カラネを見つけて
朝になり、これからの話し合いをする。
「さて、これからについてだが、引き続き合宿は続ける。フヨコは私と一度戻る事になるがまた戻ってくる。その事はおぼえておいてくれ。私からは以上だが、他に何かあるか?」
朝のご飯時にシラベ先生からウチの体の事について、早急に対処する為、ウチとシラベ先生は合宿を中断し、保護する話を聞いていたから、ウチから何か言う事はない。
「フヨコさんにお聞きしたいのですが、フヨコさん自身の魔法の使用やカラネさんの魔法の使用について現状どんな感じなのですか?それと、もしカラネさんの魔法が使えるのならカラネさんの魔法《交代》で入れ替わる事は出来ないのですか?」
「そうね。一応ウチの魔法もカラネの魔法も使えるけど、《交代》で入れ替わる事は出来ないわ。というか、カラネの魔力は感じられるけど、交代対象として認識できなくて、この体の中にカラネがいるのか、どうして感じ取れないのか不明って感じよ」
「うん?カラネ、呪獣の力の中にいるよ?」
「え?」
シンラの質問に昨日と今朝も試してみた結果をそのまま伝えたら、カラネと同じクラスのジュオンだっけ?が反応した。
カラネが呪獣の力の中にいるですって?
体の中にはウチの魔力と呪獣の力は感じ取れるけど、微かに感じるカラネの力はあっても意思のないただの力しか感じれなかった。
呪獣の力は色々混ざっていて何が何だか分からない。
だから、放置はしていたけど、まさか呪獣の力の中にいるなんて・・・
この中からカラネの意思を探すのは難しい。
けど、ウチは付与魔法の使い手。
付与する対象を範囲から指定できれば・・・
いや、分からないわね。
感覚で行っている事だからせめて名前を表示してソートなんかできればいいのだけど、そんな事無いから、手当たり次第になってしまうわ。
やるにしても、数が一桁ではなく、3,4桁くらいの意思を感じたから途方もないのだけど?
そもそも前提として、呪獣の力に近づくとウチの力が汚染されて痛みを感じるからあまり使いたくないし。
どうやってカラネを引っ張りだそうかしら。
「えっ!?ジュオンちゃん、カラネちゃんの事分かるなら、カラネちゃんを連れだせないの?」
「んー?できるよ」
「ジュオン、カラネの意識を取り戻せるのか?」
「できるけど、寝てるよ?あと起こしてもまた呪獣の姿になるよ?」
「そうか・・・」
「んー?みんなカラネに戻ってきて欲しいの?」
「まぁそうね。それは勿論よ」
「可愛い後輩の1人でもあるしね。もちろん君たちも」
ジュオンは悩むそぶりを見せてから、ウチの方へ来る。
「ごめんね。ちょっと痛いけど我慢して」
ジュオンがウチの胸に手を当てると、ジュオンの魔力が流れてくる。
ウチの身体の中に流れるカラネの魔力に触れて吸収していく。
しばらくしてから手を離して、背中に周り背中に手を当てる。
「痛っ」
「ごめんね。断続的な痛み続くけど、我慢してね」
ジュオンの魔力がウチの呪獣の力に触れて、呪獣の力が暴れてウチの身体に痛みが走る。
ジュオンが集中し、ウチが痛みに苦しんでいると、急に身体が火照り始めた。
「そろそろだからね」
「大丈夫なのかジュオン。カラネを起こしたら呪獣の姿になるのでは?」
「んー秘密」
周りの音を聴いてる余裕なんて無いから反応できない。
一気に駆け抜けるように力が背中を走る。
「アッ・・・グゥ・・・ダッ・・・」
「フヨコ!大丈夫か!ジュオン!」
「大丈夫。もう終わる」
少し身体が無意識に暴れて、意識とか飛びそうになっていたけど、深呼吸して落ち着く。
明らかに別の魔力が感じ取れるから。
ウチの魔力と呪獣の力と別に感じる力。これがカラネの力なんでしょうね。
「ありがとうね。ジュオン。感謝するわ」
「んー。カラネも同じこと出来る。みんなも出来るから、感謝されることじゃないよ?」
この子は・・・
でも、これで・・・
「カラネの意識は別にしたけど、気持ちに変化が無いから多分駄目。何とか出来るのはこの中でも数名しかいないよ?」
感じ取れても意味が無いのね。
まぁそれもそうだけど、
「とりあえず、フヨコさんの身体を一度保護してから考えていいと思うのですけど、まだ話を中断します?」
「そうね、ウチも即行動しようとしてたのは悪いわね。とりあえず、何とかなりそうだし、昨日の続きでも行えばいいんじゃない」
「あぁ、まずはそれで、チヨ。お前は私の代わりに一年らに指導を頼む」
「分かりましたよ。カラネさんのように手荒な事は致しませんので、安心してくださいね」
意外と1年生達って肝が据わってんのよね。
手荒なことしていたっけって顔してるわ。
各々やる事に関しては決まったようだし、ウチも行く準備をしないとね。
それで、カラネ。
アンタ、ちゃんと元に戻ったら覚悟しておきなさいよね。




