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蝶
紫陽花の上を歩くカタツムリのように、ゆっくりと生きられたら良い。きっとそれは、何よりも落ち着く時間だろう。
雨の日に葉を傘にするカエルのように、のんびりと生きられたら良い。そこから見る景色は、いつの日だって特別だろう。
虹の下で水溜りに浮くアメンボのように、好きなように生きられたら良い。水に映る虹色が、どうしたって楽しく思えるだろう。
私の目に映る世界は、何故こんなにも薄暗い。いくら歩いても光の差さない道で、私はどこに向かえば良いのか。
あぁ、私は。だから、私は。雨からは逃れ、太陽の眩しい日にだけ羽を動かす。そんな蝶になりたい。そしたらきっと、私の世界だって晴れるから。
まるで季節外れですが勘弁してください




