第315話
字が、消えていた。
代わりに書いてあったのは、こうだった。
「分けられたものの間に立ち、聞く者」
長すぎると思った。でも、正確だとも思った。
ランク外じゃなくなった。でも門番のままだ。俺は、それで十分だと思った。あの日、ギルド長が判定して、ハズレと決めた場所に、今はこういう意味が刻んであった。ハズレじゃなかったわけじゃない。ただ——見え方が、変わっただけだ。それだけで、ずいぶん違う。
翌朝、カイルが来た。
「次の問題がある」
「分かってる」
「世界がランクなしで本当に回るかどうか、これから証明しないといけない。混乱してる地域が出てくるはずだ」
「そうだな」
「それと——もう一つ」
「何」
「ランクの数字は消えた。でも——「俺はハズレだ」って思ってる奴は、まだいると思う。表示が変わっても、何年も染みついた感覚は、そう簡単には消えない」
俺は少し考えた。
確かに、そうかもしれない。ジョブの表示は変わった。でも、体の奥に刻まれた「ハズレ」という感覚は、表示が変わったくらいでは消えない。消えないかもしれない。
「それも——聞いて回るか」とカイルが言った。
スキルが、静かに表示した。
【もう、誰も——"下"では、ない】
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