再び出会う男装女子。
とりあえずベルキスさんに怒られなかった。
それどころか腕輪を喜んでもらったし、今度は街へ一緒に行こうと約束したし、なんならお礼をしようと言うのでそこだけは丁重に断った。なんでやねん。お世話になってるのはこっちだぞ。
「俺もミヒロには世話になってるぞ?」
「いや、こっちの方が世話になってますって!」
「いやいや、こちらの方が‥」
まさか建物の影からラスカさんとロアン君が心配して見ていたとは知らず‥、押し問答になっていたのを呆れた顔をして見ていたのに気付いたのは、その10秒後であった‥。うう、心配してもらうのは嬉しいけど、なんか恥ずかしいぞ!?
それでも心配をしてくれたのは素直に嬉しいので、ベルキスさんと街へ行ったら今度は二人にお土産買っていこうと、密かに誓った。
そうして出来ればベルキスさんとすぐにでも街へ行きたかったけど、聖竜騎士団が来る日が迫るにつれ、毎日が慌ただしくて‥、あっという間に聖竜騎士団が竜の巣の騎士団に来る日を迎えてしまった。
ベルキスさんは今日は聖竜騎士団を案内するので、一日中仕事に掛り切りになってしまうらしく、一人の私はロアン君と、騎士団で使う備品をあちこち運ぶ裏方に回る事にした。ベルキスさんもそれなら‥といった様子だったので、セーフかな?
備品を騎士団の人に渡すと、そろそろ聖竜騎士団の人達がこちらへ着く時間だ。
そんな中、キノは私のシャツのポケットの中でグースカ寝てる。
‥君、満喫しすぎじゃない?
と、窓から演習場の方を見つめるロアン君に、私も足を止める。
「そろそろ聖竜騎士団がこちらへ来ますね」
「そうだねぇ。どんな竜で来るのかなぁ‥」
「興味がそっちなんですね‥。まぁ、その方が安心ですが」
「え、どっちに興味があったら良かったの?」
「いいえ、ミヒロさん。どうぞそのままで!」
ロアン君にビシッと言われるけど、時々ロアン君の言っている言葉の真意が掴めない‥。まぁ、この世界に来て日が浅いからな、仕方ないか?
すると演習場の方にディーと同じくらいの白い大きさの竜が次々と降り立ってくる姿が見えた。
「あ、もしかして聖竜騎士団?」
「はい!わぁ、すごい時間通りに来ましたね」
「そうなんだ‥って、竜がみんな白い?!!」
「はい。聖竜騎士団の竜は皆白いんです」
「え、そうなの??色で何か違うの?」
「うーん、あまり差はないんですけど、確か白い竜は賢い子が多いですね」
「えーと、じゃあ黒のディーは?」
「力が強い!!!しかも、その辺の竜と違って動きも速い!」
まるで自分の竜の如く誇らしげに話すロアン君。
と、シャツのポケットからキノが眠そうな顔を出して「キュウ?」と私を見つめる。君は可愛い担当かな?小さく笑って、頭を撫でてからもう一度窓を見ると、ベルキスさんやフィクトルさんが降りてきた竜騎士さんに話をしているのが見えた。
流石に遠いから、やって来た騎士さんが誰かはわからないな。
眉間にしわを寄せつつ窓を見ていると‥、
「さ、じゃあそろそろお仕事に戻りますか」
「そ、そうだね」
「今日のお昼は聖竜騎士団の方も使うようだし、早めに昼食を食べましょう」
「そうなんだ!じゃあ、早めに行こう!」
なにせアーデルさんがいないとは分かっていても安心できない。
私はちょっとドキドキする胸を抑えて、仕事に戻った。
それから書類や本の整理をしていたけれど、あっという間に昼食の時間になってしまった!鐘の音が鳴って、二人で大慌てだ!ま、まずい早めに行こうって言ってたのに!
「あ〜〜!すみません!早めに行こうと思ってたのに!」
「大丈夫、大丈夫。さっと食べて、さっと出れば大丈夫だよ」
ちょっと駆け足でロアン君と昼食を取るべく食堂へ入って行くと、ベルキスさんの姿が見えた。今日は聖竜騎士団の人を案内するからお昼を一緒に食べられないって言ってたけど、姿が見えてちょっとホッとした。
「ベルキスさ‥」
名前を呼ぼうとすると、後ろから肩にポンと手を置かれた。
ん?手??
後ろを振り向くと、金髪碧眼!ザ!王道!王子様の爽やかな笑顔のアーデルさんが立っている!??え、アーデルさん??!
「あ、アーデルさん???!!」
「こんにちは。お久しぶりです」
王子の声は、声までイケメンだ‥。
いや、そうじゃない!!!
下っ端が来るんじゃなかったの?!私は目を見開いてアーデルさんを見上げ、思わず体が固まってしまった。




