27:意図せぬ効能
深夜...急な呼び出しに部屋へ急ぐメイドが一人。
ある貴族のご子息が今すぐ冷たい水が飲みたいと言う。
自分で水魔法が使えるのに魔法で出した水は冷たくないから嫌だと言うことだ。
冷たい水を乗せたワゴンを押し暗い廊下を急ぐ。
ふと、目の端に子供の姿が映りそちらに意識を向けてみるが...誰もいない。
「?」
気のせいかと思い前を向き直ると、するりと扉から出てくる白い子供がひとり。
ゾクリ...と背筋に冷たいものが走る。
その扉は閉じている。ならばいったいどのように出てきたのか?
ニヤリ、笑ったような気がしたかと思ったとたん子供が消える。
「ヒィ!」
子供の幽霊を見たという噂は広がるが、話を聞いたものはこう答える。
「それ、子供のいたずらだよね?」
実害といえば、腰を抜かしたメイドが一人。
それに、怖いもの見たさで夜歩き回る生徒が増えたくらいだ。
深夜、噂を確かめようと友人達と歩いていると男性四人の集団と出くわす。
「貴方達も肝試しですか?」
「あ、ああ、そうだ」
「ですけど、そこから先は女子の部屋ですよ」
「あ、ああ、今から引き返すところだ」
「そうですか、ごきげんよう」
「あ、ああ」
たまに幽霊に興味のなさそうな方達に出くわす。不思議だ。
「チッ! またあの手紙が来たと思ったのに近づけねーじゃねえか!」
「けどよ、さすがに今回のは悪戯だろ、あんな可愛い子が寝た振りして起きないから好きにしてくださいなんてよ」
「かんけーねえよ! 前と同じでやっちまえばどうとでもなるだろ」
「部屋に行ったやつらは扉が閉まってて入れなかったっていってるんだろ?」
「同封されてた鍵でも開かないとか言ってたな、ちきしょうめ!」
「ズヴァール家のやつらに囲われちまったら手が出せなくなるからな、いっそのこと昼間に無理やりやっちまうか?」
「取り巻きが多すぎて無理らしいぜ、絶対複数の女子が一緒にいるらしい。しかも一人になると消えちまうって噂だ」
「なんだよ、それこそ噂の幽霊じゃねーか!」
クスクスクス...
笑い声に振り向くと白い子供が周りを囲み笑っている。
クスクスクス...クスクスクス...クスクスクス...
「ヒィィィィィィ!」
一部の者の間で噂が増える。
男子生徒と男性教員の一部の者には気付くと目の端に必ず白い子供がいると言う。
意識を向けると消えると言う。
まるで正面を向いていた紙が横になり見えなくなるように一瞬で消えてしまうと言う。
どこに隠れようと、扉に鍵をかけようとまるで少しの隙間でもあれば出入り自由な幽霊のように、気付くと必ず目の端にいると言う。
クスクスクス...クスクスクス...クスクスクス...
クスクスクス...クスクスクス...クスクスクス...
クスクスクス...クスクスクス...クスクスクス...
クスクスクス...クスクスクス...クスクスクス...
クスクスクス...クスクスクス...ニガサナイヨ...
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