自覚してしまった気持ち
「ずっと思っていたけどディアはいつから本が好きなの?」
ずっと欲しかった本を買う事が出来てご満悦状態になっているとルードルフから尋ねられる。
前世からだけどそれを言うわけにはいかない。
「四歳の頃からですよ」
もし前世の記憶を取り戻していなかったら今頃ルードルフとお出かけは出来なかったのだろう。嫌われて、蔑まれてすでに破滅を迎えていたかもしれない。
ただこの世界のバルバラの性格を考えるとルードルフが振り回されてどっちもフラれる可能性が高いと思うけど。
「本を好きになった理由はあるの?」
「一度読んでみたら面白くて好きになりました」
前世の頃の私も中学生までは小説にはまるっきり興味がなかった。ただ暇潰しに一度読み始めたら結構面白くて好きになったのだ。
私の答えに「そっか」と呟くルードルフ。
もしかして本ばかり読んでいないで勉強しろと言われているのかしら。
前世の頃、親によく注意を受けた言葉を思い出して不安になる。
「本を好きになる前はどんな子だったの?」
「屋敷の中を走り回っている子供でしたよ」
前世の記憶を取り戻す前は普通の四歳児だったから走り回っていても問題はない。
貴族の令嬢としてはアウトだけどもう時効だろう。
「実を言うと会うまでディアの事をろくでもない令嬢だと思っていたんだ」
「ろくでもない令嬢ですか?」
「失礼な言い方になってごめん」
「気にしていませんよ」
実際に私は両親や使用人達を困らせていた我儘娘だった。
あのまま育っていたらろくでなしと言われても仕方ないような令嬢になっていただろう。
「我儘な子だと聞いていたからディアを婚約者にしたがっていた母の気持ちが重くて仕方なかったんだ」
「そう、ですか…」
じゃあどうして私を嵌めてまで婚約しようと思ったのよ。
そこまでして公爵家の権力がほしかったの?
考えただけで胸が痛くなった。
せっかくのデートなのにどうしてこんな話をされているのか分からない。もしかして自分に好かれていると勘違いするなと忠告されているのだろうか。遠回しに言わなくてもルードルフが私を好きだと勘違いするわけがないのに。
そうよ、悪役令嬢のクラウディアが好かれるわけがないのよ。
「でも、出会ってから…ディア?」
名前を呼ばれて我に返ると戸惑った表情のルードルフと目が合った。
「どうして泣いているの?」
言われて初めて自分の涙に気がついた。
拭っても拭っても止まってくれない。
ルードルフが私を好きにならないと考えたら悲しかったのだ。
だって、私は…。
「ディア、どうしたの?」
私はルードルフが好きなのだから。
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