無理だなんて言えない
ある日の戦闘、ナイムネデスはおっぱい魔人に苦戦していた。
「馬鹿ね、あんたみたいなゴツゴツしたまな板女が特殊軟質ボディの私に勝てると思ったの?」
既に地面に転がっているナイムネデスをおっぱい魔人は蹴り飛ばす。
「くっ、トパーズ・リフレクト!」
ナイムネデスは与謝野テッパンに変身し、テッパンセンを杖代わりにして立ち上がる。
「真那さん、ここは退きましょう。」
「はい。グランド・マジック!」
与謝野テッパンは土煙を発生させて撤退する。
「逃げたか、他愛ない。」
おっぱい魔人、バウンドシールダーはムネトピア神殿に戻る。
「申し訳ありません、女帝グラメニア。奴に逃げられてしまいました。」
「構わぬ。どうやら奴の力ではお前に勝てないことは分かった。人間という生き物は硬い物質で殴打されるよりもしなやかな鞭で打たれる方が痛みを感じる。それは貧乳超人も同様。お前の得た力は正にうってつけというわけだ。バウンドシールダー、次に奴が現れた時が、奴の最後だ。準備が出来次第、出撃をするのだ。」
「はっ!直ぐに消耗した黒服兵を補充し、出撃します。」
バウンドシールダーはグラメニアに報告し、次の出撃の準備を始める。
真那が撤退して直ぐの昼、食堂員による食事の配給を真那は受け取り座る。
「おねえちゃん、大丈夫?」
落ち込んでいる真那の前に麗雄が座る。
「麗雄君、大丈夫だよ。」
「本当?なんかすごい無理しているようにみえるけど。」
麗雄は真那を心配する。
「確かに、麗雄君の言うとおりですよ、真那さん。」
「こればかりは、与謝野氏と麗雄氏に賛成だ。」
テッパンとネデスも麗雄の意見に賛同する。
「大丈夫。みんなを守れるのは、おっぱい魔人と戦えるのは私しかいない。だから、私が頑張らないと。」
真那は元気そうな表情を見せる。しかし、
「真那氏よ、くれぐれも無理はせぬように。」
ネデスは真那に忠告を入れる。
〝真那さん、先ほどのおっぱい魔人が南西20キロ先に現れた。〟
真那が食事を食べていると奏から連絡が入る。
「分かりました、すぐに向かいます!」
真那はウィンドレイダーに乗って目的地に向かう。
「おっぱい魔人、そこまでよ!」
目的地に着いた真那はウィンドレイダーを止めて黒服兵を倒しながら言う。
「来たか貧乳超人。この私の特殊軟質ボディに勝てないと解っているくせに。」
「やってみなければわからない!ダイヤモンド・シャイン!」
(大丈夫!私には真那とジルが着いている!)
真那はヒンヌーダルクに変身する。
「シャインブレード!」
ヒンヌーダルクはシャインブレードを出現させる。
「その剣の切れ味は把握している。私に効かないこともな!」
バウンドシールダーは腕を撓らせて鞭のように振るい、ヒンヌーダルクは近づくことすら出来ずにいた。
「シャインフラッグ!」
ヒンヌーダルクはシャインフラッグを出現させ、バウンドシールダーの腕を絡め取る。
「これでも食らいなさい!」
ヒンヌーダルクはシャインブレードでバウンドシールダーの両腕を切り落とそうとするが、バウンドシールダーの腕の表面にギザついた傷痕が作られるものの、明確なダメージにはならなかった。
「言ったはずだ。その刃では私の体を切り裂くことなど出来ないと!」
バウンドシールダーは腕を撓らせ続けることでシャインフラッグによる腕の拘束から逃れる。
「それなら、食らいなさい!シャインインパルス!」
ヒンヌーダルクはシャインフラッグでバウンドシールダーを拘束し、シャインブレードに力を込めて切り裂こうとするが、
「馬鹿め!」
ヒンヌーダルクの攻撃は力を込めたことでシャインブレードを叩きつけるような攻撃となり、バウンドシールダーの体はグニャリと曲がるだけだった。
「お前達の国には『柔よく剛を制する』という言葉があるが、その言葉通り私に力任せの攻撃は通用しない!」
バウンドシールダーはヒンヌーダルクに近づく。
「それなら、これでどうだ!エメラルド・ラピッド!」
ヒンヌーダルクはナイチチゲイルに変身する。
「私についてこれるか!」
ナイチチゲイルは高速で動きバウンドシールダーを翻弄しようとする。
「その程度のヒットアンドアウェイで苦戦すると思われているとは、私も甘くみられたものだ!」
しかしバウンドシールダーは惑わされることなく腕を振るってナイチチゲイルの脚を払いナイチチゲイルを転倒させる。
「しまった!」
転倒したことでナイチチゲイルは大きな隙を曝してしまい身構える。しかし、
「これでも食らえ!」
バウンドシールダーは両腕を鞭のように振るいナイチチゲイルに猛攻撃を仕掛け、真那の変身は解除される。
「くっ、変身が!?」
真那はなんとか立ち上がろうとするが、
「まだそれだけの力が残っていたのか。さすがは貧乳超人、と褒めてやろう。」
バウンドシールダーは右腕を真那の脚に当てて挫く。
「貧乳超人、今日がお前の最後だな。」
バウンドシールダーはジリジリと真那に近づく。
「これで、終わりだ!」
バウンドシールダーは腕を振り上げる。しかし、
「俺達は真那さんに助けられたんだ!今度は俺達が、真那さんを助ける番だ!」
バウンドシールダーに襲われていた人達がバウンドシールダーに体当たりをし、バウンドシールダーの軌道は曲がり、腕は真那に当たらずに地面を掠める。
「醜い貧乳共を守ろうとする愚か者達、何故そこまでしてそんな出来損ないを守ろうとする?」
