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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。

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ようやく1ヶ月だよ男装女子。


パーティーから帰ってくるなり、聖竜騎士団がこちらへ来ると聞いて、とてもじゃないけど心穏やかにいられない。けれどベルキスさん曰く「アーデルさんは来ないだろう」との事で、私はちょっと安心した。



是非とも来ないで欲しい。

私の心の安寧の為にも!!是非!!是非!!!



‥と、そんな私の心中を知らぬキノと私とベルキスさんは、結婚して初めてゆっくりした時間を過ごすべく(?)現在騎士団にある滝まで散歩中だ。



「‥よく考えたら、敷地に滝があるってすごいですね」

「まぁそうだな。ただ竜は水を好むからどこの竜の巣にも川や湖はあるな」



そうなんだ!

ベルキスさんは演習場の脇にある小道を歩きつつ、滝の水が竜の巣にも流れこみ、地下水を通って大きな川に繋がっていくと話してくれた。



「‥竜の巣が付近にある地域は作物も豊かになる」

「もしかして、竜の効果?」

「各領地の作物量を比較しても顕著だな。皇族側は言わないが皆知っている。だから、ミヒロがヒュー殿に言った「生態系の保護」には確かに一役買っている」



え?

それ、聞いてたの?

驚いてベルキスさんを見上げると、ちょっと眉を下げて力なく笑う。


「あの場にいた竜騎士に聞いた。すまない、すぐに駆けつけられなくて」

「いえいえ、もう済んだ事です!」


元気付けようと、ニコッと笑うとベルキスさんは私の頭をわしゃっと撫でる。



「‥貴族共もわかってはいるんだろうが、金が掛かるのは確かだ」

「でも、恩恵は大きいはずですよ?」

「竜の巣の領地の近くにある貴族はな」

「‥ちょっと器が小さくないですか?」



私の言葉に、ベルキスさんがぶっと吹き出した。


「‥なかなかキツイ一言を食らわせてやったんだろ?」

「え?!あれ、キツかったですか??」


まずい!!やり過ぎちゃった?

ベルキスさんが悪く思われちゃう‥、冷や汗が出そうになると、ベルキスさんが首を横に振る。



「他の竜騎士は誇りを持って仕事してるんだ。あれくらいやっていい」



ニヤッと笑うので、私は知らずホッとして息を吐いた。

そ、そうか。それなら良かった‥のか?



「ありがとな。他の竜騎士もだが、俺も嬉しかった」



ベルキスさんにストレートにお礼を言われて私の顔が赤くなる。

い、いや、だってベルキスさんや他の竜騎士さんの頑張りをここ1ヶ月見てましたし?そう思いつつ、上手く言葉が出てこなくて、首を縦に振るしかできなかった‥。



照れ臭くて無言になってしまった私を小さくベルキスさんが笑うけど、な、なんか顔が上げられないんだが!?



そっとベルキスさんの横顔を見上げると、赤い夕日と金色の瞳が混じって綺麗な色になっていて‥、思わず見惚れてしまう。‥格好いいなぁ。こんなに格好いいし、強いし、そりゃ「男」の私と結婚したとしても、ワンチャン狙う!!って思うよね。



そんなことを思いつつ、滝の見える場所に着く。

滝の下は大きな池になっていて、綺麗な水が夕日の光を浴びてさっき見たような海の水面と同じく赤く光っている。



「ここも綺麗だ〜〜」

「キュウ!!!」



キノは私の首から、スルッと離れて水の中へ飛び込んだかと思うと、クネクネと体を動かして泳ぎだした。竜って泳げるの?驚いていると、ベルキスさんに「水竜もいるが、竜は大体泳げる」と言うので驚いた。私よりも上手いな!?



私も靴を脱いで、そっと水に足をつけると気持ちいい!

今度ここに来てキノと遊んでもいいかも?


と、ある事を思い出してベルキスさんを見上げる。



「遅くなっちゃいましたけど、ベルキスさん今回本当にありがとうございました!」

「ん?」



私の言葉にベルキスさんが首を傾げる。



「パーティーまで色々教えてくれたでしょ?まぁ、ダンスはあまり上手くできなかったし‥。護身術‥は、今回あまり活用できなかったけど」



いや、護身術は活躍しなくていいんだ。平和がなにせ一番だ。

私がそう話すとベルキスさんはちょっと目を丸くして、それから柔らかく微笑む。その微笑みがあまりに優しくて、私の胸の奥がドキリと大きく鳴った。



「‥俺こそありがとうな。なかなか楽しかった」

「よ、良かった、です」



なんだ、この胸の動悸?

ちょっと引きつりそうな口元を無理矢理上げて笑った途端、びしょ濡れのキノが私の首元に巻きついた!



「ひゃあああああああ!!!冷たい!!!!」

「キュウ〜〜!!」

「き、キノ!!ちょっと待って!一旦離れて〜〜!!」



キノは私の訴えを無視して、むしろ楽しんでいるの?ってくらい首に巻きついて、面白そうにキュウキュウ鳴くのでベルキスさんに助けを求めたのに、ベルキスさんまで笑って「取れないな」なんて言うので‥、



「もう!!ちょっとは休ませてくれ〜〜〜〜!!」



夕方の空に向かって叫んださ。

神様、仏様、もうちょっと私に優しくても良くない?ようやく契約結婚の1ヶ月が終わったけど、まだまだ色々ありそうだ‥。





ようやく1ヶ月。

すでに50話近い。すみません‥まだ続きます‥。

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