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天然記念物並の純情少年

 ミントの受けている授業の内、一コマ自習になった。

 この情報は攻略本にはない。

 

「主人公がローズマリーだから、仕方がないとして……授業中に呼び出すのも無理だし」


 屋上にいるであろうミント2号と、サトルをどう落とそうか話し合ってもいいかもと思いながら私は階段を上がっていく。

 ついでにサトルのいる教室をのぞくと真面目に授業を受けている。

 邪魔は出来ないわねと思いながら私は階段を上って行き、


「こんにちはー、ミント2号、いる?」

「ええっと……ミント2号って私?」

「うん」

「私の方から貴方が分裂したのに?」

「じゃあ、ミント0号にする?」

「うん」


 こうしてミント2号は0号に進化した。

 そんなミント0号に私は、


「とりあえず、今日中にサトルに告白しちゃいましょう」

「! な、何を言って……た、確かに好きですけれど、心の準備が。というかこういうのは段階を踏むのが……」

「正直私も忙しいから、さっさと済ましたいのよ」

「ひ、酷いです、貴方は酷いです、鬼、鬼畜! これは大事にしている好きなキャラの抱き枕カバーを親に目撃させるレベルの酷さです!」


 具体的な喩えを使われて酷さを説明されるが、それが私の頭に引っ掛かる。


「そういえば前に、男性キャラお抱き枕カバーを頼まれたのよね。丁度予約が始まる日時が、姉のお手伝いだかで私が代わりに注文したのよね」

「そうなのですか? すぐに予約しないといけないなんてよっぽど人気作品なんですね……ってそうじゃないです! 何で私が今日告白しないといけないんですか?」

「あら、嫌なの?」

「そうです!」


 そんなミント0号に私は嘆息し、次にふふっとあくどい笑みを浮かべる。

 ミント0号が警戒をするように私を見た。

 黙って、何をする気だというかのように不安げな瞳で私を見るミント0号。

 きっと私が不安な時はこんな表情になるんだろうなと思いながら、


「貴方と私は同じ姿。それは理解できるかしら」

「……それがどうかしたのですか」

「鈍いわね。……私が貴方のふりをして、サトルに告白してしまえばいいのよ」


 言えないんだったら強硬手段をとるまで。

 ここでミント0号がサトルを捕まえておいてくれれば他に目移りする事もないだろう。

 両想いだし、とてもいい案だと思ったのだがミント0号は怒ったように私に近づいて掴みかかってきたので、


「ふ、ふざけな……きゃああっ!」


 スカートをめくりました。

 どうやら今日は白のレースで彩られた可愛い物のようです。

 顔を真っ赤にしてスカートを抑える彼女に私は、


「所でサトルって、貴方の危機にはいつだって駆けつけてくるんだったかしら」

「な、何を考えているの!」

「授業中だけど、この際手段は選んでいられないわね」

「こ、来ないで」

「だーめ(はーと)」

「きゃあああああ」


 それから私はひたすらミント0号のスカートをめくりました。

 同性のスカートめくりなんて、正直なにも楽しくない。

 きっと男性だったらこの状況を楽しめるのだろうとどんよりした瞳で作業を続ける私。

 それから三回くらいうまくめくりあげて、ミント0号が真っ赤になって悲鳴を上げた頃。


「ミント様、大丈夫で……ぐふっ」


 丁度私がミントのスカートをめくりあげた所だったので、もろにサトル君は見てしまったらしい。

 可哀想にちょっと鼻血を出している。

 この現代で天然記念物並の純情少年だわと思いながら、私は何処か幸せそうに気絶しているサトルを起こそうと、頬をぷにぷにし始めのだった。


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