僕が個人的に調べているだけなんですけどね」
「え!個人的に?!!でも、それを一人で?!!」
「まぁ、騎士団のデータと照らし合わせて‥ですけど。まぁそうですね」
「すっごい!!すごいですよね、ラスカさん!!」
「‥あ〜、まぁ、な。草は確かに効果がある」
おお、さっきまで喧嘩腰のラスカさんもそこは素直に認めるんだ!
私はそっちにも驚いたけど、ロアン君はそれを聞いて嬉しそうに笑うので大変可愛い。年相応!でも調べちゃうのすごいけど!
「僕はあんまり力が強くないので、知恵でなんとか兄や竜を助けたくて‥」
「ロアン君‥」
はにかんで話をするロアン君に感動する私のサンドイッチをキノが横で食べ終えると、キノは私のシャツのポケットの中に入って早速昼寝を決め込んでいる‥。全くマイペースだな。
そう思うけど、スースーと寝息を立てるキノを見て、私も知らずあくびが出る。今日は緊張してたし、ようやく仕事を終えてちょっと疲れが押し寄せてきたかも‥。ロアン君はそんな私を見て、
「あとで起こしますから、少しそこのソファで横になってて下さい」
「え、でも仕事‥」
「休むのも仕事ですよ?」
ニコッと笑いかけてくれたけど、ロアン君本当は中身大人でしょ‥。
ラスカさんも「休んどけ」って言ってくれて、ちょっと気が引けたけど、確かにクタクタなので私はお昼を片付けてからソファで横にならせてもらう事にした。
大きなモスグリーンの色をしたソファは思ったよりも寝心地は良くて、クッションを一つ枕にすると、ロアン君がブランケットを掛けてくれて、
「僕、隣の部屋にいるんで何かあれば呼んで下さい」
って、いう至れりつくせり!!
今度絶対街へ行ったら、お土産を買おう!!そう思ってお礼を言って目を閉じると、あっという間に眠りこけてしまった。
そうして、しばらく経ったのか‥、コツコツと足音が聞こえる。
あれ?
今、何時?
目を開けたいけど眠たくて、まぶたが開かない。
と、わしゃっと私の頭を撫でる感触に、あ、これはベルキスさんだなって気付いた。
「ミヒロ」
あ、やっぱりベルキスさんだ。
低い声に知らずホッとして息を吐くと、頭の上で小さく笑う気配がする。そっと目を開けると、ソファの前で屈んで私を覗き込んでいるベルキスさんと目が合う。
「‥仕事、随分大変だったそうだな」
「大変、でした‥。アーデルさん、すっごく竜が好きらしくて延々と話すし」
「そうか‥」
「聖竜騎士団に入らないとか言うんですよ‥?」
「‥‥それで?」
「もちろん断りました。私はベルキスさんと竜の巣に入ってるのが落ち着くし」
私はちょっと寝ぼけてて、素面だったら言わないことを言ってしまったかも?でも、今日ほどベルキスさんと離れるの寂しいなぁって思ったことはなかったし、一緒にいるならベルキスさんがいいなぁと思ったのは本当だ。
わしゃわしゃと頭を撫でられて、なんだか気持ち良くて、また瞼が重くなっていく。
「‥パートナーは、ベルキスさんだし‥」
言いかけて、また眠ってしまった。
すみません、やっぱり相当疲れてたようです。
スカーっと眠ってしまった私の横でベルキスさんはちょっと体が固まって、顔が赤くなっていたらしい。でも、その後も頭を撫でる感触だけは何となく感じてはいたんだよ?寝ちゃってたけど‥。




