パーティーカウントダウン男装女子。
竜の巣の最深部で子育てしている水色の竜にラスカさんは見るのは許して貰えたので、大変嬉しい。しかも、私も評価して貰って大変嬉しい。
嬉しいのだが‥、ベルキスさんは複雑な顔をする。何故だ。
あれから3日経ったけど、結局ラスカさんともフィクトルさんとも一緒に竜の巣へは行ってない。時間の都合をつけたベルキスさんが常に一緒なのだ。安心だからいいけど、いいのかなぁ〜。仕事とか忙しくないのか?
「‥何かやらかしてしまったのだろうか」
「なんの事だか分かりませんが、杞憂だと思います」
今日はマナー講座もそろそろ終盤を迎えて、ロアン君と早々に一息入れていたのだが‥。うっかり独り言が大きかったらしい。それでも即座に反応してくれるロアン君、優しいな。
「‥いや、でもね、新しい竜の巣見つかったんだよね?」
「そうですね、兄もとても喜んでいましたね!先陣切って、突入しようとするので慌てて止めたくらいです」
「さっすが〜‥」
「今度、また竜の巣に調査しに行くって張り切ってました!」
「お仕事熱心だね‥」
フィクトルさん、本当に竜が好きだなぁ〜〜。
あんまり話す機会はないけど、ロアン君の話を聞くと端々に竜が大好き!!が伝わってくる。こりゃ確かに最深部まで行けるわなって思っちゃう。
「ところで、そろそろパーティーですね!」
「うう、そうなんだよ!!どうしよう〜!もう胃が痛い‥」
「大丈夫ですよ!ダンスも結構踊れるようになったし、所作も綺麗になりました!護身術も習ったおかげで体幹もしっかりしてきましたしね!」
「‥ううう、嬉しいけど、嬉しいけどぉおおお」
19歳の乙女が護身術をマジな騎士から習うって、本当にシンドイ。
絶対、私を男子としか扱ってないよ、あれ。
プロテクトと風の魔法を使っているから、まだいいけど一体何度地面に転がされたんだってくらいだもん。契約とはいえ、男子扱いは本当に辛い。いや、これも仕事と寝床の為だ。
乙女心が歯を食いしばっているけど、頑張ろうぜ!!
そんなことを思っていると、ロアン君が何やらポケットから紙を出して‥、
「ミヒロさん、パーティーの日は隊服は恐らく問題なく着られると思うんですけど、ちょっと身だしなみチェックをしたいんです」
「え、そんな事まで?!」
「皇族のご息女の主催されるパーティーですよ?」
「‥お願いしまーす」
「はい、よろしい。つきましては僕、当日に着替えが終わった頃にご自宅へ伺ってチェックさせて頂きます」
めっちゃいい笑顔で言われたら頷くしかない。
10歳にいいようにあしらわれているなぁ‥。
「あと、聖竜騎士団の方も出席されるようです」
「聖竜騎士団?」
「はい。講座でお教えしましたよね?」
「え、えーと、魔法や剣術、知性に優れた選ばれた竜騎士団ですよね?」
ラスカさん情報を付け足すと、威張りくさっててムカつく奴ら‥だけど、これは黙っておくのが吉であろう。私の答えに、ロアン君はにっこり笑って頷く。
「そうです。貴族の方も多いのが聖竜騎士団です。失礼のないように気をつけて下さいね。まぁ、ベルキスさんが常に側にいると思いますけど」
「そうですね〜。ベルキスさんしっかりしてるから」
そう言うと、お茶菓子のクッキーをぽりぽりと齧っていたキノが、顔をあげて「キュウ!」と鳴く。もちろん君もしっかりしてるよ‥多分。ふふっと笑って、頭を撫でているとロアン君が「そうだといいんですけど‥」って言うけど、あんまりな感じなの?
と、ドアがノックされて話題のベルキスさんが入ってくる。
「ミヒロ、講座は終わったのか?」
「はい。ベルキスさんお茶は?」
「‥いや、これからまた別件で仕事なんでな」
「そんなに忙しいなら、毎回竜の巣に入るの私じゃなくてもいいのでは‥」
そう言うと、ベルキスさんの顔が無表情になる。
「お、怒らないで下さいよ!心配してるんですよ!」
「怒ってないぞ」
「でも無表情ですけど!」
「気のせいだろ」
本当に〜〜?
でも怒っている顔を見るのはちょっと怖いので、視線だけ動かして、もう一度ベルキスさんを見上げると、横を向いて小さく体を震わせている。
「!!もう!!またからかって!!」
「ミヒロが勝手に勘違いしただけだ」
「そういうのどうかと思いますよ!ねぇ?ロアン君?!」
「‥‥そうですねぇ。竜に一回くらい蹴られそうですね」
ほらー!!ロアン君だってダメじゃないって言ってるよ?!
私がジトッとベルキスさんを見上げると、急にわしゃわしゃと頭を撫でられた。くそ、ちゃんと聞いてくれ!!




