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第四十九話　ＶＳバルテル

　バルテルが構えたのに合わせて俺も対応できるように態勢を整え構えた。

　バルテルは見た目からはパワータイプのような感じだ。

　「……許せ」

　そう言ってバルテルは動き出す。

　俺はその動きを注視していたけど、そのスピードは魔法がかかっている俺からすれば脅威ではなかった。

　俺はそれに合わせてカウンターを入れようと構える。

　「！？」

　真っ直ぐ俺に向かってきて右ストレートを放ってくるところを俺は半身を反らして躱して距離を取った。

　俺はカウンターを入れるつもりだったけど、バルテルは駆け寄るスピードに反して予想以上に拳を振り抜くスピードが速い。

　バルテルの身体的なスピードはジャグナル君よりも遅いけど、拳を振り抜くスピードは速く空気を切り裂いていた。

　さらに、その体格から繰り出される威力は

ライア君の気功に匹敵するかもしれない。

　……さすが、C組の番長といったところか。

　「ちょこまかと……」

　バルテルは振り抜いた拳を引き戻し俺に向き直る。

　いくら魔法をかけているとは言え、あのパンチを食らうわけにはいかない。

　「うぉぉおおお！！！」

　バルテルは再度俺に肉薄し左右の拳を繰り出す。

　俺はそれを左右に躱し避けた。

　ジャグナル君の時に油断した蹴りにも注意していたけど、どうやらその気配はない。

　「ちょこまかとするなぁぁあああ！！」

　バルテルはそう言うと両手を広げて俺を掴みにやってきた。

　俺はケンカ慣れしていない為、予想外の咄嗟の出来事に一瞬遅れてしまう。

　ダメだ、避けるのは間に合わない！！

　「くっ……」

　俺は咄嗟に両手を掲げバルテルの手を掴んで受け止めた。

　「やっと捕まえた」

　バルテルはそう言うと俺の手を握り潰そうと握力をかけてきた。

　俺も黙ってやられる訳にはいかず、手に魔力を集中する感じで力を入れる。

　「くっ……バカな！？」

　バルテルは俺に力で負けているのに驚いた表情で声を上げる。

　「うぉぉおおお！！」

　俺は握力を強めバルテルが痛みに怯んだ隙にバルテル押し返し手を離した。

　「……バルテルに力で勝つとは」

　ドーラが驚きの表情で何か呟いているようだけど俺は気にしてられない。

　「くそぉぉおおお！」

　バルテルはそこから躍起になって俺に詰め寄り左右の拳を繰り出す。

　バルテルは動揺し動きが単調になったので俺はそれを躱しながら機会を伺う。

　「ここだ！！」

　俺はバルテルの拳のスピードに慣れてきたところで、右ストレートに合わせてその拳をかいくぐり、その腕を取って一本背負いの要領で投げた。

　「なにぃぃぃ！？」

　バルテルが驚いた様子で声を上げた次の瞬間には『ドン』と言う音が鳴り響いた。