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Don`t Read(人生観)  作者: 安川瞬
12/19

触れたカスミソウ

君の髪の香水の匂いが花にこびり付いて取れないんだ。


いつかまた会えるのかなって

ねえ、また出張なの?


そっか……待ってる。うん。大丈夫だよ。


君のこと好きだもん。待てるよ。好きだから。ずっと前から好きだったもん。


うん。行ってらっしゃい。








止めれば、良かったのかな。

君のこと好きだから、束縛したら辛いだろうから、だから止めなかった。


恋人って言うのは、お互いを尊重して、お互いを愛すものだから、そうだって信じてるから、だから止めなかったの。


でも間違いだったのかな。

君のその右手に繋がれてる女性は誰?









違う。その手は誰の手?


誰を殺したの?


生きてる人を殺しちゃダメってそう言ったよね?


私の体じゃあ満足できなくなったの?


死なない体じゃあ、叫ばない体じゃあ、もう貴方は満足できないの?


君を、甘やかさない方が良かったのかな。君のその趣味を尊重した私が間違ってたのかな。


それとも、そんな君に、貴方に恋をした私の負けなのかな。








いいの。謝らないで。違うの、違う。違うから。


君は悪くないよ。


君にワタシを殺させた私が悪いの。


ねえ、もう一回私を殺してみて?







銀のスプーンを握った王様が怒鳴り散らす。

何度同じことを言えばいいのかと。また約束を破ったのって。これで何度目なの?

反故された約束と契約による雁字搦めの誓約と制約。愛は単純で単純じゃなくて、複雑で摩訶不思議だった。

ううん、知っている。私たちの家族がおかしいの。君との恋がこんなにも難しいなんてね。

……そうだね。生きてくる時代を間違えたのかな。何も悪いことをしていないはずの私たちが悪かったのかな。



残酷な時の番人が私たちを見つめる。

締まる首。突き刺さるナイフの感触、落ちる君の涙のしょっぱさ。最後の味、味覚と消えた痛覚。

零したコーヒーの匂いが、私の服を汚して包んでいく。

血液の奔流。溢れる想いと、思いと、重い現実と軽い未来。

きっと今よりも幸せな生活ができるよね。


これは雁字搦めの少女と楔に愛された少年の話。

藍色に染まった彼女の頬を愛色に染めるために彼は死ぬ。

また会いに来るね。つぶやいた言葉は言霊となり、宙に舞って……呪縛となる。

それが詠唱の式であったように空気に波紋が呼ぶ。

波、奔流、どんな言葉ですらも表現することができないエネルギー。


骸骨の少年がこちらを向く。


動き出す加速器。

ニトロ加速器の奔流だったか。

重力に遡って上昇する毒リンゴの不思議な味。

契約の味か、楔の味か、はたまた、君が作った独リンゴか。


鳴りやまない耳鳴りはニトロの破裂音だったか。



会いに来たよ。


食器の音が静かになっている部屋だった。








骸骨王子は誰とオドルカ。

来世

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