第三章 第二部〜敵陣〜
廃倉庫に乗り込んだ涼。生き別れの兄は何を語る?
名乗った相手は、自分の兄だ。孤児なので、名など知らなかったが。彼も、まさか敵軍の総大将が同じ血の流れた兄だとは思わなかった様で、鳩が豆鉄砲喰らった様な顔になっている。
「驚くだろうな?己の命を狙い、刺客を放ってきた相手が自分の兄など。とてもいいサプライズじゃないか」
兄·········いや、彼はもう見切りを付けた。こいつは兄などではない。路地裏で抱きしめ合い、体温を共有した兄などではないのだ。今、目の前で悠々とふんぞり返っている煉斗は、今や憎き因縁の敵だ。
「······何故」
「どうした?」
「俺の命を狙う?」
「簡単な話。俺はこの"力"でマフィアのボスへと登り詰めた。」
赤黒き炎を掌で猛らせて語り始める。
「恐怖政治を行うなり、崇拝対象になるなり。そして、この力を共に持つお前は必ず妨げになると。当たっているだろう?だからこそのこの御対面じゃないか。」
と、いきなり彼が声を発した。
「術式・フレア。」
「おっと。ただでさえガタが来てるんだ。この倉庫を焼き払わないでおくれ?」
煉斗は軽やかな身のこなしで炎の弾を凪ぐ。
「さて、後は煮るなり焼くなり地中海風に味付けするなり御勝手にしてくれ。表のリーダーさんよ?」
彼は、"表のリーダー"という言葉に僅かな引っ掛かりを覚えつつも新たな敵に身構える。
「やあ。君が五十嵐様の弟者かい?五十嵐様と似て良い風貌じゃないか。」
彼は呆れながらも目をやる。
「まあ、五十嵐様の肉親だろうと、五十嵐様本人の命令だ。どうにもできんからなぁ···。煮るなり焼くなり地中海風だかカスピ海風に味付けするなり好きにしろと言われているのでな、せっかくだから集合体を使おうじゃないか。」
「······?」
「君もお目にかかったことがあるだろう。どちらもキングは取れなかったなあ?チェックメイトではなく、ステイルメイトに終わったがな。」
"表のリーダー"とやらが話し終えると、いきなり辺り一面が闇に吸い込まれるかのように暗転し、その中心に見覚えのある姿が見えた。闇色のオーラをまとい、白髪をたなびかせ、金銀のオッドアイを煌めかせる―――――
影が居た。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
·········はい。4ヶ月と4日ぶりです。お久しぶりです。か、代わりに今日明日明後日で3話更新されるのでお許しを···




