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状態異常に弱い体です


 シンラ先輩の針が彼女の服を裂いて、腹部に突き刺さり、彼女の羽を縫い留めるように根本に三本刺さっている。


 一瞬痛がる様子を見せるも、翼が一瞬消えて生えてくる。

 腹部も逆再生するかのように針が押し出されていく。


「不思議な身体ね」

「いってぇじゃねぇかよ・・・クソババァが・・・」


 幼さを感じさせていた顔がすっかり化け物のような表情に変わっていて普通に怖い。


 そんな様子を見ながら私は周囲を警戒する。

 シラベ先生もアンナ先生も姿は無く、フヨコ先輩の姿もない。

 恐らく直撃したからだろう。


 チヨ先生とカンナ先生は警戒しつつ、飛んできたリューちゃんやハネちゃん含めた一年生を両脇に抱えて確保しつつ距離を取っている。

 ハネちゃんは疲れが溜まっていたからか気絶していて、ジュオンちゃんとマンラちゃんは戦いたいらしく暴れているのをチヨ先生の拘束で動けなくて喚いている。


 だから、襲ってきた相手に対し、シンラ先輩のメンバーのみで対応している。


 ハヅキ先輩一人でもう一人の軍服の人を相手にしているけど、明らかに押し負けている。

 そもそもシンラ先輩達は近接戦闘タイプではなく遠距離支援タイプでトウカ先輩のような相手に弱い。

 逆にフヨコ先輩のタイプなら良いのだろうけど、ハヅキ先輩の様子を見るに相性が悪そう。


 う~ん。

 この状況恐らく一番はフヨコ先輩らを探して戦線復帰させること。

 何だろうけど・・・


 なんだかんだ言って私も戦いたい。

 その気持ちがある。


 えっとごめんね。先生。それとジュオンちゃんとマンラちゃんも

 私戦いたくなっちゃった。


~・~・~


「んふふふ・・・くふ・・・」

「ちっ、アンタ・・・想定していないわよ」


 私の連撃していると、剣を振られて距離を取ることになる。


「悔しいですけど、助かりました。ありがとうございます。ですが、下がってください。一年生を先頭にまきこむわけには」

「うーん、まだまだ行くよ」

「あっ、ちょっと」


 うん、別人格とは言わないけど、酔って人が変わるとか八方美人とかそういうのが合うのかな?

 心の底から戦闘を楽しみたい欲が湧いてきて楽しいって感情が隠せない。

 少し子供っぽくなるけど、それほど感情が隠せない。


「聞いていた話と違うわよ。ここは温室育ちの魔法少女しかいないんじゃなかったかしら?なんでコイツみたいなやつが・・・キャッ」

「戦闘中・・・おしゃべり・・・無駄」


 そもそも、コミュニケーション力のない私が初対面の相手と戦闘しながら会話できるわけがない。そんな器用なこと出来たら苦労なんてしない。

 そう思いながら、身体の拡張をして尻尾を増やしサソリのような尻尾をイメージして相手を襲う。

 その合間合間に牽制の火の球を入れながら、杖を槍に変える。

 シンプルな槍じゃなくて所謂トライデント。三叉槍をイメージしてる。


 私が戦った中で強かった剣を持った呪獣はこの人の数百倍強かった。

 なんで勝てたのかわからないけど、でも勝つまでに数百回と死んでるからその差かな。

 槍で剣を巻き上げて、彼女の腕を狙う。


 攻めて攻めて、徐々に壁に近づいていたから壁に押さえつけることを目的に考える。


 それに気づいているのかなんとか壁から逃れつつも策を考えているみたい。

 何故だか知らないけど、魔法を使わない。

 だからこそこうやって戦えもするけど、あれかな?トウカ先輩とかマンラちゃんとかそういうタイプ?


 魔法でも自動で作用するものがある。

 トウカ先輩なら拳を攻撃に使用した時に様々な補助がかかるように、マンラちゃんも条件付きのパッシブ系の魔法何だと思う。

 だからこの人もそういうタイプだと思うんだけどな。


「はぁ。少し舐めていたわ。このままじゃやばそうだし。ちょっと痛い目見てもらうわよ」


 そういって絡めとって適当に投げ捨てた剣とは別に新たに剣を取り出した。

 うん?剣は杖じゃない?


 私が考えていると、彼女は構えて力をためている様子だった。


「ちょっと大きな被害があるから使うのは避けてたけど、捕まるわけにはいかないし良いわよね。《毒円斬》」


 その為時間はあまりにも早く、私は普通に油断していて気付いたころには遅かった。

 彼女の剣から剣撃が飛んできて、私の腹を裂いていく。


「うげぇ・・・うおぇ・・・」


 切れ口は浅いけど、彼女の魔法だろう。

 身体が痺れて吐き気がする。


「はぁ・・・はぁ・・・流石にあなたは毒耐性を持っていないようね。安心したわ・・・それにしたってどうしよかしら。あなた、ちょっと気になるわね。あいつの所へ持っていこうかしら」

「もう!お姉ちゃん危ないじゃん!あたし、まだ毒耐性得てないんだから危うく負けかけたじゃん!」

「それはアンタが悪いわ。で?そっちは片付いたのかしら?」

「もちろん!なんか、お姉ちゃんの劣化版みたいなのがいたけど、思ってたよりも弱かったからすぐに終わった。あ、お姉ちゃんの斬撃がこっちまで届いたってのもあるけど」

「そう。悪いけど、目的についてはどうかしら?」

「特に影響はなさそう。多少の毒だから耐性が無いと死んじゃうけど、魔法少女だから大丈夫だよ」

「魔法少女は丈夫だものね。それで、この子どうしようかしら」

「うん?えっなんでこの子翼も尻尾も生えてるの?普通の魔法少女だよね?」

「それがなんだか違うみたいだわ。危うく負けそうだったもの」

「あっそっか。じゃなきゃお姉ちゃんが魔法使うわけないもんね」

「そうよ。毒耐性が無くて助かったわ」

「へぇ・・・この姿で毒耐性無いんだ・・・意外だね」

「それにしても、情報に差があるわ。あとで彼女たちを問い詰めないと」

「やっぱり、彼女達って裏切りじゃないの?」

「さぁ?それは私の判断することじゃないわ」

「でも、負けそうになったし仕方ないんじゃない?」

「確かにそうね。でも、目的は果たせたでしょ?」

「うんうん。思ったより弱いね。ここの魔法少女達」

「仕方ないわよ。じゃあこの子連れて帰りましょ」

「お土産だ~!」

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