私ってなに?
カヨコちゃんが《影鎧》を使い、《影鎧》から声がする。
《《影剣》》
鎧から言葉が発せられる。
それは一人が発した言葉ではなく複数人が発した声がした。
感覚を探ると鎧の手には口がついてる。
鎧が発動した魔法はきちんと発動され、黒い剣が出現し、カヨコちゃんが両手に装備する。
そのまま剣技を披露した。
私でもカヨコちゃんでもなく、鎧が動くことで無理矢理体を動かして舞うから、ぎこちなさがあるけど。
《感謝する》
一通り舞い終えたのか、鎧は言葉を発した。
「いいわ・・・少しは疲れたけど、アンタは満足できたんでしょ?ならいいわ」
《カラネ・・・これは聞こえているのか?》
「多分ね。聞こえているはずよ」
《そうか、カラネ。其方は戦いに向かぬ存在故、幾分か彼の地によって力を得たとしても、勝つ事のできる範疇はその程度。其方は非常に戦いに向かぬ存在だ。しかし、其方の中には戦いに向いている者も居る。故に其方は他人を使え。こやつのように吾を魔法に呼び出すような脳も才も無い其方は他者を使え。でなければ、この先の戦いで其方と共に吾らは消滅しよう。心得よ》
「だそうよ。アンタは《人格形成》や《思い込み》に対してウチの事で気が引けてるのかもしれないけど、アンタ自身には必要な事だと、必要だからアンタの魔法として存在する事を理解しておきなさい。とはいえ、すぐに出来ないだろうからせめて、こんな風に魔法で生み出した物質に人格を移植させることくらいできるようになりなさい。いいわね?そろそろ時間だから交代するわよ。《交代》」
交代する前に魔法が解除されて、私は白い変身した姿に戻っている。
目を瞑り、胸に手を当てる。
「カヨコちゃん、影の人ありがと」
私の魔法・・・確かにそうかも。
《逃避》とか初めから私は戦おうとはしてなかった。
力を得ても、状態異常や属性耐性なんてつけてなかった。
攻撃も防御もない。
ネラの作った空間で暴れるだけ暴れて、呪獣に勝てるようになっただけ。
戦う事に関して嫌いじゃない。寧ろ好きだと思う。剣を振るってる時、高揚感があるから、興奮して笑顔になれる。
けど、根本は違うよね。
ハリボテの力。
元々、私には何もない。
何もない私は誰かに身を捧げ、誰かに戦って貰わないと死んでしまう弱い人間。
うん、魔法少女だから戦えなきゃ駄目って思いこんでいたのかもしれない。
呪獣に食べられて融合して、人とは違う力や身体能力は得たり、そのおかげで魔法少女としての私の力は変わったけど、でも根底はやっぱり、空っぽな私がいるだけ。
だから攻撃的な固有魔法も無いし、防御的な固有魔法も無い。
逃げて、他人と変わって、他人を作って、思い込んで、消して・・・
私は戦いから逃げていたかったのかな。
あっ、時間来ちゃった。
ちょっとサボっちゃおうかな。
私がどうありたいかわかんなくなってきた。
結局はどうしたいんだろう。
魔法少女だから戦う。戦わないと力が強くならないし、呪獣に襲われて死んじゃう。魔法少女狩りって存在もいるわけで、襲われる可能性だってあるから強くならなくちゃ、自衛出来なきゃ死ぬだけ。
多少は出来ても強い相手には勝てない。
私は他人に私の命を預けて、他人に任せていいのかな。
それってなんだか違うと思う。
私って・・・魔法少女なのかな?
私じゃなくていいよね。
一層の事、別の誰かに身体上げて私が消滅してもいいよね。
私って、私の存在って何なの?




