なんか拾った
ビランちゃんが扉を開けるとそこには眠った少女が縛られて寝転がされていた。
でも、何だろう?
私が感じ取れない。
力がすり抜けて床と同じような認識をする。
不思議な子だ。
私が考え事をしているうちに構図は変わっていた。
ビランちゃんがこの子を、私の・・・えっと・・・そう!空虚力を使って繭状にして捕獲し、尻尾を生やして繭を尻尾で掴み天井に張り付いて、金髪の人と対峙している。
天井と壁に挟まるように手足を使っているので普通に手が足らない。
この状態で攻撃されたら逃げようがないけど、それは私の場合。ビランちゃんは事前に魔法を発動できる状態に複数待機させていた。
「ちょっと~、その子ウチの貴重な資源なんだけど?返してくんないかな?面倒かけさせないでよ~」
ビランちゃんは入ってきて少し近づいてきたタイミングで急接近した。
「ちょっ!なっ・・・あっ・・・クソ!」
油断していた金髪の人の目の前で《逃避》を発動して、扉を出る。
そのまま翼を羽ばたかせて階段へ向かって、一直線を進んでいく。
遊びで飛んでいたのがわかるくらいには急加速していた。
でも、繭の中の子は大丈夫かな?
見えてきた階段を飛び越えて上に出る。
「誰!?」
「捕えてる人だよ!脱走してたってさっき言ってたじゃん!」
「と、とりあえず捕まえないと!」
そんな二人を横目にビランちゃんは《逃避》で躱して先へ進む。
「他の人に連絡お願い!」
「ちょっと!あっもう!」
なんか後ろで追いかけようとして一人はあきらめて戻ったっぽいけど、残った一人はやけくそになって追いかけてる感じがする。
今はかなり速く移動してるから捕まえきれないの分かってるんだろうな
なんか他人事に考えてビランちゃんが次何をしようとしてるのか予想する。
普通に考えたら、逃走だよね。
でも、進むなら外に出る為に窓から出るはず。
確かにこの辺りに無いけど、そこら辺の部屋の中に窓があるから出ようと思ったら出れるはず。
なにを目指してるんだろう?
てか、複数同時に何かしてると思ってたけど全部《逃避》の魔法だったのかな?
現れる人全て《逃避》で回避してる。
無詠唱で出来たんだ・・・私やり方知らないんだけど・・・
感知してる空間を整理していく。
力が巡ってある程度の建物の構造を理解したけど、ここは普通に広い。
どこかのお屋敷のような広さをしていて、コの字型の構造をしている。
私がいたのは地下だけど、あの場所もそもそもそんな匂いがしない使用されてはいないけど掃除はしてる程度だった。
で今いるのは一階。
この上に4階あるから普通に広い。
一階でも十分広くてコの字の四角に一辺ない方が正面として私が出てきたのは正面からみて左の角辺りから出てきた。
そしてビランが目指してるのは恐らく反対の右の角辺り。
厄介なのが一本道で行けるけど、少しうねっているからその影響で時折減速して移動している。
速度が電車から自転車に変わったくらい違う。
移動中に人がいるのもあって自転車くらいの速度で飛んでいるけど、人という障害で時間がかかっている。
「来たぞ!防壁の準備!」
ビランちゃんの前に突然、石壁が現れる。
ビランちゃんは少し動揺したようだけど、頭の回転が早く次の手を出す。いや事前に用意していたのかな?
手にドリルのようなハンマーのような黒い塊が現れる。
それを壁に当ててから、少し深呼吸して身体を少し後ろに倒してから一気に前に倒れるように体重をかける。
どがあぁぁぁぁん!!!
今、ハンマーっぽい部分が圧縮していったよね?
何その武器こわ。
見ている感じ、ドリルを始めに当てて少し削って固定して、思いっきり体重をかけることで、ハンマーが壁全体に強い衝撃を与えるようにハンマー自体に力を圧縮するような仕組みがあるように感じた。
壁の向こうでは横の部屋に追い込んで包囲して確保するはずだったみたいで感知した感じ横にある部屋は窓が封鎖してあって、逃げたのを感じたら壁を扉の前に再設置して他の人が来るのを待つ手はずだったようで、完全に油断していたみたい。
壁が壊れてがれきに巻き込まれて逃げていく。
ビランちゃんは嬉しそうな笑い声を上げながらまた飛んでいく。
「キャハハハハハハ!!」
こんな事してるけど、身体の中ではまた対策をしていて、私の存在が不要な程に有能で空虚力で新しい魔法の開発をしてる。
それに、今気づいたけど、繭の子の調査もしてるね。
この子・・・見覚えがあるような気がするけど気のせいかな?




