242/294
幼馴染とクワ
幼馴染の口から、花が咲いた。幼馴染は何も喋れなくなり、何も食べられなくなった。当然のごとく、幼馴染は日に日に衰弱していった。
幼馴染は2週間もしないうちに、病院のベッドに横たわり続けることになった。起きることができないほどに弱ってしまった。私はそんな幼馴染を、ただ見ていることしかできなかった。医者ですら、助ける術は持っていなかった。
そんな幼馴染がある日、私に手を伸ばしてきた。何かあるのか、近くに来いというアピールをしてくる。私は、とにかく幼馴染に近付いた。
すると幼馴染は、枝のような手からは想像できない力で、私を思い切り抱きしめた。そして、喋れない筈の幼馴染の声が、はっきりと耳元で聞こえたような気がした。
――わたしたち ずっとなかよし だもんね
幼馴染に咲く花の名は、桑。
桑は蚕の餌みたいですね。
そんな桑の花の花言葉はこちら。
「ともに死のう」




