意外とみんな戦えるというか普通に怖いですね
ジュオンちゃんは飛び降りてすぐに装備を変更し、籠手に変化させて先頭にいた呪獣を殴りつぶした。
つぶれた呪獣はジュオンちゃんに吸い込まれるかのように霧になってジュオンちゃんの籠手に集まっていく。
その様子を確認したジュオンちゃんはそのまま、狼狽える呪獣達に突撃していった。
マンラちゃんは魔法を使わず、降りると杖をシンプルな剣に変えて、そのまま華麗に斬りかかる姿はまるで踊っているかのようで、斬った後の呪獣の姿は確認せず、踊りながら最後尾から次々に呪獣を斬っていく。
リューちゃんは移動する群れから外れた呪獣に対して、その体には似つかわしくない巨大でごつごつとした爪の生えた手で空中から滑空して襲い掛かる。
呪獣をつかんで空中へ上がり、そのまま掴んだ呪獣を両手の爪でぐちゃぐちゃに引き裂いていた。
ハネちゃんはマンラちゃんの斬り残した呪獣に魔法を使っているけど、詳細はわからない。
ただ、怯えた様子で消えていく。
その様子を一部始終見ていた私はただ一言。
「みんな怖いよ」
なんだか私が呪獣になって怖がらせて嫌われるよりも、呪獣になっても彼女らに襲われなくてよかった。
今はただそう思えた。
~・~・~
遠くから見ていて思ったのは、彼女達は戦い方を知っている。
魔法少女として戦いをしていないはずなのに、自身の力の使い方を知っていて、使いこなせている事。
それと呪獣自体それほど強くないこと。
私がネラの生み出した空間の中で戦った数々の呪獣。その呪獣の中でも最も弱い呪獣よりも弱い。
私のもっとも弱かったと感じた呪獣のレベルが15だとしたら、ここにいる呪獣は強くて10、大体5~7くらいの強さに感じる。
それと違和感。
なにかわからないけど、違和感というか引っかかりを感じる。
フヨコ先輩が見当たらないのも気になる。
まあすぐに帰ってこないことからなんとなくここにいないのはわかっていたけど、なんで呪獣は移動をしている?
私があれこれ思考していると、場に変化が訪れた。
そろそろ殲滅が終わる頃、反対側から呪獣が移動してきた群れが出現した。
それにいち早く気が付いたハネちゃんが、呪獣の最後尾まで飛んでいき、鱗粉をまき散らす。
「あっ、ハネちゃん!戻ってきて」
マンラちゃんが焦った様子でハネちゃんの後を追いかける。
ハネちゃんの鱗粉の効果なのか、呪獣達はコケるように先頭から地面にぶつかっていく。
そして最後尾から爆発的な音と共に衝撃破を受ける。
幸いにも私は上空で見てるだけだったから問題なかったけど、ハネちゃんとマンラちゃんは辛うじて回避して、リューちゃんとジュオンちゃんは後ろに飛び跳ねて衝撃を和らげようとしていた。
「あら、なんで一年生たちがこんな所にいるのかしら?」
ハネちゃんとマンラちゃんを見下ろすような形でフヨコ先輩が立っていた。
「あれ?ホントじゃん!なに?先生たちに許可得たん?」
「そんなわけないでしょ。どうせ抜け出してきたのよ。何気にこの子たちスペック高いから」
既に見つかっている二人含め残りの二人も見つかっているはず。
私はまだバレていないはずと思い、ゆっくり後ろに下がっていると
「逃げるとメンドーなので捕まえさせてもらうね」
いつの間にか背後を飛んでいたハカリ先輩にぶつかり、捕まえられた。
~・~・~
「はぁ、元気なのはいいがなぁ・・・」
「ちょっと、お仕置きですね」
5人仲良く縛られてシラベ先生の前へ座らされ、説教を喰らった。
罰として眠気が来るまで防壁を作る作業に入り、眠気が来たら身体を洗って強制睡眠させられることになった。
見張りとして先生たちが交代で見張る事になった。
「ジュオンちゃんがどうしてもって・・・」
「マンラが楽しい事できるって・・・」
二人は互いに責任を押し付けて難を逃れようとしたけど、結局駄目で二人が労働し、私達三人で交代で監視することになった。
これで仕事をサボれば、他のきつい仕事を押し付けると言われたので、大人しく従うことにするけど、なんだかんだで二人なら張りきって朝までやりそうだなって思った。




