第4話 古代兵器の目覚めと策の夜
夜が深まると、箱庭の空は不穏な光で満ちた。遠方の海に浮かぶ古い島が、まるで目を覚ましたかのように震え、空を切るような轟音が響く。ノヴァリス(のゔぁりす)の夜は、ただの暗さではなかった。古代の魔導兵器が再起動しつつある――ジン(じん)の報告は短く、だが重かった。
アーク(あーく)は会議室の長机に肘をつき、幹部たちを見渡した。幹部一人につき百から二百名の精鋭を率る彼らの顔は、戦を知る者のそれだった。
「古代兵器は単なる破壊装置ではない」ルミナ(るみな)が静かに言う。掌に浮かべた蒼い光が、部屋を淡く照らす。「それはこの世界の魔力を吸い取り、周囲を枯らす。起動すれば、ここ一帯は生き物が育たない荒野になるだろう」
アーサー(あーさー)が地図を広げる。古い文献を解析した結果、古代兵器は「心臓」と呼ばれる核を持ち、遠隔で魔力を吸い上げる仕組みだという。もし皇帝がそれを完全に起動させれば、魔帝国の軍勢すら意味を失う。
「ならば、起動を阻止するか、心臓を破壊するしかない」ジーク(じーく)が短く答える。彼の声は冷徹だが、そこに揺らぎはない。
作戦は三段階だ。
• 第一:幻術で敵を攪乱し、古代兵器周辺の防衛を削ぐ。ロキ(ろき)が担当。
• 第二:狙撃と暗殺で要を断つ。シルヴィア(しるゔぃあ)とリン(りん)が連携。
• 第三:直接破壊と魔力封で心臓を無力化。ダンテ(だんて)とノヴァ(のゔぁ)、そしてアークが最終を担う。
夜は短い。幹部たちは各に部隊を率、静かに出撃した。ロキの幻術は敵陣を鏡の迷路に変え、兵たちは互いに斬り合いを始める。シルヴィアの矢は夜を裂き、要を次々(つぎつぎ)と葬る。リンの罠は静かに、だが確実に指導者たちを消し去る。
そして、心臓へと至る道。そこには古い守護の結界が張られていた。ノヴァが空間を裂き、結界の隙間を作る。ダンテが炎で結界を焼き、アークが剣を掲げる。剣先から放たれた光は、古い魔力とぶつかり合い、空間が軋む。
「今だ」アークの声は静かだが、全員に届く。彼は剣を振るい、光が爆発した。古代兵器の心臓は砕け、周囲の魔力は一瞬にして消散した。地は静まり、海はまた波を打ち始める。
帰還した幹部たちの顔には疲労が滲むが、安堵の色も濃かった。箱庭は一夜で救われたのだ。だが、アークは知っていた。これは序章に過ぎないと。
「皇帝は動くだろう」彼は静かに言った。「次は、もっと大きな力を持ってくる」
箱庭の夜は再び静かになったが、幹部たちの胸には新しい緊張が宿っていた。
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