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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。

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虚無ってる男装女子。


朝食を食べ終えて、お皿を片付けるとキノとベルキスさんと騎士団の方へ出勤だ。長い石畳の廊下を二人で歩きつつ、ベルキスさんを見上げる。



「ベルキスさんは、すぐに新しい竜の巣に行くんですか?」

「‥ああ、夕方には戻る」

「ええ、夕方までいないんですか!?」

「できれば早く戻りたいが、最深部は今の所、俺しか行けないからな」

「そ、そうですか‥」



不安だ‥。

もう不安しかない。あのキラキラ爽やかスマイルのアーデルさんが、ベルキスさんがいないのをこれ幸いとばかりに私をからかおうとしているのではないかと疑ってしまう。


いや、奴も一応竜騎士の人間。

そこまで底意地は悪くないと思いたい‥。



「やぁ!おはようございます!!」



元気な声が聞こえてきて、思わず体がビクッと跳ねる。

そろっと後ろを振り返ると、アーデルさんが爽やかな笑顔で私とベルキスさんに手を振りつつ、騎士団の寮の方から数人の騎士さん達と歩いてくる。


「お、おはようございます」

「ああ、おはよう。今日は竜の巣の調査日和のいい天気だね」


行きたくね〜〜〜〜!!!

できればベルキスさんの側にいたいし、私も新しい竜の巣に行きたい!

そろっとベルキスさんの体を盾のようにして隠れようとすると、ベルキスさんがさりげなく私の前に立ってくれた。べ、ベルキスさん〜〜〜!!!私の安全地帯!!



アーデルさんは気にすることなくニコニコ笑い、



「あと30分くらいしたら、演習場から出発だそうだ。次回は私も新しい竜の巣に行くけれど、いやぁどちらも楽しみだね」

「そうですか。それは嬉しいお言葉です」

「ああそうだ。せっかくですから一緒に演習場へ行きましょう!」

「‥はい、ぜひ」



ベルキスさんはそう返事すると、そのまま一緒に演習場へ向かう事になったけど、ベルキスさんはその間それとなく私の体を隠しつつ演習場まで歩いてくれて、それだけで安心だ。


広い演習場へ着くと、真っ白い竜達と黒い竜のディーが竜騎士さん達とズラッと並んで立っていた。



「わ、本当に真っ白だ!!」

「はは、同じ色の竜が並んでいるのは圧巻でしょう?」



真っ白い竜達に驚いて思わず出てしまった言葉にアーデルさんが面白そうに答えてくれた。しまった‥。でも、確かに真っ白い竜は綺麗で圧巻だった。


と、シャツのポケットからキノが顔を出して、ディーを見つけるなり飛び出していった。


「わ、ちょっと!キノ待って!」


慌てて追いかけると、ディーの鼻先にべショッと飛びついたキノは「キュウ!!」と鳴いている。前回お留守番した仲間だからなぁ〜〜。ディーは気にする事なくキノの好きなようにさせているけど、アーデルさんはその光景を驚いて見ている。



「え、あの小さな竜は、もしや星竜ですか?!」

「あ、は、はい‥」

「見間違いでなければ、今ミヒロさんのシャツのポケットから出てきましたよね?」

「は、はぁ」



あ、やばい。怒られちゃう??

私は思わず肩をすくめると、アーデルさんは私の両肩にガッと手を置いて、



「すごいですね!!どうやって仲良くなったんですか?!」

「っへ?」



アーデルさんのキラキラした顔が、なんか嘘くさくない?

えーと、もしかしてアーデルさんも竜が大好きな感じ??っていうか、そもそも竜騎士なんだから好きなのか?



「えっと、竜の巣で出会ったら、なんだか一方的に気に入られた感じです」

「そうなんですか?嗚呼!やっぱり私も髪を黒く染めようかな」

「い、いや、それはまずい気が?」

「あと星竜は何を食べているんですか?」

「え、今日は私の卵焼きを食べましたけど、雑食な感じが‥」



矢継ぎ早にアーデルさんに質問されるんだけど、あのですね!

アーデルさん、王子様みたいなイケメンなんですよ!

それが目をキラキラさせて色々聞かれると、私は照れ臭くて仕方ないんですよ!!顔がどんどん赤くなっていく私の肩から、どうか手を退けてくれ!!!



と、ベルキスさんが一つ咳払いをしてからアーデルさんに、



「‥ひとまず、私のパートナーから少し離れて頂けますか?」



笑顔でそういったけど、目が笑ってない。

むしろ目が坐っている‥。



一瞬、静まり返ると、アーデルさんは私の両肩から手を離し、



「そうでした!いや、つい興奮してしまいました!すみません。ベルキス殿のパートナーに軽々しく触れてしまって」

「‥気をつけて下さい。私の大事なパートナーなので」



ザワッと周囲の騎士さんのざわめきと、アーデルさんの面白そうに笑う顔を見て、私は平静を保てなかった。



誰かーーーーーーー!!!

こんな事言われたけど、私は現在「男」で「女」の私に言ってないんだーーーー!!!今すぐ叫んで走り出したかったけど、乙女心に羽交い締めにされた。本来顔を赤らめる場面で、私の顔は虚無の顔になった‥。



早く、早く帰ってくれ!!聖竜騎士団‥。





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