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雲の上、夢の中
雲の上を走り回っているようだった。ふわふわとした足元は不安定で、目の前には青いペイントが綺麗に広がっている。
トランポリンみたいで、面白かった。沈んだ分だけ跳ね返る。子供の頃の無邪気さを思い出して、当てもなく走り回った。
どこまで行っても変わらない景色。だがそれでも、心底楽しくて、足を動かすのが止まらない。
ふっと、どこかに足を引っ掛けた。こんな場所では体のバランスなど取れる訳もなく、勢いをつけて前に倒れ込んだ。
私の体は、雲に受け止められることは無く、下へと落ちていった。ぶわっと全身が風で押し上げられる感覚。一瞬で真っ白になった頭と、冷え切った心臓で、目が覚めた。
体が小刻みに震えている。目が覚めて良かったと安堵する。私はまだ死ぬことを恐れているんだと、強く実感した。




