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7日間の隣
「じゃあ、一週間宜しく」
「……はい」
一週間だけ恋人になって、と頼まれた。好意はまるで無い様子だった。何かに都合が良いのだろう。地味で平凡な私が丁度良いから、私にしたに違いない。
することと言えば、一緒にお昼を食べたり、帰り道を共にしたり。廊下ですれ違えば手を振って、他愛もない会話をする。
多分、そんな感じ。都合が良いだけなら、何もしないかもしれない。逆に、手を繋いだりとか、キス、とか。都合が良かったらしちゃうのかもしれない。
私に頼んできたとき、彼の目は面倒くささを訴えていた。わざわざこんなことを頼む手間すら掛けたくない、というような目。そこまでして、私を都合の良い相手にする必要があるのかと問いたい。
彼は気にしていないんだろう。私と彼は、幼馴染だということ。そして気付いたことがないんだろう。私が彼に持つ、好意を。
1日目。彼はどうせ何も思っていない。だけど折角、こんなチャンスがあるのなら。たった7日間だけでも、好きな彼の隣にいられることを、夢に見せてください。




