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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。

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初日だったね男装女子。


どっさり買い物をして、パンパンになった紙袋を持って騎士団に戻る。

と、長い廊下を歩いた先にいくつか家が建っているのが見えた。



「‥俺は一応副団長なんでな。こっちの一棟が俺の家だ」

「家!!」

「といっても官舎だから私物ではない。大体結婚して所帯を持つからこの大きさの家を支給されるんだ。もっと狭くてもいいと思っていたが、今は逆によかったな」



そ、そうなんだ‥。

白い漆喰の壁に塗られた二階建ての家を見て「これが官舎?別荘じゃないの?」って思わず呟いた私をベルキスさんは笑うけど、本当にそれくらい綺麗なんだもん。


鍵を開けて家に入る。

一階は台所とお風呂、洗面所、客間が一室。

二階にはベルキスさんの部屋と、空き部屋が二部屋あるそうな‥。確かに一人では広すぎるわな。



「ミヒロはこの部屋を使え」



そういって扉を開けてくれたけど、本当に何もない!

ベッドが一つと、棚が一つ。以上!簡潔!!


「横の扉を開けると、トイレと洗面所がある」

「あ、はい」

「掃除は洗浄魔法が家全体に掛かっているから綺麗になるが、片付けは自分でするように」


コクコクと頷いたけど、洗浄魔法?!!

サラッと言ったけど、すっごいな?!

本当に異世界に来たんだなぁと驚いて部屋の中へ一歩足を踏み入れる。



白い漆喰の壁に、木枠の窓から光が燦々と入ってきて‥、なんというか落ち着く。



「荷物を置いたら、そろそろ夕飯を食べに食堂へ行こう。毎日やっているからいつでも食べられる」

「い、至れり尽くせり!!」

「そうだな。服‥は、こっちの国の服を着た方がいいだろう。目立つからな」

「あ、やっぱりそうなんですね」



こっちの人もシャツとパンツ姿だったから、本日の私の格好も似たような格好だったので心配ないかと思ったけど、やっぱり目立つんだ。と、ベルキスさんはちょっと笑って‥、



「着替えたら下に来てくれ。待っている」

「あ、はい!」



私はお礼をいってから、買ったものを急いで棚にしまって急いで男性物の服に袖を通す。洗面所に鏡があったので、確認すると‥、うん、男に見える。どっからどう見ても男っぽいな。シャツの袖を捲ってからベルキスさんに貸してもらったストールを持って一階へ降りる。



「ベルキスさん、着替えてきました」

「ああ、サイズはちょうど良かったな」



と、私の襟元のボタンが一つ空いていたのだが、無言でボタンを留められた。えーと、ちょっと苦しいんだけど‥。


「‥ちゃんと上まで留めておいた方が良かったですか?」

「‥‥念の為な」


そっかぁ。

ちょっと苦しいけど、第一ボタンまでしっかり次も留めておくか。

ストールを返そうとしたけど、「持っておけ」というので、食堂に行くしな〜と思って首に巻いておいた。



「‥ストール、ミヒロに似合うな」

「そうですか?」

「俺はほとんど使わない。竜に引っ張られるしな」

「ああ〜〜、ヒラヒラしたのとか好きなんですね」

「ふわふわした物も好きだな。以前、竜の巣に入りたがった貴族の羽飾りの帽子を一瞬で噛みちぎった」



その情景を思い浮かべて、ぶっと吹き出した。

私の周りにいた水色の竜や、銀色の竜は確かに私を見て興味津々だったな。確かにもみくちゃにされそうだ。



「じゃあストールは大事にしまっておきます」

「‥外出する時にでも付けてくれ」

「そうですね。せっかく頂きましたし」



ニコッと笑ってベルキスさんを見上げると、わしゃっと頭を撫でられた。

こっちの世界はやたらと頭を撫でる文化があるのだろうか‥。



「‥食堂はこっちだ。朝5時から夜は9時までだから。食いっぱぐれるなよ」

「朝早いんですね」

「朝番もいるからな。早起きは得意か?」

「‥目覚まし時計ってこの世界はありますか?」

「ディーだな‥。窓の外から鳴いてくれるぞ」

「‥‥一発で起きられますね」



あのでっかい黒い竜が窓の外から鳴く?!

私は絶対秒で起きられるな‥。

空を見上げると、丁度ディーが空を飛びつつ「ギュウウウウウ!!!」と鳴いてる。あ、あれが来るのか‥?冷や汗を流していると、ベルキスさんが横で静かに体を震わせている‥?



「あ、もしかして騙しました!?」

「‥早速騙されているな」

「もう!!こっちは異世界初日で右も左もわからないのに!!」

「初日とは思えない落ち着きだが‥」

「心の臓がバックバクですよ!!もう!!」



じとっとベルキスさんを睨むと、クスクスと面白そうに笑うけど‥。

本当に油断も隙もないな!!良い人かもしれないけど、信用し過ぎては危険だ!!そう心に刻んで私とベルキスさんはいい匂いが漂う食堂へ向かった。




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