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あの日、言えなかったありがとう  作者: 二晴


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初恋の子が毎日くれた卵焼き

梅雨の匂いが漂う中、初恋の子が死んだ。

細くて小さい子だとは思ってたが、病気だったらしい。

全然知らなかった。


彼女とは、中3の時に同じクラスになった。

丁度その時、親が離婚して母親が家を出て行き

俺は毎日コンビニ飯食べてた。


彼女だけがそのことを気にかけていたらしく

毎日必ず卵焼きと「食べきれないから」とおかずをくれた。


卵焼きだけは母親に教えてもらって自分で作ってるんだと。


あほな俺は、

(ラッキー!)とか(弁当小さくしてもらえよ!)とか思ってた。


勿論いつの間にか好きになってたが、

恥ずかしくて告白もできずに卒業。


俺とは別の高校に行くと聞いていたが、後に嘘だったと分かった。


中学だけはどうしても卒業したいと無理して通っていたようで

卒業後はそのまま入院となり、

一度も退院することなく亡くなった。


葬式の日、彼女の母親に呼び止められた。


「あの子ね、学校に行く理由ができたって言ってたのよ。

自分が作った卵焼きを、

あなたが美味しそうに食べてくれるのが嬉しいって

卒業までにもっとおいしい卵焼きを研究しないとって。」



この時が多分人生で一番泣いた。



6月になると思い出して卵焼き作るんだけど

彼女の味には、まだ一度も届いてない。


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