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魔法少女が死んだ  作者: 植木原裕司
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終章《エピローグ》 花はやがて枯れる

 数日が過ぎた。

 ぽつぽつ、ではあるが髙砂先輩は自供し始めたそうだ。

 当然の事ながら、僕は捜査から外され、事情聴取の後に自宅待機となった。

 ようやく、出勤が許されたのは昨日からだった。もっとも、当面は事件を任される事もなく、署内でデスクワークを送る日々になりそうだ。

 同僚からは、同情と警戒の入り混じった目で見られている。それでも、事件の概要というか髙砂先輩の自供内容は教えてもらえた。

 楡松の言う通り、二人が出会ったのは平賀の事件がきっかけだった。他の警官と違い、親身になって対応してくれる髙砂先輩に、リリーは信頼を寄せていった。

 それが信頼から愛情に変わるのは、時間の問題だったのだろう。

 女性同士の恋愛が、左利きぐらいしか珍しくないのだから、その点で特筆すべきことではない。

 だがしかし、警官と警護対象、そして未成年と言う事もあり周囲には隠していたのは、注意すべき点かもしれない。

 そして平賀を脅して黙らせると言う手法に出た先輩は、警官ののりから外れてしまっていた。

 この時点で先輩の、彼女の中でタガが外れていたのだろう。いつしか、自らの恋人を独占する計画が胸の内で大きくなっていた。

 ついに具体化した計画は、逃げ続ける事をよしとしなかったリリーの決断により、大きく変更されることになる。

 具体的に、どのような会話であったかは自供してないが、髙砂先輩の要求をリリーは拒絶した。

 先輩の要求、すなわち狂言殺人を機会に魔法少女を引退する。みんなのリリーから、先輩だけのリリーになる。

 リリーは、脅迫の犯人が逮捕されれば舞い戻る。魔法少女を引退するつもりは、まったくなかった。

 そのことが、いつ先輩の中で殺意に結びついたかは定かではない。ただ一つ、はっきり供述しているのは、狂言を始める時点で殺すつもりだったと言うことだ。

 花を一人で愛でるのは、どの道ムリだったのだろう。

 僕は何とも言えないやるせなさを抱えて、デスク向かっていた。

 何とも言えないと言えば、色々と振り回してくれた楡松の事が気になっていた。

 いつの間にか彼女は姿を消しており、どう言うわけか上の方もその件では曖昧な対応に終始していた。

 また会いたい、という訳ではないが、いったい彼女が何者だったのか。せめてそれぐらいは、知りたかった。

「浮かない顔だな?」

 聞き覚えがのある声が、横からした。

「に、楡松!」

 振り返ると、楡松が人を食ったような笑顔で立っていた。

「今日から世話になるよ」

「世話になるって? どう言う事だよ」

 驚く僕を愉快そうに眺めながら、楡松は懐から警察手帳を引っ張り出した。

「楡松明希警部、今日から着任する」

 そう言うと、彼女は最高に人を食った顔でニヤリと笑った。



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