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39:それぞれの

光魔法講義室:

何も知らない生徒達が入室してくる。

「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

「あ、マウラさん。私、持ちますわ」

「あ、ありがとう。それはあっちにお願い」

「はい」

講義なのになにやら色々と道具が運ばれきますわね。何に使うのかしらと思いながら光射す窓際の席からその光景を眺める。


しばらく眺めていると違和感に気付く。落ちこぼれの彼女達はもっと暗かったはずですわ。それに...

「あら、マリー様。ごきげんよう」

「ごきげんよう」

「マリーさん、お久しぶりです」

「お久しぶりね、マウラさん」

わたしに気付いた生徒達が口々に挨拶してくる。当然ね、由緒あるフラワーネット家の跡継ぎである上に既に光魔法に覚醒したわたしは彼女達よりも格上そう正に神に等しい存在。故にこの光魔法の講義にも参加しなくなって久しい。簡単に言うともうここでのイベントは全て消化済みという事ね。


今日は二度目の教師失踪イベントを眺めにきただけ。わたしには関係ないイベントですけれど見る分には楽しそうでしたから回想シーンの穴埋めがてら参加しに来たといったろころかしらね。

ヒロインであるわたしを引き立たせる脇役という役割を理解しなかった愚か者のBADEND。彼女達は指導者不在に絶望し新たなヒロインを待ち望む。

TRUEENDルートならわたしが救世主になるのですけれどHAREMENDを目指しているわたしは今回は関係ないのよね。残念ですけれど彼女達はこのまま落ちこぼれとして過ごしてもらうことになるわね。

ウフフ、思わず笑みがこぼれてしまいましたわ。わたしったらはしたないわね。



…………おかしいですわね。

何をしているか解りませんけど、淡々と鉢植えや草に手や杖をかざす彼女達。

それになぜマウラさんが皆の指導をしているのかしら?

彼女は光魔法を持っているのに使えないという意図せぬパラメーターのキャラだったため皆のいじめに遭うように先導しておいたはずなんですけれど...無視から始めて陰口まで先導した頃ここには来なくなってしまいましたけど、物が無くなり彼女自身への嫌がらせに発展して自ら...の予定だったはずですわ。大体ヒロインであるわたしを「様」でなく「さん」で呼ぶなど言語道断! そんな設定ミスなど返金騒動ものですわ! 意図せぬパラメーターだったためなど言語道断! 消費者センターへの通報案件ですわ!


こほん...


それよりなにより、なぜ教師が来ないのに誰も騒ぎ出さないのかしら?


「マウラさん、わたし新しい先生のお顔を拝見しに来たのですけれど...」

「あ、リン先生今日は来ませんよ」

「あら、なぜかしら?」

掲示板の休講の張り紙は全て破り捨てたはずなのですけれど、破り忘れがあったのかしら?

「用があるのでしばらく休むと生徒全員に連絡があって」

「全員に連絡?」

「ええ、皆の部屋に連絡用紙が届いていたの」

「は?」




大図書館最深部:

ある探索者の物語...ペラリ...ペラリ...

「リンー、お腹空いたー」

「はいはい」

味の濃いタレで焼いた肉を固めのパンで挟んだサンドイッチをアイテムボックスから取り出す。飲み物は私は紅茶でクロはミルク。

「ミルクティーがいいのだ!」

「はいはい」

ミルクの入った口の広いクロ用のカップに私のカップから紅茶を少し入れる。

「はちみつもー」

「えー、紅茶に蜂蜜はダメでーす。角砂糖でいいですかー?」

「許可するー」

「ありがたきしあわせー」

角砂糖をひとつ落としスプーンでかき混ぜる。混ぜている途中なのにクロが顔を突っ込んでくる。

「ぺろぺろぺろ...もう1個希望なのだ!」

「クロ君邪魔でーす」


「リン、ぎゅっとしてー」

「はいはい」

サンドイッチをぎゅっと押しつぶしてクロの口の大きさに合うようにする。

「押さえててー」

「はいはい」

噛み千切る時に動かないように片手でパンを固定してあげる。

「かじかじ、ぺろぺろ、かじかじ、ぺろぺろ」




管理迷宮:

直線が続く通路を早足で進む冒険者一行。もう少しで曲がり角という所でそれが顔を覗かせる。

「アースドラゴンだ!」

こちらを認識した魔物の口が大きく開かれ喉が膨れ上がる。

「マズイ、ブレスが来るぞ!」

ここは直線の通路、隠れる場所は無い。


ゴッ!!!

突然何か巨大な力がドラゴンの顎を叩き上げる。

開いた口が閉じられ、その勢いのまま顔が上に跳ね上げられ口の中でブレスが暴発する。

「流石テレスさん、皆距離を詰めろ!」

「おう!」

最下層を担当するテレスと同行を許されている冒険者達。それは詰まる所一流と呼んでも差し支えない実力を持っている者達。


戦士の槍ががら空きの顎から上へ向かい槍を貫き通す。

走りながら片手剣を魔法の鞄へしまい両手斧へと持ち替えた相方の戦士が無防備になった腹へ斧を叩きつける。

魔術師が斧で開けられた腹の傷から直接体内へ風の刃を放つ。


迷宮が紅く輝き出す!


グレーターデーモンが現れた!!!

グレーターデーモンが現れた!!!


「挟まれたぞ!」

「貴方達はドラゴンに集中しなさい、フジワラ!」

指示を出しつつ白虎の籠手の美しい白い輝きを残し姿が消えるテレス。

「おーう、後ろの()るわー」

言いつつ不意に出現したはずのグレーターデーモンの背後から刀を突き刺しているフジワラ。

隠密スキル持ちという話だったが悪魔族の上位種グレーターデーモンにまで気付かれない隠密というのはどれほどのものなのか!?


もう一体のグレーターデーモンもテレスさんに殴り飛ばされている。自分の倍以上の体躯の魔物を軽く殴り飛ばす実力というのはどれほどのものなのか?


「近くに出現してくれると不意打ちできて楽だよな」

「そうね」

魔物の素材の剥ぎ取りをしている横でとんでもない会話がなされている。



魔物の素材はいらないという二人以外の者達が小声で会話する。

「テレスさんはともかくフジワラも凄えな」

「市民街ギルドのフジワラっていえば、ギルバートさんのお気に入りって話だったしな。これほどの実力者とは以外だったがな」

元市民街ギルドのギルド長ギルバート。人をやめて魔人となってしまった今でも強さを求めるものにとっては憧れの存在である。

「ギルバートさんのお気に入りだったのか、納得だ」


「ところでフジワラ、リンちゃんに会いに行ったそうね?」

「ギクッ! い、いや、あれだよ、ギルドの依頼で」

「学園内でストーカー行為に及んだと言う噂があるわ」

「ギクッ!ギクッ! そ、そんなことしてないデスヨ?」

「次は私が行くから」

「やだ」

「次は私が行くから」

「やだ」

「死にたいの?」

「やだやだ」




大図書館最深部:

あるエルフの物語...ペラリ...ペラリ...


流石に長寿族のエルフ。凄い歴史だ...あ...


「リンー?」

「…………なあに?」

「なんでもないのだ!」

「ふふ、ありがと」

危ない危ない。意識を集中すると持っていかれるなぁ。

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