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破滅はお断りです  作者: 高萩


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悪役令嬢

両親と朝の挨拶を交わし、朝食の席に着くとお母様から「眠そうね」と笑われてしまう。

寝不足になった理由を話すと少し呆れたような顔をされた。


「僕が買ってあげた小説を楽しむのは良いけど寝不足は良くないよ」

「すみません…」


お父様から注意を受けて頭を下げた。

子どもが寝不足になるのは良くないと分かっている。でも昨日読んだ作品はかなりの当たりで面白くて手が止まらなかったのだから仕方ない。

これからは気をつけようと思いながらテーブルに出された朝食用のパンを頬張った。


「そういえば今度お姉様主催のお茶会が開かれるらしいわ」


お母様の言うお姉様とは王妃様の事だ。実の姉妹だと知った時は驚愕するしかなかった。

公爵家という時点で分かっていたけどめちゃくちゃ良家のお嬢様だったとは。前世は一般人の中でもかなり下の部類だったのに実に出世したものだ。

私を苦しめていたあのクソ上司に見せてやりたいわ。


「目的は第二王子であるルードルフ殿下の婚約者探しみたいね」


もぐもぐと口の中でパンの美味しさを感じていると両親の会話にぴたりと動きが止まる。

ん?ルードルフ?

その名前どこかで聞いた事があるような。

クラウディアとルードルフって…。


「あぁぁっ!」


ガタンと勢いよく席を立つ。

両親と周りに立っていた使用人達が驚いた表情をこちらに向けてきた。


「ディア?どうしたの?」


お母様が尋ねてくるのでぎこちない笑顔を見せて「なんでもありません」と答える。


「すみません。今日は寝不足がひどくて、もう少しだけ寝てきますね」


戸惑う両親を置いて自室に逃げ帰る。

着替えを手伝ってくれたヒルマに心配そうな表情を向けられたけど今は一人で確認したい事があるのだ。

寝不足だからもう少し寝るの一点張りで部屋から出て行ってもらう。

クラウディア、ルードルフという名前を聞いてようやく自分の顔に見覚えがある理由が分かった。

ベッドに腰かけてチェストに乗せた手鏡を持ち上げて自分の顔をじっと見つめる。


「間違いない。悪役令嬢クラウディアの顔だわ」


そのままベッドに寝転んだ。

私には前世の頃ハマっていたゲームがある。

タイトルは『恋する魔法学園~愛してくれる王子様は誰?~』で通称『恋ガク』と呼ばれていた乙女ゲームだ。

その中に悪役令嬢と呼ばれるヒロインと攻略対象者の仲を邪魔したり、ヒロインを虐めたりする引き立て役がいる。そして悪役令嬢の末路は決まって碌なものではない。

なにを隠そう私が転生してきたクラウディアは『恋ガク』における悪役令嬢なのだ。

我儘で自分勝手で家の権力を使って好き放題。

キャラの人気投票でも最下位だったくらい嫌われ者だった。


「どうして今まで気づかなかったのよ…」


どこかで見た事のある顔だとは思っていたけどまさか悪役令嬢だったとは。

クラウディアが悪役令嬢として登場するのは彼女の婚約者である第二王子ルードルフのルートと逆ハーレムルートの二つだ。

婚約者と仲良くするヒロインに嫉妬し虐めるという超王道展開。

ヒロインを階段から突き落とそうとしたり、取り巻きに頼んでヒロインに水をかけたり、教科書を破いたり、ドレスを破いたりと他にも色々と頭が悪そうな幼稚な虐めを繰り返すのだ。

そして最後は婚約者によって国外追放にされて森の中で物取りに襲われて破滅するという末路が待っている。


「せっかく生まれ変わったのに…」


破滅はお断りです。


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