バウンドシールダーはふと疑問を抱き、その疑問を投げかける。
「俺達は大きいだの小さいだの、そんな下らない理由で女性を守っていない!」
「自分が大切だと思う人だから!」
「自分より弱く、戦うことが出来ないから!」
「だから守るんだ!」
「それに、みんなで支え合ってこその人間だ!」
人々は各々の思う通りのことを言う。
「だから我々は言っているのだ。巨乳ならムネトピアの一員にして、力を与えてやると。」
バウンドシールダーは呆れるように言う。
「お前達ムネトピアは何も解っていない!そうやって見た目だけで差別して本質を見ようとしていない!」
「もし自分の子供の胸が小さかったらどうするつもりだ!」
人々はバウンドシールダーに質問する。
「決まっているだろう。そんな失敗作は必要ない。処分するだけだ。」
バウンドシールダーはあっさり答える。
「なんて非道な奴らなんだ…」
バウンドシールダーの言葉に人々は戸惑う。そこに麗雄が駆けつける。
「みんな、ここは僕に任せて、逃げて下さい!」
麗雄は人々を逃がそうとする。
「駄目だ、子供の君を置いて逃げることなんて出来ない!」
人々は麗雄を守ろうとする。
「大丈夫!走哮覚醒!」
麗雄はレオパルタクスに変身する。
「君、その姿は…」
人々はレオパルタクスを見て戸惑う。
「僕はあいつらに知らない間に改造されて、真那おねえちゃんに助けられたんです。ですから、今は逃げて下さい。」
レオパルタクスは説明し、人々は納得するとまとまって逃げようとする。しかし、
「黒服兵、やれ!」
「はっ!」
バウンドシールダーは黒服兵に指示を出し、黒服兵達はレールガンで人々を消し炭に変える。
「こうなったら、やるしかない!」
真那はムネナシオニキスを取り出す。
「真那ちゃん、いけるのか?」
ムネナシは不安そうな声で真那に質問する。
「今は無理だなんて言えないですから!オニキス・アビス!」
真那は闇の甲冑を身に纏いオダノムネナシに変身すると、凄まじい勢いでバウンドシールダーに向かって走る。
「おねえちゃん!」
レオパルタクスはオダノムネナシの気配を感じて振り返る。しかし、
「邪魔だ!」
オダノムネナシはレオパルタクスを投げ飛ばして瓦礫に叩きつけると、それを気にすることなくバウンドシールダーに掴みかかり、そのまま腹部を殴る。
「なんの、これしき!」
バウンドシールダーは殴られた衝撃を利用して後方へ吹き飛んでダメージを軽減する。
「こいつでも食らいな!」
バウンドシールダーは右腕を伸ばして拳を放つが、
「ぅああああっ!」
オダノムネナシはアビスブレイカーでバウンドシールダーの右肘から先を切断して切り落とす。
「うぐっ!まさか、私の特殊軟質ボディを切り裂けるとは!」
バウンドシールダーは切り裂かれた自身の右腕を見て驚くが、オダノムネナシはそれを気にとめる様子を見せずにバウンドシールダーを押し倒し、馬乗りになってバウンドシールダーを殴り続ける。
「うぐっ!がぁっ!」
本来なら力の逃げる先があることを想定して改造されたバウンドシールダーのゴム製の特殊軟質ボディは馬乗りされていることで力が逃げることなくダメージを受け止め続ける。
「やめろ!やめろ!」
バウンドシールダーは左腕で必死に攻撃を防ごうとするが、オダノムネナシはそれを掴むと、力任せに引き千切り、そのまま何度もバウンドシールダーに叩きつける。
「ぅ…ぁ…」
既にバウンドシールダーに喋る程の気力は残っていなかったが、逃げたいと思う一心で最後の力を振り絞り、体の反動を利用してオダノムネナシを弾き、なんとか立ち上がる。しかし、
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
オダノムネナシはその逃亡を見逃すことなく、アビスシューターにエネルギーをチャージし、必殺の一撃を放ってバウンドシールダーを融解させる。
「おねえ…ちゃん?」
レオパルタクスはダメージが回復し、なんとか立ち上がる。すると、
「まだいたのか。」
オダノムネナシは素早くレオパルタクスに近づき、レオパルタクスの首を掴んで瓦礫に叩きつける。
「おねえちゃん、どうして?」
レオパルタクスは声を振り絞って聞く。
「おっぱい魔人は倒す…この手で…」
オダノムネナシは構わずレオパルタクスを殴り続ける。
「おねえ…ちゃん…もう…や…め…」
元々戦闘力が皆無であったレオパルタクスは麗雄の姿に戻り意識を失うと、真那の変身は解除される。
「真那、悪いことは言わない。俺を捨てろ。」
ムネナシは真那に言うと、真那は怯えながらムネナシオニキスを捨て、麗雄をウォールストリートの治療室へ運ぶ。
「折れた肋骨が左の肺に刺さっています!」
「背骨、複数に渡って剥離骨折しています。」
「各内臓機能、低下!脈拍減少しています!」
麗雄の手術はすぐに行われ、手術自体は成功し一命は取り留めたものの、意識が戻るまで時間を要する結果になった。
「私、このままじゃ麗雄君にみせる顔がない…」
真那は治療室の外で言うと、ウォールストリートから出て行き、先程の戦闘地点でムネナシオニキスを拾い上げる。
「どうした?捨てたんではなかったのか?」
ムネナシは問う。
「それでも、私にはまだ、信長さんの力が必要なんです。」
真那は泣きながら言う。
「そうか。無理をするな。もう言わなくていい。」
ムネナシは何かを察し、真那を宥めた。




