友の船
貴女が好きです
もし貴方に恋をすることで、貴女が悲しむというのであれば私は彼に近づかないようにしましょう。
友達っていう存在が私は大好きだった。友達だけが私の唯一の居場所だった。
家族に虐げられた私に友達は優しく微笑みながら、私に手を差し伸べてくれたんだ。
そんな貴女達が私は大好きでした。
少し、複雑そうな表情を滲ませながら、告白をする貴女。
その言葉の一つ一つは、どんな家族からの言葉の暴力よりも……痛くて、切なくて、苦しくて。
堪えることができない涙が溢れて止まらなかった。
私は知っているんだ。
そんな顔をしたそんな表情をする人が一体何をするのか。
貴女の好きな人に恋をした私が異端なの?
友達は大切。好きな人も大切。
どっちが大切かなんて、神様は意地悪だよ。
そんなの天秤に乗せれるわけがないのに、そうすることを強要する神様は残酷だよ。残酷で、辛いよ。
異端な私はどうなるんだろう。貴女になんて言えばいいのかな。
彼女の笑顔が好きだ。満開の花のようなそんな顔が好きだ。
……彼にしか見せない儚い、儚くて、今すぐにでも消えていきそうなそんな表情も好きだ。大好きなんだ。
友達、友達じゃない。私にとって貴女は私を救ってくれた英雄で、私の一番の「親友」なんだ。
いつまでも、私の一番星だったんだ。
苦しいよ。肺が痛いよ。悲鳴が全身に鳴動して……心臓が哭いてるんだ。
言った。泣きながら私は貴女に伝えた。
「彼との恋。応援する」
って。
何で泣いてるの?
って。
貴女は私の頬を伝う涙をすくってくれた。
優しい手つきだった。世界一大好きな親友の手はいつまでも暖かった。
ごめんね。
謝るなんてズルい。私だって、彼が好きで、好きで、好きで、好きでしょうがなくて……。
貴女の気持ちずっと気づいてた。
ズルいよ。このタイミングで言うなんて貴女は卑怯だよ。涙が止まらない。ズキズキと痛む心臓を抑えつけて……それでも嗚咽が止まらなくて、何度も嘔吐いてしまう。
貴女は何も喋らずに、私を抱きしめてくれていた。
涙は枯れた。
真っ赤に腫れた目を携えたまま、私は帰路につく。
家に帰っても苦しみから解放されることはなかった。ただただ、ただひたすらに引き摺って、重いその枷を、枷から解き放たれたくて……また私は泣いてしまった。
神様。こんなの酷いよ。どれだけ私は痛い目に合えばいいのかな。
あと、何回、何十回、何百回、私は我慢して、嗚咽して、この世界を生きるのかな。
フラッシュバックする。貴女の優しい笑顔と朱色に染まった見慣れない顔。
それでも、
苦しい世界の中でも、
私の中には、
貴女がいるから、
貴女の、
その、
笑顔が、
あるから、
私はどうすればいいの