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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第11章 謎の「古代遺跡」
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返す返すも悔やまれる

 突如として、カエルのようなトードウォリアーの声が聞こえてきた。最後に聞いてから、それほど長く経っていないはずだけど、なんだか久しぶりのような気がする。

 ナスル殿下はチッと舌打ちして舟を停止させ、部下に短く命令を下した。リザードマンの精鋭は、きびきびとした動作で、各々の武器を構える。しかし、その数は旅立った当初の約半分。残る半数はトードウォリアーの毒矢にやられ、今なお本調子ではなく、満足に戦える状態でもない。

 居眠りしていたザリーフは、目を覚ますと、顔を上げ、

「今度はなんやろ…… なんか分からんけど、ひょっとしたら、やばいんとちゃう?」

 と、おののくように言った。


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 密林にトードウォリアーの「@@@」が絶え間なく響く。声はすれども姿は見えず。いつぞやの特大ヒルや毒矢のように、反撃を受けないよう、見えないところから嫌らしい攻撃を仕掛けてくるつもりだろうか。

 わたしはプチドラを抱き上げ、

「プチドラ、どう? トードウォリアーは、今度は、どんなことを仕出かしてくれるのかしら??」

「そう遠くないところにいると思うけど、連中の考えてることはボクにも分からないよ。」

 やはり、隻眼の黒龍といえども、なんでもかんでもこなせるわけではないらしい。マリアのような感知魔法があれば、ある程度のトードウォリアーの意思(敵対的か否か、あるいは敵意の程度・度合い等)は分かったかもしれないが。

「しょうがないわね……」

 わたしは「ふぅ~」と小さくため息。返す返すも、ガイウスとクラウディア(及びダーク・エルフの仲間たち)、メアリーとマリアを連れてこなかったことが悔やまれる。


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………

 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………

 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………



 トードウォリアーの声は、ますます大きくなっていった。声のトーンも上がっている。なんというか、表現が難しいが、いつもの「@@@」の調子とは少し雰囲気が違うような気がする。いよいよ総攻撃をかけようというのだろうか。プチドラは、舟の舳先にピョンと飛び乗り、耳をピンと立てて周囲を見回した。

「……お姉様?」

 今度はアンジェラが目を覚まし、体を起こした。

「また出たわ。カエルさんたちよ。今は声しか聞こえないけど」

 わたしはそう言ってアンジェラを抱き寄せた。彼女の身体は小刻みに震えていた。

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