第3話 ユートピアの礎
第3話 ユートピアの礎
クランはただ戦うだけではなかった。ヴィクター(ゔぃくたー)の錬金術は、朽ちた機械を蘇らせ、ガイアの建築は一夜にして城塞を築いた。マリアの手が触れた畑は緑に満ち、食糧不足は瞬時に解消された。バッカス(ばっかす)の料理は人々(ひとびと)の心を満たし、兵站は盤石となった。
だが、ユートピアを築くには秩序と法が必要だ。アーサー(あーさー)は会議を開き、難民代表や周辺の領主を招いた。彼は冷静に言う。
「我々(われわれ)は力で支配するつもりはない。だが、守るための規律は必要だ。ここを安全な場所にするため、皆で協力してほしい」
交渉は難航した。疑い、嫉妬、利害の衝突。だが、セレーナ(せれーな)の存在が場を和ませる。彼女の微笑は人を安心させ、味方には力を与える。やがて、城は「箱庭」と呼ばれるようになった――外の混沌から隔てられた、希望の小宇宙。
その一方で、クロエ(くろえ)は森で巨大な魔獣を手懐け、ノヴァ(のゔぁ)は空間を織り直して交易路を確保した。ロキ(ろき)の幻術は敵の士気を削ぎ、リン(りん)の罠は裏で暗躍する者を排除した。
噂はさらに広がる。遠方の村や都市から人々(ひとびと)が救いを求めてやってくる。アークはそれを拒まず、むしろ歓迎した。彼は言った。
「力は与えるものではない。使い方を教えるものだ。ここで学び、強くなって、また自分の地へ帰ってほしい」
人々(ひとびと)は学び、働き、笑った。箱庭は確実に成長していく。だが、遠くでうごめく影は消えていなかった。魔帝国の皇帝は、古代の兵器を目覚めさせ、総力を以て討伐を誓う。
箱庭の夜は静かだ。だが、嵐は確実に近づいている――。
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